【カードワースリプレイ】先陣を切る槍 第5話 碧海の都アレトゥーザ(初訪問&デオタトの依頼完遂まで)
この記事はMart様作のシナリオ〈碧海の都アレトゥーザ〉のリプレイです。
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アレトゥーザから来た商人
ある日の昼時、猫の王様亭に1人の商人が来た。
カウンター席に腰を下ろした商人と宿の親父の会話が、テーブル席に集まって昼食を摂っている先陣を切る槍の耳にも届く。
商人:それがさ、最近、リューンとの間に新しい交易路が開通してな、
随分と楽になったんだよ。
テーオバルト:……なぁ、あの商人、アレトゥーザから来たって言ったよな?
カルロ:そうみたいだね。
ブランシュ:アレトゥーザと言えば確か、カルロさんの地元でしたね。
カルロ:う、うん……。
アルフォンス:そのような都市があることは知っていましたが、
私とブランシュ様は今までアレトゥーザに足を運ぶ機会には恵まれませんでしたね。
いい機会ですし、あの商人からアレトゥーザと新しい交易路について尋ねてみますか?
ブランシュ:はい、早速お尋ねしてみましょう。
カルロさんの地元がどんな街か、一目見たくなりましたし。
アレトゥーザに興味津々になったブランシュは、
商人と親父がいるカウンター席に近づき、彼らの会話に加わった。
商人曰く、アレトゥーザはリューンより南東に位置する中規模な海辺の街で、
リューン~アレトゥーザ間は以前、陸路と海路を利用して1か月かかっていたが、
新しい交易路を通れば1週間で行けるようになった。
「おかげで商売がやりやすくなった」と、商人は軽く笑ってみせる。
テーオバルト:親父さんも行ってみたらどうだ? って勧めてるぜ。俺は行ってもいいと思うけどよ、お前らはどうなんだ?
ジャーダ:あたしはアレトゥーザに美味い酒がありゃ行ってみてぇな。
……そういやカルロ、あんたってアレトゥーザから来たんだろ? アレトゥーザに来たらとりあえず飲んどけって酒といえば何があんだ?
カルロ:うーん、ごめん。僕はお酒に詳しくないからよくわからないや。
ジャーダ:ケッ。
カルロ:……でも、アレトゥーザにも冒険者の宿があるから、現地でおすすめを訊いてみたらいいと思うよ。
ジャーダ:そんなら、アレトゥーザの美味い酒は着いてからのお楽しみにすっか。
テーオバルト:ジャーダも行く気になったな。リラもアレトゥーザに行ってみるか?
リラ:うん……テーオが行くなら、ついて行くよ。
ブランシュ:決まりですね。では商人さん、新しいリューン~アレトゥーザ間の交易路をお教え願えますか?
先陣を切る槍は商人からアレトゥーザまでの道程を教えてもらった。
荷造りする必要がるので、その日は昼食後にアレトゥーザに行く準備をし、翌朝アレトゥーザ目指して猫の王様亭を出発することになった。
初めてのアレトゥーザ
猫の王様亭で出会った商人から貰った地図を頼りに、アレトゥーザに辿り着いた先陣を切る槍。
ブランシュ:まぁ、立派な街並みですね!
テーオバルト:なぁカルロ、ここってお前の地元なんだろ? それなら道案内してくれよ。
カルロ:ここはカヴァリエ―リ広場だね。賢者の塔と、訓練場があるよ。
それから西に行くと大運河、東に行くと庶民街があるよ。
アルフォンス:賢者の塔ですか。魔術師としては一度足を運んでみたい場所ですね。……おや?
ブランシュ:先生、どうかしましたか?
アルフォンス:あの衛兵のことが気になりましてね。
何やら我々の様子を窺っているように見えたものですから。
テーオバルト:俺達は犯罪を起こす気なんてこれっぽっちもねぇのに、疑われてるみたいで気分が悪いな。
カルロ:何かこの近所で事件でもあったのかな? そのせいであの衛兵はよそ者に神経質になっているのかも。
……まぁ、気を取り直して、どこか行ってみたい場所はある? アルフォンスが賢者の塔に行ってみたそうだけど。
ジャーダ:あたしは美味い酒が欲しい!
カルロ:お酒は宿に泊まる時にね。
賢者の塔
先陣を切る槍が最初に来た場所は賢者の塔。
リューンの賢者の塔と比べると規模は多少小さいが、アレトゥーザならではの魔術があるという。
アルフォンス:おや、魔術の技能交渉の他に、書籍の閲覧もできるのですね。
……ほうほう、図書室にはアレトゥーザの歴史と文化にまつわる書籍が収められているのですか。そちらも興味をそそられますが、今回ここに来た目的はあくまでも技能交渉。
こちらの賢者の塔では、どのような術を伝授していますか?
アルフォンス:杖に光を灯す術ですか。暗所での探索で重宝しそうですね。
それに光量を調整すれば、敵を怯ませる搦め手としても……。
初歩的な術ながら、活躍の場面が多いですね。
アルフォンス:これは聴覚に働きかけて敵を混乱させる術ですか。
敵の統率を乱すのに使えそうですね。
アルフォンス:おや、回復系の術がありますね。
回復手段が増えればその分パーティの生存率が上がるでしょうが、対象を混乱させるデメリットは無視できませんね。
アルフォンス:武器を魔法で操る術ですか。
今の私の実力で扱えそうな攻撃系の術はこれだけですが、確実に中る攻撃手段(魔法の矢)がすでにあるので、他の術より優先度が落ちますね。
ブランシュ:先生、この中に先生のお眼鏡にかなう術はありましたか?
アルフォンス:はい。惑心の幻聴と迷いましたが、活躍の機会が多い魔法の灯火に決めました。
アルフォンスは400sp支払って魔法の灯火を習得した。
アルフォンス:図書室の蔵書も気になりますが、それは日を改めて来た時にしましょう。
さてブランシュ様、次はどこを見てまわりましょうか?
ブランシュ:私は訓練場が気になりますね。
カルロ:あそこには確か、南方大陸発祥の武術を教えてくれる人がいたはずだよ。
テーオバルト:南方大陸発祥の武術?
カルロ:僕は詳しいことをよく知らないから、気になるなら直接会って訊いてみないと。今日はいるかなー?
倣獣術
賢者の塔を後にした一行は、カルロに案内されて訓練場に入った。
「南方大陸発祥の武術を伝授する人物がいる」と道中カルロから聞かされていたが、早速それらしい人物の姿を見つけた。
テーオバルト:カルロ、あのオッサンが南方大陸発祥の武術を教えてくれる奴か?
カルロ:たぶんそうだと思う。僕は本人に会ったことがなかったけど、人伝に聞いた人相と一致しているよ。
……あのー、こんにちは。僕の仲間が南方大陸発祥の武術に興味がありまして……。どんな術か説明してもらえますか?
ブランシュ:獣に倣う……動物の動きを模倣した武術、ということでしょうか?
槍術があれば習得してみたいですね。
カルロ:倣獣術の他にも、南方大陸発祥の武術があるんですか?
……大運河にいる女性かぁ。(この街を出ていく前に教会の近くでそれっぽい南方人の女性を見かけたことがあるけど、その人かな?)
テーオバルト:一通り説明を聞けたし、どんな技があるか見てみようぜ!
ブランシュ:残念ながら槍術はないようですね。
テーオバルト:その代わりに剣術が多いな。
そういえばブランシュはサブウェポンとして剣も使えるんだろ? だったらここで剣術を教えてもらったらどうだ?
俺は海獣の咆哮って斧術が気になるけどよ……。
アルフォンス:説明を聞く限り、かなり上級者向けの技のようですね。
今のテーオバルトではまだまだ力不足です。
テーオバルト:だよなー。
ブランシュ:それでは、今の私の実力で使いこなせそうな剣術は……。
カルロ:刺突系の剣術だね。命中率が高いのが特長だけど……。
アルフォンス:ブランシュ様の立ち回り方とはあまり相性がよろしくないようですね。
海豹の狩猟や、獰鷲剣あたりがブランシュ様と相性がよさそうに思えますが、使いこなすにはもう少し場数を積む必要がありそうです。
ブランシュ様、いかがなさいますか?
ブランシュ:確かに今の私の実力では使いこなすのは難しいでしょうが、
ブランシュ:まったく使えないということはなさそうですね。
アルフォンス:先行投資として今のうちに学ぼうとお考えなのですね、ブランシュ様。
ブランシュ:はい。なので、今回は獰鷲剣をご教授お願いします。
ブランシュは1400sp支払って獰鷲剣を習得した。
ブランシュ:ふぅ、手首を捻る動きが難しいですね。
使いこなせるように精進しましょう。
テーオバルト:そういえばあのオッサン、南方大陸発祥の武術の使い手が大運河にもいるって言ってたな。次はそいつに会ってみるか?
闘舞術
訓練場で出会った元・船乗りの男から闘舞術の使い手が大運河にいるという情報を得られたので、
一行はカルロに案内されながら大運河に向かった。
カルロ:あの人がそうかな?
テーオバルト:そんじゃ早速話しかけてみようぜ。
ブランシュ:はい。訓練場で闘舞術の使い手が大運河にいらっしゃると伺ったので。
一行は闘舞術を学ぶべく、遺跡のような場所に案内された。
ブランシュ:そもそも、闘舞術とはどのような武術ですか?
テーオバルト:戦いのためのダンスかぁ。それならジャーダにぴったりじゃねぇか。
ジャーダ:へー、あたしにぴったりな武術ねぇ。どんなのがあるんだ……?
ジャーダ:………………。
カルロ:ジャーダ、嫌そうな反応してるなぁ……。
テーオバルト:ジャーダって男嫌いだもんな。
いつだったか、酔っ払いに絡まれたら「このスケベ野郎! [残酷表現につき自主規制]!」って罵りながら半殺しにしたことがあるくらいだし。
ジャーダ:こいつはいいじゃん! 手数の多さで攻められるのは強いに決まってんだろ。
ジャーダ:こっちは敵の攻撃を躱す踊りか。
役に立つっちゃ役に立つんだろうけど、あたしは攻撃系が欲しいんだよなー。
ジャーダ:おー、こっちの攻撃もいいじゃん!
攻撃しつつ、ちょっとの間敵の攻撃を躱しやすくなるのいいじゃん!
連捷の蜂と躍動の獣で迷うな……。
……よし決めた!
ジャーダは1000sp支払って躍動の獣を習得した。
ジャーダ:ふっふっふ。こいつぁいい振り付けだな。
……だけどちょっと疲れちまったな。それに酒も欲しい。酒ぇー、酒飲ませろー。
カルロ:色々と歩き回ったからね。そろそろ宿にチェックインしようか。
庶民街に行けば、海鮮料理が美味しいって評判の宿があるんだ。
酒に飢えたジャーダの「酒飲ませろ」コールがうるさいので、
カルロは足早に宿屋がある庶民街へ仲間達を案内した。
悠久の風亭
カルロが紹介した宿は、庶民街の中では比較的新しい冒険者の宿だった。
ブランシュ:今夜泊まりたいのですが、部屋は空いていますか?
ブランシュ:よかった。お部屋に空きがあって。
……宿泊料は100spですね。はい。
ブランシュが宿の女将ラウラに100sp支払い、
一行は案内された部屋で一夜を明かした。
翌朝、所持金が残り550spと心許ない額になったので、
アレトゥーザ滞在中に何か依頼を請けることにした。
1階に下りた先陣を切る槍は、早速マスターに何か依頼はあるかと尋ねてみたが、
ブランシュ:残念でしたね。
アルフォンス:猫の王様亭に帰った後のことを考えると、帰りの馬車代を節約することも視野に入れる必要があるでしょうか。
リラ:……みんな、女将さんが、頼みたいことがあるって。
ブランシュ:女将さんの頼み事ですか? なんでしょう?
潮干狩り
テーオバルト:食材の仕入れか。山の食材探しならリラがいればなんとかなるけどよ、
海の食材はどうやって獲ればいいんだ?
カルロ:潮が引いた海岸で、砂を掘り起こして貝や海老を獲るんだよ。
獲物がいる場所の目印は、小さな穴が開いている場所だよ。
テーオバルト:小さい穴が目印、な。
ブランシュ:食材の獲り方が判ったことですし、潮が満ちる前に海岸に行きましょう!
ブランシュ:ここが、食材の採集ポイントですね。
砂浜の穴が、獲物がいる目印だそうですが、どこから掘り起こしましょうか?
……波打ち際に近いほうにいそうな気がするので、そこを狙ってみます!
ブランシュが海に近いポイントを掘ってみると……
リラ:砂蛸……?
ジャーダ:うわぁ、なんだこいつ! うねうねしてて気色悪っ!
カルロ:あれは蛸だよ。僕は食べたことがないけど、東方系移民には食材として人気があるみたい。
テーオバルト:あれって食えるのか?
カルロ:食べられるみたいだけど、女将さんが買い取ってくれるかどうか……?
ジャーダ:金にならねぇんじゃ、さっさとやっちまうぞ!
結局蛸は、食材として獲られることなく退治された。
ブランシュ:はぁ、酷い目に遭いました。
波打ち際に近いポイントは避けたほうがいいのでしょうか?
ブランシュは次に波打ち際から離れたポイントを見つけて掘ってみたが、
そこにあったのはゴミ。
ところがその直後、すぐ隣でポイントを見つけたアルフォンスが高級貝を掘り起こす。
カルロ:わぁ、この貝は高級食材だよ。1個で10spの値はつくかな。
テーオバルト:もっと多く掘り起こしてぇな。
カルロ:だけど気をつけて。この貝、さっきブランシュが掘り起こした砂蛸の好物でもあるから。
リラ:えっ……それじゃあ、この貝が獲れる場所には……。
ブランシュ:また砂蛸が出ましたー!
潮が満ちるまで先陣を切る槍の6人は粘ったが、
結局潮干狩りで得られたものはアルフォンスが掘り起こした高級貝1個だけだった。
カルロの見立てによると10sp程度の価値があるようだが、帰りの交通費を賄うには心許ない。
悠久の風亭に戻ってきた一行は、高級貝をラウラに渡した。
ブランシュ:たったこれだけの成果で申し訳ない気もしますが……。
明日も潮干狩り、しますか?
ジャーダ:寝言は寝て言え。蛸なんて二度と見たくねぇよ。
テーオバルト:俺も蛸には懲り懲りだ。あれをやるくらいならゴブリン退治で稼ぐ方ががマシだぞ。
アルフォンス:ブランシュ様、潮干狩りは金策として見ると効率が悪すぎます。今回の所は猫の王様亭に帰り、貯金をしてから改めて……おや?
商人デオタトとの再会
アルフォンスは見覚えがある男がいることに気づいた。
アレトゥーザへの行き方を教えてくれた商人だ。
ブランシュ:あなたはあの時の! デオタトさんとおっしゃるのですね。
私は先陣を切る槍のリーダーで、ブランシュと申します。
ブランシュ:デオタトさんが私達に頼みたいこととは何でしょう?
テーオバルト:護衛の依頼、とかか?
リラ:……ねぇ見て、依頼の貼り紙があるよ。
カルロ:あっ、本当だ。僕達が潮干狩りに行った間に貼り出されたんだね。
えーっと、依頼内容は……これ、デオタトさんが出した護衛依頼だよ!
アルフォンス:それはちょうどいいですね。早速マスターに依頼について尋ねてみましょう。
デオタトの護衛依頼
デオタトが出した護衛依頼に気づいた先陣を切る槍。
宿のマスターに依頼内容と報酬を確認したうえで引き受けると返事すると、
マスターが奥でエールを飲んでいたデオタトを呼んでくれた。
改めて、依頼人のデオタトからも詳しい依頼内容を確認する。
ブランシュ:東方産の貴重な香辛料をリューンに配達ですか。
テーオバルト:そんなに貴重なもんなら、盗賊に狙われちゃたまったもんじゃねぇな。
アルフォンス:期限が設けられていないと言うので、迂回を余儀なくされた場合に納期に間に合わなくて失敗……になる心配がありませんね。
安全に、確実に届けることに専念できます。
ブランシュ:デオタトさん、その依頼は私達がお引き受けします。
ちょうど私達もリューンに帰ろうと思っていたところなので。
デオタトの護衛依頼は、3日までは何事もなく順調だった。
ところが4日目、リューンまであと半分といった所まで進んだが、
道中すれ違った商人から「この先の道が封鎖されている」と聞かされた。
アルフォンス:ブランシュ様、どうやら数日前にこの近辺で降った大雨の影響で、この先にある橋が流されてしまったようです。
テーオバルト:橋が直るまで何日かかるんだろうな?
いくら期限がないって言っても、待たせちまうのは悪い気がするんだよな。
待つのが嫌なら旧街道に迂回するってルートがあるみたいだけどよ、
そっちはそっちで通って大丈夫なのか? って思うんだよな。俺達って今、盗られたらマズいもんを運んでいるしさ。
アルフォンス:ブランシュ様、いかがなさいますか?
ブランシュ:ここは安全を取って復旧を待ちましょう。期限がある依頼なら旧街道に迂回する選択肢を選びましたが。
それから2週間後、
先陣を切る槍とデオタトは無事にリューンに辿り着いた。
予定よりも少し到着が遅れたが、デオタトは荷物を無事に届けられて大喜び。
何事もなくリューンまでの旅を無事に終わらせたことに感激したデオタトは報酬を上乗せすると言って、本来の報酬にさらに100spを加えて先陣を切る槍に支払った。
ブランシュ:こんな形で報酬を増額されるとは思いもしませんでしたが、
デオタトさんが満足したようなのでなによりですね。
デオタトと別れたその後、先陣を切る槍は猫の王様亭に帰っていった。
収支報告
今回はアレトゥーザから来た商人デオタトさんから、
新しく開通したリューン~アレトゥーザ間の交易路を教えてもらったことをきっかけに、みんなで僕の地元――アレトゥーザに行くことになったね。
アレトゥーザに行って、
アルフォンスは魔法の灯火を、ブランシュは獰鷲剣を、ジャーダは躍動の獣を習得したね。
支出
魔法の灯火 400sp
獰鷲剣 1400sp
躍動の獣 1000sp
カルロ:合わせて1800spの出費だよ。
だけどその後に収入もあったんだよね。悠久の風亭の女将さんから食材採集を頼まれて潮干狩りをして獲れた高級貝の売値が10sp、
それからデオタトさんからの護衛依頼をこなして、本来なら300spのところ、無事にリューンに着けたことに感激して100sp追加してもらって400spの報酬を受け取ったよ。
収入
高級貝 10sp
デオタトの護衛依頼 400sp
現在の所持金 960sp
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