スタン落ち雑感 2024(前編)
皆さんこんにちは。
久方ぶりのスタン落ち、MTGスタンダードについて語っていきます。
昨今、多くの問題がMTGには付きまとっています。
プレイヤーの高年齢化と新規層の減少、再録禁止による参入障壁、モダホラ等による環境の恣意的ともいえる激変、パック形態の高額・複雑化……。
それぞれが複雑に絡み合っており、それこそ魔法のような解決策はないのが現状です。
しかしながら、現実的かつ根幹的な解決策、そのひとつがスタンダードの最適化にあるように筆者は認識しています。
スタンダードはその名の通り基本となるべきフォーマットであり、本来的には初心者から玄人までが充実して遊べる中核的フォーマットであるべきであるというのが、開発たるウィザーズ並びにプレイヤーの大多数の意見でしょう。
究極的には、このフォーマットを行わない=パイオニア以下しか行っていないプレイヤーが多くなりすぎ、
その層へカードを販売するためにモダホラやマスターズ等の高額商品、射幸心を煽るコレクターブースター等の特殊化している側面もあるでしょう。
というわけで、ファウンデーションによる基本的な戦術の制定によって初心者・経験者が共に馴染みの戦術を確立させ、
そして購入したカードがより長く使用できるようにする、それがスタンダード三年制の意義であると認識します。
というわけで、去年はスタン落ちが存在しない一年でした。
未だ三年制を前提としていないエキスパンションが豊富に存在しており、真の意味での三年制スタンダードではないかもしれませんが、それでもMTGの未来のために大事な一歩であると認識しています。
さて。
前置きが長くなりましたが、今回はスタン落ちとなったカードの振り返りとなります。
今回スタン落ちするのは、以下のエキスパンションとなります。
イニストラード:真夜中の狩り 発売:2021年9月末
イニストラード:真紅の契り 発売:2021年11月半
神河:輝ける世界 発売:2022年2月半
ニューカペナの街角 発売:2022年4月末
いやぁー……色々ありましたねぇ。
今回はその前編としてイニストラード二種類を掲載。
次回は残る2パックと、スタン落ちにおける影響とトップメタの影響の分析なんかをしていこうと思います。
『イニストラード:真夜中の狩り』
変身カードを多く採用しており、特に昼夜システムのカードは各色で多くの傑作カードを生みました。
また、昼夜だけでなく、生前・死後の姿を現す降霊カードとしても登場。
新規キーワードなら集会もありましたが、余り活躍できず。
主要部族としてゾンビがあるように、墓地利用も強いエキスパンションでした。
久方ぶりに登場したキーワード、フラッシュバックもそのひとつです。
フラッシュバックといえば忘れてはならない1枚といえば、《くすぶる卵》でしょう。
フラッシュバックカードを駆使して裏返るドラゴンとして、《アールンドの天啓》と共にイゼットのスペル系デッキの底力を見せつけました。
《天啓》のスタン落ちからは目立った成果を上げられませんでしたが、鮮烈な印象がありましたね。
続いてスペル系といえば、このカードを忘れることもできないでしょう。
デルバーこと、《秘密を掘り下げる者》です。
下環境で伝説的な強さを発揮し続ける1マナ3点飛行クロック。
昨今では他の1マナ域の強化から押され気味ですが、スタンダード再録時には大きな話題となり、青単テンポデッキは、安い・強い・楽しいデッキとして幅広く使われていたように思います。
その隆盛を支えた2枚のカードも、同じくスタンダードを退きます。
完全上位互換といえばコチラ。
土地1~2枚でこのカード頼みでキープ、顔面に撃ちながら必要な分の土地を探すという世紀末なプレイスタイルは、赤単らしさ全開。
このカードの独特な立ち回りは中毒性があり、登場からスタン落ちまで赤系アグロ使いを魅了し続けました。
赤使いといえば。
敵対者サイクル。
他の4枚もかなり注目され、多くのデッキで試されていた傑作サイクルです。
最終的に3年間通じて安定して活躍し続けたのは赤敵対者こと、この《血に飢えた敵対者》だったと思います。
普通に2マナ2/2速攻として序盤を戦い、終盤は墓地から釣り上げた顔面火力と速攻アタックでライフ削る動きが赤単らしいグッドカードです。
そんな赤単、並びに《放浪皇》の除去能力対策に、警戒というキーワードが評価されていたシーズンだったように思います。
警戒を持ちつつハンドアドも稼げる。《切り崩し》が効いたり効かなかったりするのもチャームポイント。
《エシカの戦車》との相性が良く大活躍でした。
最終的には《戦車》のスタン落ち、そして似た挙動をする《名もなき都市の歩哨》に押し負ける形で、徐々に姿を消していきました。
姿を消したといえば、禁止カード《食肉鉤虐殺事件》、通称ミートフックも忘れてはいけないでしょう。
使われてわかるウザさ。ライフゲインで時間を稼がれ、高速ビートダウンの多くは泣かされました。
このカードの禁止化で相対的に強化されたうちの1枚、それは《エーデリン》でしょう。
統率者として指定すると1パンチごとに3体のトークンを出す強力カード。
対処必須のパワーカードで、コレ1枚でゲームエンドまで行く強力カードです。
単独でゲームに勝つカードといえばコチラ。
除去できなければ墓地のスペルが全て襲ってくる。
打ち消されない能力は、墓地のカウンタースペルを使いまわせなくする制約的な側面が強いという、青としては特殊なデザインでした。
統率者として指定すると、青でありながらお互いに打消しが打てなくなり、カオスな盤面になることでも有名です。
打消しではないタイプの妨害を多めに入れておきましょう。
カオスといえば、マニアックなデッキも多く生まれましたが、その中で特記すべきなのは、やはりこれ。
一見すると意味不明すぎる挙動で土地を操るスライムロームの心臓部。
このカードのスタン落ちで事実上アーキタイプが消滅することになります。
パイオニアで舞い続けられるか? 期待です。
地味にスタンダードから退場することとなった1枚が《廃墟の地》です。
類似カードである《解体爆破場》があるとはいえ、デッキシャッフルが強制であるかなど細かい違いがあるので使う方は要チェックです
そして友好色側のスロウランド。
一時期2000円くらいしていましたが、再録が多く現在は安定しました。
下環境ではやや力不足な土地なので、今後は統率者デッキなどの再録の定番となり安価な2色土地としてカジュアル統率者などを中心に普及するかと思います。
『イニストラード:真紅の契り』
『真夜中の狩り』に続投で、通称“新イニストラードブロック”。
新の部分はどちらも邦題が『真』から始まるので、“真イニストラードブロック”などのジョークも。
変身する両面カードとして降霊・夜明けが豊富なのは前作から続きましたが、構築戦で活躍するカードは少なかったように記憶しています。
両面カードとしては、超一流の存在感を発揮し続けたカードといえば、《婚礼の発表》でしょう。
これを重ねて置いているだけで勝てるというレベルの制圧力を発揮。
このカードのスタン落ち後、白系の横並べ系デッキがどのような対処を見せるか、注目ですね。
新規の固有のキーワードも登場しており、そのひとつが訓練です。
殴るたびに成長し、ナチュラルに置物対策も兼任する万能っぷり。
1ターン目に《有望な信徒》、2ターン目の《サリア》の動きはパイオニアでも通じるスーパーアクションでした。
3ターン目に《エーデリン》? しかも《魂の洞窟》経由で打ち消せない? 喧嘩売ってんのか? というパッケージもド定番。
こうなったらリセットボタンで流すしかねぇ、新規のもうひとつのキーワード、それが切除。
黒系のサイドボードの定番として軽量対策として使われていました。
この枠が何になるかも注目ですね。
スタンダードではあまり見ませんでしたが、統率者戦では統率者本人を1マナで打ち消せるということで注目された1枚。
キーワードといえば濫用もありましたね。
前回の敵対者サイクルのように登場したサイクル、墓所サイクル。
固有キーワードとしては、血トークンも忘れてはいけませんね。
他にも強力カードも多数ありました。
プレインズウォーカーも強かったですね。
今となっては灯の変質で登場するPWカードの枚数も減少傾向となったので、構築戦で活躍するPWカードを輩出するパックも、もうあまりないかもしれません。
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