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拝啓 財務省さま

暮れも押し迫り、私も税理士の端くれとしてお客様から年末調整計算のご依頼を承り、忙しくさせていただいております今日この頃であります。

いつもは旅道中をテーマにしてnotoに日記がてら掲載させておりますが、年末と言うこともあり、多少業務のことも知っていただこうかと思った次第であります。
ご存じの通り年末調整は、会社員の方々の年間の所得税を正しく計算する大事な作業でありす。

私がこの業界で仕事をさせていただくようになってから、もう35年もたってしまいました。
最近では、複雑な税制でも年末調整計算のソフトウェアによって、まるで勝手に計算してくれているようで…
まあ、便利になりました。
年末調整申告書類の作成については、税務署が配布するチラシで、パソコンや携帯からデータ入力して便利ですよ…って広報されていて…
便利なツールができてありがたい話です。
が、どれだけ浸透しているかわかりませんが…

昔は手書きでの作成でしたがシンプルで良かった。
税理士事務所に入社したばかりの私でも、書類の作成からデータ入力まで少し教わって仕事はできたものです。

今はどうか?
便利なツールがあるとは言え、年末調整申告書類用紙もずいぶん様式が変わり、A4サイズの用紙には小さな文字の説明文が押し込まれ、そこに極細のペンでしか書けないくらいの小さな欄に家族の名前などを書き込む。そして公式に金額を当てはめ控除額を計算する。一体何の計算をさせられているのだろうかと疑問を感じながらお客様が書いた申告書をチェックし完成させております。
年に一回だけ体験する会社員にとっては大変な作業かと存じます。

もう、私も50半ばの歳にもなれば目がショボショボしてしまって…
米粒より小さな文字を読むのも用紙を遠ざけたりメガネをずらしたりとピントを合わせるのも一苦労しております。

なぜ、このような煩雑な申告書になってしまったのでしょうか?

それは増税に関わる条文が増えたことによるものと認識しております。
減税ならまだしも増税のために必要な書類に誰が積極的に記入したいと思うでしょうか?
しかし、日本人は真面目なんです。
誰も文句を言わず、一生懸命に申告書を作ります。
間違いがないように、添付書類も揃えて…健気に真面目に納税をするんです。
それを良いことに、次から次へと増税の条文が増えるんですね。そしてさらに文字を小さくしてA4サイズの用紙に押し込める。また公式も増えて何の計算をさせられているのか益々わからなくなる…

まあ、財務省にお勤めの方なら誰でも、申告書類にスラスラとお書きになられるのでしょうが…

扶養控除、配偶者控除、基礎控除…
各々重箱の隅をつつくような計算をさせることが国民のためになっているのでしょうか?

果たしてこれらの難解で複雑な税法に経済合理性が有るのでしょうか?
不公平が生じないようにいろんな策を講じていると言われるのでしょう。
その通りです。
しかし理屈なんて言うものは後付けではありませんか?
私には税制をもてあそんでいるようにしか見えないのであります。

「代表なくして課税無し」

税制をどうすべきかは国民が判断すべきものでなければなりません。
国民を代表する国会議員の皆さま方が税制を決定すべきものでなければなりません。
国民に分かりやすく公平な税制でなければなりません。
一部の人間が、都合良く作るものであってはいけません。
納税者はどこまで我慢できるのでしょうね。
我慢比べもいいですが、限界を超えてしまったときはどうなるのやら…と心配しております。

加えて納税者との直接な窓口になっている税務署職員の皆さま方も混乱されていませんかね?

私は時々、税務職員の方に一言申したいことがあってもグッと押しこらえています。
この人たちが制度をきめているわけではないですから…
彼ら彼女らもまた国家国民のために使命感を燃やして、徴税業務にあたってこられていると存じます。正に尊敬に値する人たちです。
複雑すぎる税制を納税者に理解いただくのも一苦労かと存じます。
それでも世間から見ても納得してもらって気持ち良く納税していただくよう日々努力されていることを承知しています。

財務省にお勤めの皆様、どうか国民一人一人が気持ち良く納税ができる仕組みを作っていただけますよう心から願っておる次第であります。
                    敬具

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