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【カードワースリプレイ】天翔ける追求者 第17話 動物裁判

この記事は、盾様作のシナリオ〈動物裁判〉のリプレイです。
配布先はこちら↓

https://ux.getuploader.com/buckler/

スクショ内にあり様作の素材が含まれています。


ニコラスとの再会

その日、運命の羅針盤亭には今日請けられる依頼が何もなかった。
ディーターが商人の護衛依頼を見つけたが、出発日が1週間後。

フロラン:親父さん、しばらく僕達で請けられそうな依頼はないの?
ついこの間フィルと解決した事件で3000spの収入があったけど、この状況が長引くときついよ。
ジェラルド:それなら、貴族の屋敷に御用聞きでもしてみるか?
ディーター:貴族に御用聞きか。何もしないよりはマシだな。
……そういえば、リヒャルト卿は今頃どうしているんだろうな?
俺達は過去にあの人の依頼を成功させた実績があるし、行くならリヒャルト卿の所がいいと思うぜ。
アルベルタ:リヒャルト卿って、あー、別荘を乗っ取ったオークの群れから家宝の鎧を取り返した依頼だね!
フロラン:……リヒャルト卿と言えば、こんな噂を聞いたことがあるよ。
アルベルタ:どんな噂?
フロラン:リヒャルト卿はあの事件以来、オークへの怒りが治まらなかったらしくてね……

フロラン:他にもオークを討伐すると報酬が出るとか、
子供が誓いを立ててオークスレイヤーになったとか……。
オーリガ:さすがに子供がオークスレイヤーになったって噂はガセだろ。
あたしらがあの依頼を請けてから、そんなに長い時間は経ってねぇし。

オークの群れから鎧を取り戻したその後のリヒャルト卿にまつわる噂話で盛り上がっているところに、1人の男が宿に入ってきた。
男の身なりは軽装備ではあったが、その武具は使い込まれたように見える。

オーリガ:……んっ、誰か来たぞ。
ディーター:見た所、騎士の従者か何かのようだな。
フロラン:……なんかあの人、どこかで会ったことがあるような気がするよ。

フロラン:……見つけた? 僕達に何の用ですか?
ミシュリーヌ:フロランさん、この方、以前に盗賊騎士退治の依頼を請けた時にお会いしたニコラスさんです。
フロラン:盗賊騎士退治……ああ、あの時の!
……ところで、ゴッツさんが一緒にいないようだけど、僕達に会いに来た理由と何か関係が?

オーリガ:騎士のゴッツが行き詰っちまうような問題を、
冒険者のあたしらでどうにか解決できると思うか?

アルベルタ:豚が……人を殺した? オークじゃなくて?
ジェラルド:都市部で生まれ育ったお嬢には想像し難いことでしょうが、
豚の突進を侮ってはいけません。
俺の地元でも、豚にどつき倒されて死者が出たことがありますから。
アルベルタ:ヒエッ……!
フロラン:……それで、ゴッツさんが首を突っ込んだ事件ってどんな事件ですか?

ミシュリーヌ:子供を襲った豚は隣村で飼育されていて、男爵への献上品になる予定ですか……。
これは簡単に豚を引き渡さないでしょうね。

フロラン:そんな! 動物が原因で戦争が起こるなんて……!?
ディーター:男爵の献上品になる予定の豚が逃げ出して隣村の子供を殺したことが切っ掛けで戦争が勃発するなんて、個人的には馬鹿げた話だと思うが……今はそれどころじゃないな。
それで、ゴッツはどうやってその問題を解決しようとしているんだ?

ディーター:なるほど、波風を立たせないために、
リヒター卿の領内で第三者のゴッツが豚を捕まえることになったんだな。
それから捕まえた後の動物裁判は教会がやって、豚はリヒター領内の野良豚として扱えばハインツ男爵と領民達の面子も保たれると。
ジェラルド:それでニコラスは、裁判のために司祭を村まで連れて行くことになったというわけか。

オーリガ:事件を解決するには豚を捕まえなきゃいけねぇのに、
肝心の豚の捕縛が行き詰ったからあたしらに助けてくれってか。
……報酬は1000spか。金額は悪くねぇけど、どうする?
フロラン:……引き受けよう。盗賊騎士退治の時はゴッツさんが味方になったおかげで勝てたし、その時の恩返しって意味も込めて。
オーリガ:恩返しって……まぁ、確かにあいつと出会わなかったら、あたしらだけで勝てたかどうか怪しい戦いだったけどよ……。

こうして、天翔ける追求者はニコラスに案内されてリヒター領へ行くことになった。

ゴッツとの再会、そして聞き込み開始

ジェラルド:無事にゴッツと合流できたな。
フロラン:豚はリヒター卿の領地のどこかにいるんだよね?
闇雲に捜しても見つけられそうにないし、森に入る前に村人達に聞き込みしようよ。


森に入る前に、捜索対象の豚について情報収集を始めた天翔ける追求者。
そこで彼らは、豚が子供を襲った現場を目撃した村人と出会った。

フロラン:豚が子供を襲った現場を見たんですか? どんな豚でしたか?
僕達はこれからその豚捜しに行くところなんです。

ディーター:普通の豚の倍の大きさって、とんだ巨体だなその豚は。
……それじゃあ、大きさ以外に何か特徴はあったか?

ミシュリーヌ:焼き印のことは、宿でニコラスさんからも伺いましたね。
オーリガ:それから背中に大鎌でつけられた傷があると……。
ディーター:ターゲットを見つけるのに有益な情報が得られたな。

他にも、子供が豚に殺された事件後に森で逃げた豚を目撃した情報を得られた。

オーリガ:食いもんが豊富にありゃ、まだ森の中にいるかもな。
……だけど、肝心の豚が森のどの辺にいるか目星をつけられねぇんじゃ、捜索は難航しそうだぞ。
それに豚はリヒター領内で捕まえる約束だろ。うっかり隣村の領内にあたしらが迷い込まねぇように注意しなきゃいけねぇぞ。
フロラン:……そういえば、村には漁師がいるんだよね。その人に案内役を頼んだらどうかな?
ディーター:それは名案だな。じゃあ漁師の家に行ってみようぜ。

一通り村人達から豚について聞き込みを終えた天翔ける追求者は、
森の中の案内役を頼もうと猟師の家を訪ねた。
ところが猟師は昼間から酒を飲んで酔っ払っており、とても案内役が務まりそうにない。

それでも土地勘がない森に案内役なしで入るのは無謀と考えて、
天翔ける追求者とゴッツ、ニコラスは、狩人と猟犬を連れて豚の捕縛のために森に入った。

豚の捜索開始

フロラン:この子が一緒にいれば、関係ない動物に襲われる心配がないんだね。よろしくね。

フロラン:えーっ、一緒に来てくれないんですか!?
……行っちゃった。

狩人は猟犬を置いて村に帰ってしまった。

オーリガ:しょうがねぇな。
この犬っころがどこまで役に立つかわかんねぇけど、もうこいつを頼りに豚を捜すしかなさそうだぜ。

こうして、8人と1匹による殺人豚捜しが始まった。


ディーター:さすがに森に入ったばかりの所に豚はいないか。
道は3方向に分かれているな。さてどこに進もうか?

一行は猟犬の反応を手がかりに森をうろつき、かなり奥まで進んだところで、ようやく猟犬が吠えた。
近くに豚がいる合図だ。

オーリガ:ここってかなり奥のほうだよな。
豚が隣村に逃げられちまう前に見つけねぇと……。


豚捜しは難航し、一度猟犬が豚を見失った。
再び猟犬が吠えた場所は、森の東部。

オーリガ:くっそー、どこに逃げやがったんだ?
……んっ?

アルベルタ:いたー! やっと見つけたよ!
フロラン:……村人から聞いた通り、背中に傷があるよ。あの豚で間違いないね!


ディーター:豚を生け捕りにするなら、ちょうどいいマジックアイテムがあるぞ!
ミシュリーヌ:あっ、その巻物は……。
ディーター:ああ、いつぞやの失踪事件で犯人が使ってたものだ。
これで眠らせてしまえば、殺人豚だろうが俺達にとって脅威にはならない!

ディーターは以前手に入れた相手を悪夢に誘う魔法のスクロールを利用して、あっさりと豚を無力化した。

一悶着

一行が豚を連れて村に帰ろうとしたところに、
茂みから武装した2人組の男が現れた。

アルベルタ:えっ、なんなのこいつら?
オーリガ:まさか……隣村の兵士か?
ディーター:これは厄介なことになりそうだぞ……。

ディーター:いや、俺達は越境した覚えはないぞ。
(まぁ、土地勘がないからどこが境目だかよくわからないし……)
兵士:とにかく豚を置いて去れ!
ゴッツ:この豚は人殺しだ。
男爵からはこいつを捕らえる許可を頂いている。
兵士:ほう、この豚が人殺しだという証拠がどこにある?
ディーター:豚の焼き印と村人がつけた傷が証拠だ。

ジェラルド:そんな無茶苦茶な……。
あんたら、ゴッツとの取り決めに合意したのにそれを破る気か?

オーリガ:(おい……どうなってやがるんだ? このままじゃあたしら、豚泥棒の濡れ衣を着せられちまうのか……?)
ディーター:(このままじゃみんな豚泥棒として捕まっちまうな。
なんとか、この危機を乗り切る方法は……?
……打開策はあるっちゃあるが、ゴッツが乗ってくれるかどうかがもんだいだ。だけどやるしかない!)
……そこの下郎ども、このお方が誰だかわかっていないようだな。
”辻斬りゴッツ”だぞ。
フロラン:……ディーター?
ジェラルド:……一体何がしたいんだ?
兵士:は? 辻斬り?
ディーター:このお方が今まで決闘で斬った人数を知っているか?
99人だ。お前達、100人目になりたいか?

ディーター:(よし、ゴッツが乗ってくれたぞ!)

ディーター:まぁ何はともあれ、危機を乗り切れたんだ。
あいつらにまた絡まれる前に村に戻ろうぜ。

動物裁判

豚を生け捕りにして村に戻ってきた頃には、動物裁判の準備が大詰めになっていた。
それと並行して、ゴッツは何やら書状を認めている。

裁判の立ち合いのために、領主のリヒター卿も来た。
一行はリヒター卿から、森で出くわしたあの兵士達について聞かされた。
彼らは隣村の男爵が別の領主との争いのために雇った傭兵らしい。
戦がない時も領民を恫喝したり、領地の境目で揉め事を起こしているという。

オーリガ:(つくづくゴッツは敵に回すと厄介な野郎だな……)


それからしばらくして、リヒター領内で動物裁判が行われた。

傭兵へのフェーデ

裁判が終了後、男爵と傭兵に書状を届けたニコラスが戻ってきた。

オーリガ:邪魔が入らないようにしろって、どういうことだ?
(もしかしてゴッツは、敵が伏兵戦法か何かを仕掛けてくると想定してんのか……?)

オーリガ:盗賊騎士との戦いぶりを見て、あんたが強いことはあたしらは知ってるぜ。
……だけどこんな所であんたに死なれてタダ働きは嫌だからな。
ディーター:フロラン、ニコラスが言うには敵はかなりの曲者のようだけどいけるか?
フロラン:……ちょっと怖いけど、僕も最後まで付き合うよ。

こうして、天翔ける追求者はゴッツ対傭兵のフェーデに強力することになった。


ディーター:何を撃ち込むつもりだ?
オーリガ:あんたらの企みはバレバレだぞ?

ゴッツに不意討ちを仕掛けようと企んでいたことを悟られたと判ると、
傭兵達は天翔ける追求者に襲い掛かった!

ジェラルド:敵の数は3人か。数で勝っているとはいえ、ニコラスから聞いた話によるとかなりの曲者らしいから油断ならないぞ。
ディーター:誰を優先して倒すべきか、まだ手の内が判らないから悩むな。
1人ずつ順番に、確実に潰していく作戦で攻めるのがいいか?

ディーター:神罰の矢も氷柱の槍も耐えられるとはなかなか打たれ強いなこいつら。
フロラン:だけど確実にダメージは与えられているよ。
ディーター:そうだな。一撃で無力化できる攻撃手段がないなら、集中攻撃を仕掛けて確実に数を減らしていけばいい!

ジェラルド:お嬢! ……斧の使い手は薙ぎ倒しが脅威だな。
動きが大振りで中りにくい代わりに、威力が強力すぎる。
フロランやミシュリーヌが倒れたらマズいぞ……!
オーリガ:フロランもミシュリーヌも詠唱する余裕がなくてすぐに回復できそうにねぇか。……ったく、世話の焼けるガキんちょだな。(エドナ水薬を取り出しながら)
ジェラルド:オーリガ、お嬢を頼む!

フロラン:まずは1人目を倒せたね!
ディーター:残る2人の片方はあと一発中てられたら倒れそうだな。
そいつは俺が仕留めるから、みんなはピンピンしてる方を狙ってくれ!

中央の傭兵はディーターの氷柱の槍で、
右の傭兵はジェラルドのオーバーランでとどめを刺した。

戦いに勝利した天翔ける追求者は、傭兵達がどうやってゴッツに不意討ちを仕掛けようと企んでいたのか気になって持ち物を調べてみたところ、
黒い液体が付着した矢じりが見つかった。

オーリガ:……毒矢だな。これでゴッツの動きを封じて袋叩きにしてやろうって算段だったみたいだぜ。
フロラン:僕達で阻止できてよかったね。
ミシュリーヌ:そうですね。いくらゴッツさんといえど、毒に中っては本領発揮できなくなってしまいますから。


一方、ゴッツと傭兵の頭目とのフェーデはゴッツが勝利した。

事件解決

動物裁判と傭兵達との戦いに決着がついたその後、
リヒター領では刑死した豚が村人達に振る舞われていた。

犠牲になった子供の冥福を祈りつつ、
村人達は彼らにとって貴重な肉をスープ鍋に放り込む。

その様子を見ながら、天翔ける追求者の6人は動物を裁判にかける意味はあるのだろうか? と物思いにふけったが、結論らしい結論には至っていない。

ゴッツとニコラスから別れ際に、
豚の捕縛と伏兵の傭兵戦の報酬として1500sp受け取った。

収支報告

今回は過去に請けた盗賊騎士退治の依頼でご一緒したゴッツさんとニコラスさんから、
殺人豚の捕縛に協力する依頼を請けました。
それから隣村の男爵が雇った傭兵を追い払うためにゴッツさんがフェーデを仕掛けたので、私達は敵の伏兵相手に戦い、勝利しました。
豚の捕縛で1000sp、対傭兵隊の伏兵戦で500sp。
合わせて1500spの収入がありました。
これで現在の所持金は8790spですね。

収入:1500sp
現在の所持金:8790sp

ミシュリーヌ:……ディーターさんとオーリガさんが技能交渉をご所望のようなのですが、
ディーターさんが提示した予算が6000spだそうです。
私達にとって決して安くはない出費ですが、今の所持金ならなんとか出せる額なのでお渡ししましょう。



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