【カードワースリプレイ】天翔ける追求者 第2話 隠者の庵
本記事はFuckin'S2002様作のシナリオ”隠者の庵”のリプレイです。
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導入(貼り紙発見)
天翔ける追求者が国境の渓谷での魔物退治依頼をこなしてから数日後。
彼らは今日も、宿の掲示板の前に集まって請ける依頼を吟味していた。
その中に、
村のはずれに不審な人物が庵を構えたので、身辺調査をしてほしいという依頼があった。
今のところ、庵の住人は村人達に危害を加えたことはないとあるが、
村人達が庵の住人のことを恐れている様子が依頼書の文面に表れている。
そんな依頼が気になったフロランは、
依頼書を見せながら宿の親父から詳しい話を聞いてみることにした。
ディーター:話し合いだけで300sp。
もし調査対象が俺達に襲ってきて退治する事態になったら、別料金を請求ねぇ。
確かにこれは美味しい案件だな。
フロラン:だからって調査対象を襲わないでよ?
ディーター:そんなことしないって。
オーリガ:安心しなフロラン。あたしは堅気の奴は殺さねぇ主義だからな。
もしも他の奴らがロクでもねぇこと企んでやがったらそん時ゃ阻止してやるさ。
……ところで親父、現場のトマック村ってのはどこにあんだ?
宿の親父:トマック村は確か、リューンから北へ2日ってとこだな。
中央行路からは逸れてるが、まぁ、別に危険もないだろ。
ジェラルド:リューンから北へ2日か。道中も特に危険はないようだな。
さてフロラン、この依頼を引き受けるか?
フロラン:引き受けるよ。だから親父さん、トマック村までの地図を見せて。
こうして天翔ける追求者は、
トマック村のはずれにある庵の住人の身辺調査依頼を請けることになった。
トマック村に到着
リューンから2日、トマック村に着いた頃には夕方になっていた。
天翔ける追求者は村に着くなり、
調査対象について詳しい情報を得ようと依頼人の村長宅に来た。
ディーター:得体の知れない雰囲気ねぇ。
依頼書によると、調査対象は村人達に危害を加えたことがないようだが、村人達が恐れをなすほどの何かが庵にあるのか?
まぁ、それは現場を見て確かめてみないことには何とも言えないな。
そういうわけだから村長、俺達は今から例の庵に行ってみるぜ。
村長:よろしくお願いいたします……。
天翔ける追求者は、村長に見送られながら調査対象が住んでいるという庵に向かった。
庵に向かう道中、
ディーターが仲間達に庵の住人が「どんな奴だと思う?」と問いかけてきた。
ジェラルド:とにかく、話が通じる相手であってほしいと願っている。
こっちには戦い慣れしていないのが2人もいるからなおさらだ。
ミシュリーヌ:私もです。村長からお話を伺って、邪悪な魔術師の類かもしれないと懸念しているので。
フロラン:僕も荒事は避けたいと思っているけど、ミシュリーヌが心配しているようなことにはならないと思うなぁ。
もし庵の住人が悪い人だったら、とっくに村に何か被害が出ているはずだよ。
ミシュリーヌ:ですが、今はまだ準備中で、これから何か危害を加える気でいる可能性も否定しきれません。
アルベルタ:だったらそいつを私達がやっつけちゃえばいいんだよ!
オーリガ:やっつけちゃえばいいって簡単に抜かすなよ。敵の実力が判らねぇうちに……。
庵の住人がどんな人物かについて話しているうちに、
調査対象が住んでいるという庵が見えてきた。
フロラン:あれが村長が話してた庵だね。
ノックしてみるよ。
フロランが玄関に近づき、扉をノックしてみる。
ところが、いくらノックしても家主からの返事が聞こえない。
フロラン:反応がないね。……留守? それとももう寝たのかな?
オーリガ:気づいててシカト決め込んでやがるかもしれねぇぞ。聞き耳立ててみっか。
ジェラルド:本当か?
オーリガ:ああ。
ディーター:だが中にいる奴はノックしても反応しなかった。
俺達の存在に気づいていないのか?
……ここにいてもどうにもならないし、思い切って入ってみようぜ。
フロラン:えっ、そんなことして大丈夫?
アルベルタ:もうそうしちゃおうよ! ごめんくださーい!
ノックしても無反応だったが、中に人がいるとわかり、
天翔ける追求者は思い切って玄関の扉に手をかけた。
ジェラルド:村人達は気味悪がって近寄らないとはいえ、不用心だな。
……それにしても暗いな。本当に人がいるのか?
暗い庵に足を踏み入れると、天翔ける追求者の前に人影が現れた。
隠者とのご対面
突然人影に声をかけられて、天翔ける追求者は驚きの声を上げた。
そんな彼らをよそに、
人影はシュレックと名乗り、何の用でこの庵に来たかと尋ねてくる。
話が通じる相手だとわかって安堵した天翔ける追求者。
部屋の暗さにも目が慣れてきて、ようやくシュレックの姿が見える。
フロランは勝手に入ったことを謝罪したうえで、
自分達がリューン近郊の宿場町に所属する冒険者であり、
トマック村の村長から依頼を請けて訪ねてきたことをシュレックに話した。
ディーター(おいおい、調査対象に馬鹿正直に「身辺調査のために来ました」って言っちゃって大丈夫なのか?)
フロランの話を一通り聞き終えて、
シュレックは村人達への伝言を語る。
フロラン:えっ、そんなこと言って大丈夫なんですか?
オーリガ:そうだぜオッサン。下手したら村人達が討伐隊をけしかけてくるかもしれねぇぞ?
シュレック:わたしの心配をしてくれているのか?
だがその心配は無用だ。
君達が村人に伝える際にはこう付け加えておいてくれ。
”奴の身体は魔物に捧げられているから、奴が死ねばこの村に大量の魔物が押し寄せるだろう”とな。
オーリガ:……そう言われちゃ、安易に討伐したくてもできねぇな。
本当かどうかはともかく。
アルベルタ:ねぇディーター、同じ魔術師としてあんたは今の話を信じられる?
ディーター:そうだな、少なくとも村人が何もしなきゃ危害を加えないって話は信じていいと思うぜ。
アルベルタ:ふーん。
シュレックが村人達に危害を加える気がないとわかり、
ディーターは同じ魔術師として彼に興味津々。今までどんな魔術を研究してきたかを尋ねた。
ディーター:不老不死を求めていた……。
(となると、シュレックには死霊術の知識もあったりするのかもしれないな。だが聖北教徒のミシュリーヌがいる前でそんな質問をしたら、色々と面倒くさいことになりそうだからやめておこう。)
ディーター:おっ、そんな貴重な物を俺達に見せてくれるのか?
そしたら俺の研究活動の役に立つ知識を得られるかもしれないな。
もちろんそれなりの代価は支払うぜ。
(とはいえ、今そんなに金持ってないんだよな。
所持金800spじゃ、駆け出しが扱える程度の術1つ分が限界か。)
こうしてディーターは、シュレックと技能交渉をすることに。
隠者との技能交渉
ディーター:戦闘用以外にも、探索の役に立ちそうな術が多いな。
ディーター:ほーん、この魔力感知って術はなかなか役に立ちそうだな。
……受講料は600spか。魔物退治の報酬が全部吹っ飛ぶが、それだけ支払う価値は充分あるだろ!
ディーターは600sp支払って、魔力感知を習得した。
ところが、どちらかといえば大胆な性格の彼とは相性がよろしくない模様。
シュレックの素性がわかり、ついでにディーターは魔術を教えてもらったので、
調査結果を村長に報告するためにシュレックとここでお別れ。
ディーター:ああ。まとまった金が入ったらまた来るから、その時も魔術書を見せてくれ。
伝言もしっかり村長に伝えておくからな。
調査結果報告
村長の家に着いた頃には、すっかり夜中になっていた。
天翔ける追求者からの調査報告を聞いた村長は、「庵に近づかなければ危害を加えない」という話に半信半疑の様子。
ディーター:ああ。魔術師の”約束”は信用できる。
自らの名に於いてそう約束したんだからな。信じて大丈夫だ。
村長:………………。
もし我々が、その”約束”を破って皆様や領主様にその魔術師の退治を依頼したりすれば……
ディーター:やめておいたほうがいい。
あいつは冒険者が太刀打ちできる相手じゃないし、教会や領主なら力ずくで解決できるかもしれないが、その時はこの村もタダじゃ済まないぜ?
なんにせよ。あいつを刺激しないことがこの村にとって最善の選択だ。
あいつは、俗世に興味がこれっぽっちもない――隠者だからな。
村長:……わかりました。皆様を信じます。
こうして天翔ける追求者は報酬300spを受け取り、
村長との別れ際にも、シュレックを刺激しないようにと釘を刺しておいた。
収支報告
収入:300sp
支出:600sp(魔力感知の受講料)
現在の所持金:500sp
ミシュリーヌ:思わぬ出費があって、今回は300spの赤字になってしまいました。
果たして、ディーターさんが教わった魔力感知がこれから役に立つ時は来るのでしょうか?