歩道橋の歌詞に込められた意味を考える

例によって自分用備忘録なので、仮説どころか妄想のようなものをさも事実であるかのように書きます。

37thシングル「歩道橋」の歌詞考察やっていきます。
大々的な発表や、作曲が杉山勝彦氏であること、曲調などから物語における非常に重要な1曲であることは誰の目にも明らかでしょう。
そもそも重要じゃない曲があるのかっつう話になりますが、「誰が見ても重要」というのがポイントです。漫画で言うと大ゴマ、見開きのシーン。

まず、この楽曲がどういう位置付けになるのかから。
乃木坂第2部はチートデイで幕を閉じたわけですが、曲の雰囲気から、この曲こそがエンディングなのではないかと感じる人もいるかも知れない。
ただ、断言します。これは乃木坂第3部のオープニングです。
夜明けで始まりチートデイで終わった第2部。長いこと遠藤さくらが主人公で第2部が進んでいると思っていたので、当時の自分なら「いいエンディングだ」と思っていたかも知れない。
第2部の主人公は久保史緒里でした。乃木坂らしさを追いかけ、眠れないほど苦悩し、未来にあった答えに辿り着いた。
久保が主人公の第2部が完結した次のシングルが今作「歩道橋」なんです。
このシングルから新しい乃木坂の物語が始まります。
主人公はもちろん遠藤さくら。
4期生は生駒里奈とも、西野七瀬とも同じ曲を歌っていない「新しい乃木坂」なんです。

ここから具体的な歌詞考察。
前提として、この曲の中で時間の経過がほぼないというのがひとつ重要なポイントです。
階段を昇って、歩道橋の途中でふと足を止めて、「このまま渡っていいのか」と不安になったその一瞬の葛藤を描いている。
次にこの歩道橋がどこにあるかというと、「信号までは遠すぎる」とあるので、交差点や横断歩道からある程度離れた位置にあることが分かります。
また、道路を挟んで「こっち」と「あっち」が出てきました。ただ、前述の通り信号までは遠すぎるので、「あっち」に渡ったからといって進む方向自体はそこまで変わらないのではないかと考えられます。
何せ歩道橋の下には「渋滞している他府県ナンバー」があるくらいですから、大きな幹線道路っぽい。
この進む方向というのが時間の経過というか、そのもの人生を表しているのかなと思いました。
こっちを「このままずっと歩いて行けば」「君のことを失うこともない」、あっち側は「何が待つのか」わからない。
それらを踏まえて歌詞全文さらっていきます。

木枯らしに襟を立てる季節になっても
まだ決められないよ
大それた夢なんか叶うわけないだろう
ただ躊躇していた
目の前には僕の人生
階段を昇る

1番メロの部分。
イントロの雰囲気も相まって、自信のなさが窺える歌詞になっていますが、サビに入っての曲の盛り上がりとか、この後の歌詞を思うと、「まだ決められない」も「躊躇」も、表向きだけというか、実はもう覚悟は決まっているのに言い訳だけしているような印象。躊躇「していた」と過去形やし。
で、前提部分で書いたように、歩いていく先が人生。歩道橋はその人生に対して垂直に設置されているので、階段を昇る先が「僕の人生」というより、人生を歩いていく中で、こっち側からあっち側に渡ろうとしているのかなと思います。
「大それた夢なんか叶うわけない」という自信のない自分がこっち側で、「僕の人生」を歩いていくために、あっち側に渡ろうという意志を感じました。

歩道橋の途中で足が止まった
本当に渡っていいのかなって…
通りの反対側 何が待つのか?
期待と不安に挟まれながら
さあ どうする?

サビ。
階段を昇って、歩道橋の途中で止まりました。
正直ここについてはあまり書くことがありません。割とそのまんまの歌詞です
強いていうなら、夜明けでは「不安とは期待の裏返し」とあったので、そこから大きく成長しているとかでしょうか。
期待の裏返しということは、夜明け時点では不安しか感じていないんです。不安しかないけれど、この不安は期待の裏返しということかも、と強がっている。
でも歩道橋では不安より先に確かな「期待」があるんです。

太陽が沈みながら急かせるんだ
もう時間がないって…
無理なんかしなくてもこっち側を
そう歩いて行けばいい
このチャンスをもし逃したら
信号までは遠すぎる

2番メロ。
何度も書いてきましたが、沈む太陽は卒業生です。
無理なんか〜 の部分は、ネガティブの部分。でもこれもさっき書いたように言い訳です。本当はあっちに渡りたいというのは決まっている。
この部分で特に熱いのは「チャンス」です。
沈む太陽=卒業生。それでチャンスが出てきたら、そこに山下美月を感じずにはいられない。
チャンスは平等の歌詞考察はラジオ配信でもこのnoteでもやりました。

チャンスは平等におけるチャンスは「自分の人生を歩く」というチャンス。
自分が主人公になるチャンス。
山下美月卒業から、「ライブは全員が主人公」というテーマがよく出てくるようになりました。
「落とし物」に込められたメッセージもそれでした。
「僕の人生」が出てくる歌詞で、同じブロックに「太陽が沈みながら」と「チャンス」が出てくるのは絶対に意図してのものだと思うんです。
予防線として、このままこっち側を歩いて行けばいいと悩むけれど、沈む太陽に山下美月を重ねて、「このチャンスをもし逃したら信号までは遠すぎる」と改めて決意しているのがわかる。

歩道橋の下には別の運命
渋滞している他府県ナンバー
今なら引き返せるのに振り向きたくなる
自分に何度も問いかけながら
空見上げる


2サビ。
渋滞している他府県ナンバーが何を表すかって話になるんですが、これと同義語としてSingOut!における「ここにいない誰か」があります。つまりこの渋滞している他府県ナンバーの車には、これから乃木坂に加入する6期生が乗っています。
渋滞しているから今は一緒に歩いていない。
ただ、いつか渋滞は解消され、車は流れ始める。
歩道橋が交差点と離れていることから、他府県ナンバーの車と「僕」は同じ方向に向けて進むので、歩くより速いスピードで追いついてくる。そういうところも乃木坂の新人っぽい。
次に秋元康の天才っぷりを感じた「今なら引き返せるのに振り向きたくなる」
ここマジでやばいんです。
普通に考えたら「引き返せないのに振り向きたくなる」なんです。引き返したくて振り向くなら。
でも「引き返せるのに振り向きたくなる」となっているので、その逆になる。
つまり、歩道橋で一度引き返そうとしているんです。でも、やっぱりこのまま渡りたいから振り向きたいんです。
ここにも冒頭の、言い訳しながらも実は決意しているという描写に繋がるんですよ。
ここは本当に痺れた。

このままずっと歩いて行けば君のことを失うこともない
それなりにしあわせだけど
いつかここを渡る日が来るのかなあ

Cメロ。
この部分だけちょっと違和感を覚えました。
もしかすると、ここだけ時系列が違うのかもしれない。
具体的にいうと「ここにはないもの」の時期。
齋藤飛鳥との別れを思い出しているのかも。

歩道橋を選ぶか選ばないか
次の信号まで悩むつもりか?
僕の未来はどこまでも続いてる
こっちかあっちか答えはないだろう

落ちサビ。
後半部分で、こっちでもあっちでも僕の未来が続いてるということがわかる。
ここまで来たら「僕」の気持ちは固まっている。
引き返すことも考えていないんです。

歩道橋の途中で足が止まった
本当に渡っていいのかなって…
通りの反対側 何が待つのか?
期待と不安に挟まれながら
さあどうする?
このまま渡ろう

ラスサビ。
これはもう答え合わせというか。
途中で足が止まった。
一瞬の躊躇。昔を思い出したり、これからのことを考えて一度引き返そうとした。
それでもやっぱりこのまま渡りたい。
そんな遠藤さくらの力強い決意を感じる歌詞でした。

久しぶりに全歌詞で考察しました。
こっちとあっちがそれぞれ何を表しているかは、それこそ明確な答えはないので、各々が思うものを当てはめればいいんじゃあないでしょうか。

歩道橋を渡って、道路を挟んだあっち側に行った新しい乃木坂。
そこから始まる乃木坂第3部の物語がどういう風に展開していくのか。
楽しみにしていこうと思います。

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