呑んだくれの秋田旅行
中学からの遊び友達が福井から秋田に転勤になった。
時々、出張だと称して秋田から上京して来る。
上京のたびに、一緒に飲んでいる始末である。
一時は、毎週のように上京していたらしいが、本当に出張だったんだろうか…
あやしい·····
それはともかく、その友人が秋田にいる間に、秋田を訪れたいと思っていた。
こたつに入り雪見酒もいいと思ったが、福井育ちであるので雪を見たところで珍しくもない。
しかも流行り病の中、自粛に迫られる。
4月に入りようやく暖かくなった。
流行り病も少し落ち着き、ようやく秋田に行く環境が整った。
秋田行きの目的は温泉と酒である。
純粋にプライベートな旅行というのは久しぶりだ。
秋田の風光明媚な景色をみて感動し、旨い肴で旨い酒を飲みたい。
そして男二人で語り合う…
男二人と言うと勘違いされそうだが、誤解のないように言っておく。
想像されるような関係でも趣味でもない。
最近思うのは、飲んだり語ったりが自分の生きる糧となっている。
東京の喧騒の中で土曜も日曜もなく働く。
それは誰のため?もちろん顧客のためである。
その報酬は何か?
もちろん金銭的な対価はいただくが、人としての喜びって何なんだろうと…
昨年末で、自分の仕事に一定のけじめを着けた。
追われる仕事をしていたのでは、お客さんへの満足は与えられない。
また、体力的にも劣りを感じ始めたころである。
今、自分がすべき責任はお客さんに迷惑をかけないことであると思い、業務を他社に引き継いでいただいた。
少しだけの余裕と、次のチャレンジの道が開かれた気がする。
その反動で今秋田で呑んだくれている。
これからの生きる糧にするために…
同行した友人もいろいろと考えているようである。
彼はサラリーマン。
妻子を地元に残し、彼は単身秋田勤務である。
定年まで何が出来るか?定年後どうするか?
50歳を過ぎるともう目先の事である。
新人の教育はどうする?
新人どころか年上の部下の扱いほどめんどくさいものはないと言う。
言うこと聞かないから異動させたらしい!
そんな話を酒の肴にして、酒を酌み交わす。
サラリーマンも楽じゃないな…
肴が旨いと酒が進む。酒が進むとまた肴が欲しくなる。
地元の食材には地元の酒が良く合う。
東京では聞かない銘柄を選ぶ。
それぞれ個性の有る酒である。
しかし、肴の邪魔をしない。
もう何を飲んだか覚えていない…
もう酒を語る資格はない。
とにかく何でも美味しくいただいた。
楽しい宴であった。
秋田に感謝である。
ホテルに戻り、コンビニで買ったワンカップとつまみで、今度は一人酒を楽しむ。
ソファーに座り、ワンカッブをチビチビ飲みながら、昼間に行った乳頭温泉郷鶴の湯温泉の画像を整理する。
飾り気のない質素な温泉郷がまた落ち着きのある風景である。
note掲載用にと写真を撮りまくったが、良さが伝わっているだろうか…
有名な秘境温泉だが、平日だったせいか訪問客は少なく、ゆっくり温泉に浸ることができた。
今回の目的は、温泉に入ること、旨い酒を飲むこと。完全に果たすことができた。
呑んだくれた後は、新たな出発である。