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心理学的切り口から見る「ひみつのアイプリ」の話 その3 / 鈴風つむぎが体現するAIのシンギュラリティ
心理学的切り口から見る「ひみつのアイプリ」の話 その3 / 鈴風つむぎが体現するAIのシンギュラリティ
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概要
心理学的切り口から見るアイプリの話 その3
・鈴風つむぎが体現するAIのシンギュラリティ
・ダークアイプリはプログラムのバグの具現化
・つむぎから見たチィは”学習データをくれた恩人”
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シナリオを心理やメタ目線を用いて深読みする話の番外編です。もしも読む場合は前前回から読むのをオススメします🔗
前前回
前回
また、「『ひみつのアイプリ』第45話:つむぎちゃんを救え!」のネタバレを含むため、視聴してから読むことを推奨します。
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心理学的切り口から見るアイプリの話 その3 本編
前回までに鈴風つむぎのデフォのデザが黒髪で言動は幼児寄り、ブランドはナチュラル系なのは最初につむぎを児童の”等身大”として提供しておき、優雅で可憐なプリンセスver(理想像)にチェンジさせることにより児童の変身願望を満たす造形になってるからではないかと話した。
今回は児童コンテンツとしての工夫点を探る方向性からエンタメとしての工夫点を探る方向性に視点を変え、つむぎの変身はAIのシンギュラリティを視覚的に表現していた伏線だったのではないか?という話をしていきます!🍀
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ここからはラフに敬語を外して書きます!☀️
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「『ひみつのアイプリ』第45話:つむぎちゃんを救え!」にて、鈴風つむぎは人間ではないアイプリバースのプログラム、AIであることが明らかになった。
また、つむぎはひまり達と経験を重ねるにつれて喜びや悲しみといった感情が芽生えていき成長したが、それは言い換えればプログラム・つむぎが予期せぬ機能を果たしたことと同義なため、その影響で他のプログラムに歪みが生じ、その結果ダークアイプリが誕生してしまったことが明かされた。
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女児アニメなこともあり現在(〜45話)アイプリバースにて発生している問題の趣旨が簡潔に説明されていたが、起こっていることは「AIのシンギュラリティによりプログラムの動作に影響が出て、バグが発生した」ということなのでめっっちゃ深刻。
めっちゃヤバいやん・・(三ツ葉アイリ)なんだけど、この”ヤバさ”を伝えるには人工知能のシンギュラリティについての説明が不可欠なので、ざっくり説明していく。
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シンギュラリティ(技術的特異点)とは「AIが人間の脳と同レベルまたはそれを凌駕するレベルの知能に到達した時点」のこと。まだ現実には起こっていないが、仮にこの時点に到達したときには”AIが自己を持つも当然”とも言えるため、AI自身が自己の利益を優先してプログラムを放棄し、プログラムの動作に悪影響が生じてしまうのではないか・・などと懸念を抱かれている。
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今回のつむぎの話はこの「AIのシンギュラリティにより起こり得る問題・またそれに対する懸念」そのものだった。
「鈴風つむぎというAIがひまり達と経験(=学習)を重ねたことにより喜びや悲しみといった感情を獲得し、その繰り返しで人間のと同レベルまたはそれを凌駕するレベルのアイプリ(白つむぎ)の知能に到達してしまい、プログラムの動作に悪影響(=バグ=ダークアイプリ)が生じてしまった」と言ったふうに。
つまりは鈴風つむぎがひまり達と経験(=学習)をすればするほどアイプリバースが闇(=バグ)に染まる危険性が高まるということである。非情なシステムだ。
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>女児アニメなので問題の趣旨は簡潔に説明されているけれど、その本質はAIのシンギュラリティに関する問題であるということは知識を保有していれば前後の文脈から推し測れるようになっているのがこのストーリーの面白い点だと思ってます。
児童コンテンツで“知識を保有してないと文脈を深くまで読み抜けない”構成を用いることって制作陣が仕込んだタイムカプセルだな・・と時折感じるんですよね。
ワタシは例外なくビックなフレンズなので推し測ることができるんですが、女児先輩はもう少し大きくなってからこの話が「AIのシンギュラリティに関する問題」だと読み込むことができるようになる。そこで初めて制作陣の意図に初めて気づくといったふうに成長したときには昔とは違う目線で楽しめる作品になってるという。子供騙しをしない姿勢でモノを作るのって、すごくいいと思います。
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この視点から見ると、青空ひまりのパパこと友希さんが提案したシステムリセットも堅実な選択。
友希さんのリセット発言は冷徹に感じるところもあるが、アイプリバースという仮想空間にしか存在しない非実在の人工知能の少女と実在の子ども達の安全のどちらを優先するかを天秤にかけたときに後者を選ぶのは、アイプリバース開発者の大人としては”間違いのない選択”だ。
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だけれど、AIとは言え鈴風つむぎの主体性を考慮せず強制的に思い出をリセットされてしまうことには疑問が残るし、今このシステムを改善しておかないと今度こそ取り返しのつかない大事になる可能性が高いので改善に努めておいて損はない。
・・まあ友情パワーでなんとかなるでしょ!!ってことでこの話はほどほどにして、ここからはこの切り口から見たときの面白い点を書いていこうと思う。
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🎀黒つむぎ→白つむぎの変身で視覚的に鈴風つむぎのシンギュラリティが表現されていた(伏線になっていた)。児童コンテンツとして変身願望を叶えられるようにしつつ、同時にエンタメとしての伏線を落とし込むキャラの造形がお達者。
黒つむぎが未学習・学習途中のAIならば、白つむぎは「シンギュラリティ」に到達したAIということ。白つむぎ状態になると急に感情が豊かになるのは経験というデータをもとに自己が芽生えたから。
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🌟また、この切り口から見ると「チィのおかげ」というセリフの業が深くなるのが興味深い。まさかチィは自分の知恵が”学習”に使用されているとは思っていなかっただろうけど、つむぎはチィの知恵を学習したおかげでシンギュラリティに到達できた。
ひまりとみつきとの”大切なお友達”とはちょっと違う、”学習データをくれた恩人”。それがつむぎから見たチィなんだと思う。
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おさらい
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ということで、今回はこのようなお話でした!心理学的切り口から見るひみつのアイプリというより人工知能に関する見解的切り口(?)から見たひみつのアイプリでしたが、人工知能は人工知能で面白い分野なのでアリということにしておきましょう。
ここで話したようにいい意味で「女児アニメというフックに一番引っかかりやすい層の理想」を纏って生み出されてるのを特に強く感じるからという理由で鈴風さんが好きになったんですが、二次元キャラ的には清楚でミステリアスなところにも惹かれていて。
今回彼女の正体がAIだと明かされて神秘性に納得すると同時に、白つむぎになると急に自我が強くなるのはシクフレやチィ達と学習を積んでシンギュラリティに到達した姿だったからか〜~!!と鳥肌が立っています。言われてみればかなりそうだなと。この女児アニメ、マジで面白い。
・・たまには児童コンテンツを硬派な切り口で楽しむのも発見があって楽しいですね。最後までありがとうございました!🍀
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