見出し画像

TFX-Artist 〜アーティストへの道〜 #5「文字が出てこない」なんて言わせない。

TFX-Artistの機能とともに、今回は「フォント」について書こうと思います。いつも私たちがお世話になっている「フォント」。そこには実に多くの「文字」が収録されています。今回のお話は、それを最大限活用しよう!という内容です。

「TrueType」と「OpenType」

皆さんも耳にしたことがあると思いますが、どちらを使っていますか?フォントメーカーにもよりますが、「TrueType(.ttf)」と「OpenType(.otf)」の両方が用意されている場合があります。(Fontworksでいうと、フォント名が「FTT-」は「TrueType」、「FOT-」は「OpenType」です。)
是非とも「OpenType」フォントを使ってください!細かい説明は他に譲りますが、とにかく「OpenType」の方が新しい規格なわけです。「OpenType」を使えば、TFXなどのパソコンのソフトが、フォントを扱う能力をより発揮することができます。「プロポーショナルなカーニング」(TFXでいうところの「メトリクス2」)や後に説明する「異体字セレクタ」は、「OpenType」がなせる技術です。「OpenType」フォントが持つ多彩な情報から、パソコンのソフトの様々な機能が使えるようになります。

「Stdと「Pro」

これも「OpenType」フォントにまつわることです。フォント名に「Std」と「Pro」がありますが、何が違うのでしょうか?これは収録文字数に差があります。
パソコンで文字を打ち、変換するといろんな漢字や記号が表示できますね。でもたま〜に人名とか、思うような漢字が出てこない時があると思います。それは表示したいフォントに、その文字が収録されていないからです。
Std」という規格には、9,354文字
Pro」という規格には、15,444文字
最も収録文字数が多い規格に「Pr6」がありますが、これには、23,058文字が収録されています!フォントを作っている人、ありがとう!(現在の最新は「Adobe-Japan1-7」。「令和」の合字が追加され、収録文字数は23,060文字です。)文字が出てこない時は「Pro」のフォントに変えれば、もしかすると出てくるかもしれません。

「N」付きのフォント

フォント名に「N」が付いてるものと付いてないものがありますよね?どちらを使えばいいのでしょう?「N」が付くか付かないかで、一部の漢字は
表示される形が異なります。
「N」が付くものは、「JIS2004字形」というもので、こちらの方が新しい規格なのですが、一部の漢字(168字)が旧字体風になっています。

Nフォント_01

「逢」のしんにょうの点が二つになったりしているんですね。ちなみに、常用漢字である「道」はN付きフォントでも一点しんにょうです。この辺りややこしいのですが、常用漢字という義務教育で習うもの(現在2136字)は略字風の方を使うことになっています。

「N」付きの方が今は主流になっているので、とりあえずこちらを使えばよいと思います。どうしても「逢」を一点しんにょうにしたい場合は、N付きのフォントでも「OpenType」であれば、TFXの「異体字セレクタ」で一点しんにょうに変えることも可能だったりします。

ちょっと余談ですが、
どんなWindowsパソコンにも入っている「MS明朝」「MSゴシック」というフォントがあります。これらには「N」という名前はついていません。ですが、今パソコンを買えば「MS明朝」「MSゴシック」は「JIS2004字形」です。いわゆる「N」付きフォントと同じです。(Windows Vistaからこの仕様になったそうです。)
昔のパソコンか今のパソコンかで、文字を入力した人の意図とは関係なく、
漢字の形が異なってくることが多いにありそうです。

「異体字セレクタ」って楽しい!

あまりそんな人はいないかもしれませんが、TFXで「異体字セレクタ」のウィンドウを表示させておくと楽しめます。(メニューバー:「表示」→「異体字セレクタ」・ショートカット: Alt+2)

異体字_01

異体字」というのは一般的には、旧字など、意味や読み方が同じで漢字の一部が異なる字体のことを言います。
フォントにとっての「異体字」は、「OpenType」フォントの機能を使って、ある文字に紐付けられた文字のことを言います。漢字以外のひらがな、カタカナ、英数字などにもたくさんの紐付けがされていることがわかります。フォントを作る人が、ある文字に対して関係のありそうな文字を結びつけてくれているのです。それが「異体字セレクタ」に表示されます。
「異体字セレクタ」を見ていると普段使わないような文字が表示されるので、フォントにはこんな文字もあったのかと毎回発見があります。もちろん、困った時に便利なので有効に活用しましょう!

「異体字セレクタ」の便利な変換例はこちらです。

変換例_01


異体字の面白い変換例はこちらです。

変換例_02

「フォント」にはこんなものまで収録されているんですね!☃️(雪)なんかはフォントによって表情が違うので面白いです。

* * *

是非とも、たまには「異体字セレクタ」をご覧ください!文字表現の幅が広がるのではないでしょうか?
「あの文字が出てこないんですけど〜」なんて言わせません!


Best regards,
884tak


もしもサポートいただけたら、そのお金は私の愛猫のエサ代となります。猫の笑顔が見たいです。