一言で鉄とかステンレスと言っても山ほど種類があるんです。モノづくりは楽しいよ!
日々新しいものが生まれる昨今、様々な部品から1つの製品が造られる。
周りにある電子機器や医療機器など
あらゆる部品に鉄やステンレスが使用され
一見硬さや見た目は同じようだが
種類によって全く違う。
わたしは加工の業界に入る前、鉄とステンレスは
同じもので区別も特になく
錆びるか錆びないかの違いだけだと思っていた。
しかし知れば知るほど奥が深く
17年勤めてきてもまだ、加工には頭を悩ませる
わたしは主にステンレスを加工するグループに所属し
17年間、鉄やステンレスの加工を行ってきた。
1枚の板に高精度で仕上げるのだ。
高精度とは寸法、傾き、歪みを
規定の範囲に収めることだが
特にこの「歪み」を抑える技術は
この業界でも特に難しいのだ。
何が難しいのかというと
鉄やステンレスも熱によって歪むのだが
熱の伝わり方が種類によって様々なのだ。
加工すると必ず摩擦の熱が発生する。
その温度は加工の瞬間
工具と材料が触れている箇所は1000度近くになっている。
当然この材料は加工後に全体が温まる。
冷めるときに歪んでいくのだ。
この知を広めていくことも
製造業の人気を高めていく為には必要と思っている。
製造業の就労者数は年々減少している。
その理由は、汚れる、臭い、重労働等
理由は様々。
しかし、人間には五感がある。
五感を頼って仕事を出来るのは製造業の醍醐味だ。
スティーブジョブズ考案のiPhone
イーロン・マスク率いる
スペースXやテスラも製造無くして
発展し得なかっただろう。
この記事を読んで少しでも製造に興味をもって貰えたら
嬉しい限りです。
皆さんにも何か作った経験はあるでしょう
料理でもプラモデルでも家具でも
こだわりを持つことは職人の感覚そのもの
その感覚を磨き続けるということは経験年数ではなく
試行錯誤の賜物だ。
成功への鍵は追求し突き詰めていくことである。
間違っていただきたくないのは、こだわること
追求することは頭で考えるだけではなく
行動し失敗を改善していくということだ。
どうしても職人気質は頭で考えきってしまわないと
納得して行動できなくなってしまう傾向がある。
失敗は成功の元というが、失敗から学び
次に活かさなければならないということは
言うまでもない
と自分にも言い聞かせておくとしよう。
自ら考える事無くして職人や芸術は生まれないだろう
一つ一つを思い出してほしい
「ここを変えればもっと良いな」
と感じたことは無いだろうか。
肌触り、見た目、匂い、音、味
その全てを駆使して作られるものすべて芸術であり
技術に他ならない。
これは理屈だけでは語れない。
例えば料理にも調味料の加減や食感を楽しむ為の切り方を
味覚・視覚で判断、自分や誰かの好みに合わせられることも
芸術であり技術である。
プラモデルはどうだろう。
丁寧なペイントを施されている動画を散見するが
ペイントの技術しかり、その前の下準備が
いかに丁寧に行われているかで仕上がりが全く違う
この丁寧さや好みに合わせられる調整はまさにこだわりであり
職人による技術と言って良い
そしてあなたにもそのセンスは必ず備わっている。
ステンレスには「靭性」と呼ばれる性質がある
これはいわゆる「粘り気」なのだが
見た目で納豆のようにネバネバしているのではない
少々御幣があるかも知れないが
言わばステンレスの硬さやしなやかさを決める
性質のことでこれがステンレスに含まれる成分によって違う。
この靭性は工具に与える負荷の強弱に関わり
工具が悪くなる要因の1つなのだ。
その工具も性質に合わせて種類が様々ある
耐ステンレス用から鉄用のものがあり
耐ステンレス用とは言え必ず熱は発生してしまう。
逆に削る時の熱で表面を薄く溶かし光沢を発生させる
工具もある。
それは主に鉄の加工に用いられる。
進化している工具も扱う人によって
善し悪しが変わる。
そのためセンスを常に磨いていく必要があるのだ。
17年加工に携わって感じた事
一言でいえば「同じ動きにこだわりを持てますか?」
という事。
プライベートは置いておいて
仕事の中でも同じ動作というのは何処かにあり
その同じ動作の中に効率と品質が共存している。
品質とはその美しさであり
極々単純で同じ動作でも、美しさを求めると
一つ一つの所作がきれいで洗礼されていないと
高い品質を提供することは出来ない。
集団での作業になると、これが非常に難しい
それぞれ感覚が違うからだ。
企業努力で自動化を進めているものの
一つ自動化させるのに数億円の投資が必要となるが
省人化を推奨している国からも
援助など無いため自動化が進まない
自動化をしても設備のメンテナンスは人間が行う必要があり、これからの製造に必要な人材の一つに
設備のメンテナンスや修理の知識を持つ人に需要があると思われる。
ここまで感覚や加工についての話をしてきたが
わたしは加工以外に好きなことがある
それは最後に話した機械の修理だ。
使われている機器もすべて毎年進化しており
常に発見がある。
単に機械の仕組みや電気回路に興味があるだけではない。
機械は人に忠実であり、裏切らないからだ。
人がメンテナンスを怠ればすぐ故障し
その逆もしかり、丁寧に扱えば
長期にわたり使うことも出来る。
製造において、もし人間関係に不安がある人は
このように機械と向き合う仕事をおすすめしよう。
また思い付いたら続編を書こう。