令和2年11月4日に設置された「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」において、金融庁ホームページで「論点整理」として公表されている成果についての考察である。
今年6月7日に成立した「事業性融資の推進等に関する法律」は、金融庁の取り組みとして「事業成長担保権」という仮称により議論・検討が続けられて来た。
担保と言えば、抵当権などの物的担保と経営者保証の人的担保が中心と考えられるが、興味深い変遷の記載がある。
抵当権は対象が「不動産」である。すなわち「土地」と「それに付加して一体となっているもの」と「建物」であり、「動産」(機械や製品など)には設定できない。
動産を担保にしようとすれば「質権」となり、「占有の継続」(現実的に手元に置いておくこと)が第三者対抗要件となるために、事業用資産から切り離さなければならない。
事業用資産を纏めて担保設定できたとしても、物の入れ替わりや将来のキャッシュフローには対応できないという問題点は残されたままであった。
「実体法」とは民法であり、特別法として「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」によって「法人」についてのみの特例が認められた。
民法の債権法改正は2020年に行われている。
Web3やIoTなどの技術や、AIが時代を席巻し、CSO(最高戦略責任者)という肩書が代表するように「無形の事業資産」が有形資産と同様に価値あるものとなり、いよいよ新たな「担保権」の必要性が増して来た。
新型の担保権は従来型担保権の課題や、事業価値の変化を解決するものでなければならならず、事業成長担保権(仮称)と名付けられた。
金融庁ホームページ 事業全体を対象とする担保制度の検討 (fsa.go.jp) より引用