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《魔力の墓所》等、電撃禁止を『歓迎派』視点で色々と語る記事。
皆さんこんにちは。昨晩は衝撃的なニュースが入ってきましたね。
《波止場の恐喝者》
《宝石の睡蓮》
《魔力の墓所》
《有翼の叡智、ナドゥ》
上記四枚が電撃禁止。
SNSでは多くの意見が飛び交い、反対意見を多く見かけましたね。
ちなみに、筆者はバリバリの賛成派です。
今回は賛成派側から見た、今回の改正の内容をまとめようと思います。
また炎上かなぁ……。俺に言っても変わらねぇって。
また、《ナドゥ》だけは他三枚と事情が異なりますので、他3枚のことをまとめて三種と便宜上記述したいと思います。毎回、《墓所》及び《睡蓮》及び《波止場》……とか書きたくないし。
1:『自己紹介』
筆者のスタンスとしては過去記事の見出しだけ見てください。
クソ長いので別に読まなくて良いです。マジで。見出しだけ見てください。
キャッチの画像からして火力が高ぇなオイ 僕の記事を要約すると、僕のスタンスは、
《波止場》は簡単に勝てすぎて統率者体験がつまらなくなったし、持ってるのに使わないのは舐めプだし、モチベが下がった。
《宝石の睡蓮》は発表時からクソカードでコレを買わないといけないのかと辟易とした。
《魔力の墓所》(や《古えの墳墓》)はスタートダッシュの再現性を上げすぎており、誰かが使うと他のプレイヤーも買わざるを得ない。
《ナドゥ》はデザインに失敗しました。
みたいな感じで、四枚とも存在に疑義を呈していた側です。
ちなみに、上の記事は散々炎上したので、再燃させなくて良いです。
反対派主張はだいたい理解してるし、その上でツマンネェっていう個人的感想以外の何物でもないので、議論の生産性がない。
反対意見を書きたい人は、自分でnoteとか書くのがお勧め。
では、ちょっと個人的感想の部分をちょっと掘り下げてみます。
2:『前提の確認』
まず、前提として、禁止はない方が良いですが、出るものです。
上記の《ナドゥ》の記事でも書きましたが、無数のフォーマットを想定しながら無数のカードを有限のスタッフが有限のリソースで調整するのは不可能です。
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筆者の相棒《巻きつき蛇》のベストフレンドであり、
MTG人生で最も激昂した禁止指定。
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当時のスタンの相棒、《ジアトラの特使》を肯定する1枚。
デッキが崩壊しました。
感情としては、もちろん愛用のカードが禁止にされた気持ちは理解します。
1枚5000円とかの《歩行バリスタ》4枚が消え、デッキが瓦解したときは僕もブチ切れてましたからね。
ば、バリスタああああっ!
— 84g (@8844gg) August 3, 2020
俺のアブザン巻きつき蛇があああっ! https://t.co/AwfsSYs2Qu
当時の僕のツイートですね。
いやぁ、このときの衝撃は未だに忘れていませんし、未だに禁止に追い込んだ《太陽冠のヘリオッド》を許してないです。
特に今回は他フォーマットでツブシが効かないカードばかりなので、猶更でしょう。
感情的には禁止反対派の気持ちは共感できてます。僕も手持ちは《波止場の恐喝者》だけですが、率直に資産価値がガタ落ちしましたからね。
で、感情的には反対派のスタンスを理解しますが、
その上で禁止の妥当性に関しては理性的には妥当である、と断言します。
《歩行バリスタ》は無限コンボ抑制のための禁止ですが、《鏡割りの寓話》は多くのデッキで採用され、3ターン目の《鏡割り》を阻害するために2ターン目にカウンターを構える動きが最適解とされ、イビツなプレイ体験を生んでいました。
《鏡割りの寓話》がなければデッキじゃないし、《鏡割り》を連打しているだけで勝つ環境でした。
まあ、それはそれで面白かったけど、大多数は禁止に賛同していたように思います。
で。
従来の禁止指定に当てはめて、今回の4枚は禁止が妥当性があるかといえば、間違いなく妥当って話です。
《太陽の指輪》だけなら99分の1なので、マリガンをしてまで探すのは悪手です。手札が減ってもアタリが少なすぎる。
しかし、三種がある場合、更に《古えの墳墓》や類似する1ターン目に2マナ以上を捻出させるカードが組み合わさる場合、ゲーム体験が変わります。
フリーマリガンと統率者という八枚目の手札の存在から、卓順が3番手や4番手なら、1~2回のマリガンをしてでも三種を探しに行く方が適正なプレイングとなってしまいます。
これはこれでゲーム性としては成立してるけど、イビツな体験であるのは間違いないと思います。
シングルトン(ハイランダー)とは、元々一期一会で全く異なるゲーム体験をもたらすという前提であるのに、再現性が高くなってしまっている。
ゲーム性として成立していることと、プレイ体験として正常であるかはイコールではない。
これはMTGの常識というか、《鏡割りの寓話》の例を出すまでもなく当然ですよね。
2ターン目に打消しである《かき消し》を構えることだけがMTGではない。多様性が必要である。
3:『みんなが反対している!……本当?』
少なくとも、僕は禁止に賛同してる。
そもそも、現状で残っているEDHプレイヤーは現状を楽しんでいるので変化を嫌うのは当然。
賛同するのは既に統率者を去っていった人々と、これから始める人々では?
もし禁止されなければ、これからも参入障壁の高額カードとして三種はデッキに入れて当然、カジュアルを名乗りながら、初期投資ウン万円のカードを入れないとそれが敗因で負け続ける環境が続行するはずだった。
既得権益以外の何物でもない悪習であるという風に僕には認識している。
一応、フリープレイ会の場を作ろうと、一応リーダーとして頑張ってた時期があるけど、そこで複数回、『《魔力の墓所》を買わないと遊べませんか?』って質問がでたことがある。
僕の回答はいつでも、『無くても遊べる、好きにして』だった。おカネの話だしね。
ただ、『気楽に遊べて誰でも楽しめる場』を目指していた僕としては辟易としていたし、他の高額カードよりも入れ得なのは明白で、そこからモチベーションが激減して開店休業になってる。
高額カードが参入障壁になっていた事実があり、プレイ体験としても正常でない以上、三種の禁止は妥当。
繰り返しだが、少なくとも、ここにひとり、三種が消えるなら統率者のプレイを増やそうかなと思っている人間(筆者)がいる。
論理的に考えれば、むしろ反対派は何を言っているんだって話でしかない。
だがしかし、しかししかし、感情的に考えれば、今回の禁止指定にも色々と問題もある。
4:『目指すべき統率者体験とは?』
そもそもの話、統率者は最適なプレイを目指してメタを読んでサイドチェンジしてコンバット計算して、強い方が勝つというゲームではない。
C・EDHやガチ、THE・GAMEやレベル10と呼ばれる例外を除いて、EDHとは楽しむものである。
筆者は、構築戦でサイドチェンジやメタ読みといった要素を楽しんでいます。
切り札を4枚にするか3枚にするか、2枚にして類似するカードに散らすか?
サイドプランをメインから搭載にするか、トップメタには有力だが複数のティア2には役に立たないなら、それは勝率を勘案する上でどうなるか……。
シナジーを優先すべきか、妨害を積むか、環境に訴求される強さの定義とは何か、妨害の選定はシナジーにどの程度干渉をするかなど、引き算と足し算を繰り返し、その上で使いたいカードで勝率を追求するのは難しいですが、やりがいがあります。
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《歩行バリスタ》を失い勝ち目は薄いし、
研究は難航しているが、だからこそ面白い。
対して、EDHに求められるのは、とにかく好きなカードを足していき、やりたいことを追求していくゲーム体験です。
EDHで《巻きつき蛇》を使うだけなら簡単です。色が合ってシナジーのあるカードを統率者領域に置けばいい。いくらでもある。
サーチカードも緑も黒もクリーチャーを探すのは得意だしね。
簡単に再現性が上げられる。やりたいことだけできる。キーカードはマナさえあれば何度でも出せる。
構築戦で乱発する『シナジーするカードが引けなくて困る』みたいなのはないわけです。
筆者としてはEDHの魅力はMTGの醍醐味の「難しい所」を全部省いて、「誰でも遊べる」ようにしたコミュニケーションツールであると考えます。
構築戦の奥深いが、良くも悪くも脳を焼くほど熱中して解答を探し続ける体験は必要ないわけです。
気楽に遊ぶ。それがEDH。
今回に限った話じゃないんですが、それで強さを目指すていう捻れが、常に根幹にあるだけ。
そもそも、多人数戦なので妨害の向きやキマグレで勝敗が揺れ、強いプレイヤーが勝ったりするゲームじゃないんですが、その上で勝率を上げようとすると、自分の動きを押し付けてキルターンを早めて再現性を高めるっていう、EDHの根底的な遊び方と逆行しちゃうからね。
5:『重い統率者はどうやって出すんだ!』
SNSやニュースサイトのコメントで散見されたのが、「重い統率者を出せなくなる」というコメント。
まあ、 重いんだから出すのが大変なのは当たり前です。そういうカードです。
周囲のキルターンが5とか6で間に合わないってんなら、卓のレベルが高すぎるだけだよそれ。
むしろ、周りから三種が消えるんだからキルターン遅くなるんじゃない?
周りが三種がない中でゲームしてて、自分だけ三種を使って重い統率者を出す想定なの? どういうこと?
で、MTGは重いものは重い、そういうゲームです。
そこでアイデアを絞るゲーム。 そういう意味で「重くても軽くても同じようなプレイ体験」にしていたと言う意味でも、僕は三種の禁止に賛成。
「重くて取り回しが悪い」もその統率者の個性。
選択肢は無限にある。むしろ無限の選択肢が帰ってきた。
今まで三種に圧迫されていた99分の3が、自由枠として帰ってきたのはEDHとして適正に思えます。
6:『感情の話』
一番の問題は、『なぜ今なのか』だと思います。
公式記事ではストリクスヘイヴン以降のカードパワーの増加に言及されていますが、まあ、その前から《魔力の墓所》は問題だったわけですし、
ストリクスヘイヴンも2021年の春発売と、3年ちょっと前のエキスパンションです。
そもそも、禁止に関しても事前告知も十分とは思いませんでしたし。
この辺り、邪推できる余地はあるんですが、推測に推測を重ねる話になるので、ちょっと省かせていただきます。
もちろん、制定時からずっとEDH汎用高額カードとしての地位を確立していた《魔力の墓所》が急に消えたのはショックだよね。
ただ、既に禁止されているP9のモックスよりマナ効率の良いカードが「絶対安全!禁止されない!」と主張するのは無理があるよね。
で、この辺りでウィザーズが悪いか、統率者委員会が悪いか、みたいな論調はよく聞くんですが、その辺りは個人個人に任せます。
とりあえず、僕視点だと絶対的な悪者はいないな、とは思ってます。
今回の件に関しては見えない範囲が多すぎる。相手の手札がわからないのにミスプレイかどうかは分からないでしょ?
状況的に批判的な立場になる人が多いのは理解できるけど、事情の精査ができない状況ではワルモノを決めるのは感情論でしかないように思う。
憂さ晴らしで愚痴るのは全然良いけどね。
で、あくまでも『禁止推奨』なので各カードショップや格グループが禁止調整しても良い。
これは以前から言われていることで、裁量権は常にプレイヤーにある、とはいえ。
まあ、荒れるよ。
例えば、十人前後のグループが有って、その中でオリジナルの禁止制定を決めようとしたとき、「《魔力の墓所》は使って良いよね」と「《宝石の睡蓮》は良いだろう」派、「いやいや《波止場》はファクトデッキへの安全弁!」みたいな層が意見を交わしたとします。
《ナドゥ》に人権はない
これ、多数決でも議論でも、納得して満足は難しい。
そもそもの話、メンバー全員が一定の議論能力を有しているわけでもない。
喋るというのはエネルギーを使うし、他人と意見をブツけあわせるのがストレスと感じる人間も多く、MTGはあくまでも趣味なのに、なんで貴重な休日に議論なんて面倒なことをしないといけないのかって話で、意見が有っても出さない人間も多いでしょう。
気晴らしにやっている趣味である。特にEDHは気楽に遊ぶものだ。
最初から正解がないものなので、議論では発言力が強くて口の立つ人間はほぼ勝利する。(筆者のような人間だね)
結局、主導する人間の意見をナアナアで取るならまだしも、変更なし推奨禁止のままで『全員が納得したことにする』とか、全員面白くないし、労力の無駄と感じそう。
で、オリジナル禁止を使ったコミュニティはガラパゴス化する。
外から禁止推奨で来た人とは遊びにくいし、禁止推奨世界から来た人だけ外向けのデッキを使う話になっちゃうし、排他的だしね。
まあ、個人的なコミュニティであればどんどんガラパゴス化して良いと思うんだけど、カードショップとかウェルカムなフリープレイ会とかでは採用できないだろうね。
客を選ぶ、って話だから。
7:『おカネの話』
「買った人がカワイそう」はそれはそう。
遊べると思ったオモチャが急に遊べなくなったんだから。いくら禁止改定は前提としても買った人はツイてない。間違いない。
ただ、「俺は頑張って買ったんだからお前らも買え」という構造になっていたし、繰り返しだけど既得権益で、EDHの本来の意義からすれば逸脱している存在なのもやむなし。
「いつか」が今来てしまった話。
問題は、カードショップ。
元々、取り扱いの難しいカードゲームで仙台という『都会と田舎のハイブリッド』みたいなところで生活している人間からすると、
近所のカドショでMTGの扱いがどんどん減っているし、新規開店するお店でも全く扱っていない。
今回の一件でも、万単位だったはずのカードが一晩で大暴落するというのはその流れを助長しそうな気はする。
筆者が想起したのが再録禁止リストの事件。
高額カードの再録によって痛手を受けたカードショップが訴訟を起こして、再録禁止って言うシステムができた一件。
今回は、下手したらそれ以上の金銭的な損失を世界的に多くのカードショップに与えている。
もちろん、それに関して統率者委員会もウィザーズも補填する義務も義理もないけど、更に取扱店が減ればウィザーズが困るよね。
個人的には、次にウィザーズがどんな手にでるかに注目しています。
統率者マスターズは次回もあるのか? 統率者デッキは出続けるのか?
統率者委員会を無視できるポスト統率者のオリジナルフォーマットを立ち上げるのか?
(元々はブロールがその役割だった気がするが、全く定着しなかった)
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画像はMTG日本公式より引用しています。
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