見出し画像

親切の押し売り

 親切ではないです。親切の押し売りです。

 数日前、ヘルパーの仕事で買い物同行中、訪問先のご老人が転んでしまった。
 私はドキッとしたが、慌てるとご老人が不安になるので、一生懸命冷静を保っていた。ここ2ヶ月暑さで外出をしていなかったためか足の運びが悪く、両膝から地面に落ちてしまった。出血はなく、その後は歩けていたのでひとまず安心したが、様子はみないといけない。

【様子】
 しばらく座ってその場にいると、1人の介護の仕事か福祉の仕事をしているらしき雰囲気の女性が「大丈夫ですか」と近寄ってきた。
 「大丈夫です」と言ったが、なかなか離れず「一緒にそこまで行きますね」と言ってしつこくその場に居続ける。
 もちろん重症だったら助けていただくし、本当にありがたいが、足は動くし、痛みの訴えもなかったので、こちらのペースでゆっくり動こうとしているのに、主導権をとっていろいろ声をかけてくる。 

 「もう構わないで」と心の中で思った。大袈裟にしてきて迷惑。

 やっと立ち上がり目的地まで行こうとすると、また「一緒にそこまで行きますね」と着いてくる。

 お節介モンスター。

 今度は「靴がちゃんと履けていないみたいね」と言って、ご老人の足元に手をやってきた。
 左足が元々斜めになっていて靴が履けていないように見えたのだろう。

 足元を見て「え〜っッと」という感じだった。

 「もともとこうなんです」と言うと、突然、別人かと思うくらい笑顔がなくなった。
 今までのしつこさが嘘のように、真顔で不機嫌な顔になって去って行った。
 
 私もご老人も丁寧にその人にお礼を言ったが、ろくな返事もせず去って行った。
 良いことをして自分の心を満たしたかったのだろう。あの去り際の顔と態度が物語っている。

 親切にしてもらったのに、なんだかとても嫌な気持ちになった。

 でも、私も「やっているなぁ」と思い当たる記憶がある。
 気をつけないといけない。

こんな感じできれいに立ち去りたい。


上の写真のポップコーンとうもろこしで作ったポップコーン
手作りは美味しい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?