【カードワースリプレイ】先陣を切る槍 第4話 葬儀屋シェリィと不思議の館
この記事は、昇進様作のシナリオ〈葬儀屋シェリィと不思議の館〉のリプレイです。
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寝る前サクっとカードワースVol.6に収録されています。
この記事のスクリーンショットに、あり様作の素材が含まれています。
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葬儀屋の娘シェリィ
猫の王様亭に黒装束の若い女性が依頼を出しに訪ねてきた。
彼女の名前はシェリィ。葬儀屋を生業にしているという。
彼女が冒険者に依頼したいこととは何なのか?
その時たまたま宿の掲示板前で今日請ける依頼を吟味中だったブランシュ率いる先陣を切る槍が、シェリィから依頼について話を聞くことになった。
ブランシュ:ではシェリィさん、ご依頼内容をお聞かせ願えますか?
テーオバルト:死体を捜してほしいだって!?
ジャーダ:じょ、冗談だろ? あんたは死体なんか捜して何がしたいんだ?
カルロ:なんだか穏やかじゃない話だね……。
「とある人物の死体を捜してほしい」という言葉に驚きを顕わにした先陣を切る槍の反応を見たシェリィは、
死体を捜している理由について説明し始める。
シェリィの話を要約すると、
彼女は奇妙な葬儀の依頼を請けたという。
その葬儀で埋葬する予定の人物は、魔導都市カルバチアで有名な幻覚魔法の使い手だっだ。名前はディアッカ・ゾルディアッカ。
ところが、肝心のディアッカの遺体が行方不明。
葬儀の依頼を出した人物は、「ディアッカが晩年過ごした館のどこかにディアッカの遺体がある」と言っていたというが。
シェリィはこの葬儀依頼そのものと依頼人を不審に思い、
ゾルディアッカ邸のどこかにあるディアッカの遺体捜しと捜索中の護衛をしてほしいとのことだった。
報酬は護衛で400sp、遺体を発見したら400sp上乗せする。
アルフォンス:ブランシュ様、いかがなさいますか?
遺体の捜索場所が幻覚魔法の使い手が暮らしていた館となると、防犯目的で幻術による罠が仕掛けられている可能性が考えられます。
ブランシュ:幻術の罠ですか……魔術に長けた先生ならどうにか無力化できると信じていますので、
私はむしろ、シェリィさんに葬儀の依頼を出した人物の正体と動向が気になりますね。
なので……この依頼、お引き受けします。
ブランシュが依頼を引き受けると返事すると、
シェリィは早速先陣を切る槍を現場となるゾルディアッカ邸に案内した。
ゾルディアッカ邸を目指して
ゾルディアッカ邸を目指す道中、
先陣を切る槍はシェリィにディアッカの人物像やゾルディアッカ邸、葬儀の依頼を出した人物について情報を聞き出した。
まずは捜索対象となるディアッカについて。
彼は魔導都市カルバチアで有名な魔術師の1人で、幻覚魔術に長けていたという。
現役時代は魔術の研究活動に大きく貢献していたようだが、引退間際に”奇妙な実験”を行うようになったという噂があり、
引退後は館――今回の依頼の現場となるゾルディアッカ邸を建ててそこに隠居した。
隠居してから亡くなるまでの間、彼は外部とほとんど交流していなかったようだ。
カルロ:隠居してから誰にも会わなかったって、相当な頑固者だったんだろうね。
続いてゾルディアッカ邸について。
館には侵入者を阻む魔術の仕掛けが数多く仕掛けられており、それらを解かない限りディアッカの遺体を見つけられないと、
シェリィは依頼人から聞かされたという。
アルフォンス:ディアッカ氏は隠居してから亡くなるまで外部と接触がなかったというのに、
なぜ依頼人はディアッカ邸内に魔術の仕掛けがあることを知りえたのでしょう? 不可解ですね。
アルフォンスが依頼人の正体について疑問を抱いたので、
シェリィは守秘義務違反にならない範囲で依頼人について話し始めた。
依頼人は身元を隠していたので、彼女も依頼人の人となりがよくわからないという。
はっきり言えることは、”男性の声”だったということだけ。
ブランシュ:怪しすぎますね、その依頼人。なぜ身元を隠す必要があるのでしょうか?
カルロ:身元を隠して葬儀の依頼をしてくる人なんて、僕も今まで聞いたことがないよ。
話しながら郊外の住宅街を歩いているうちに……
テーオバルト:ようやく着いたか。
……それにしても辺鄙な場所にあるんだな。ディアッカって魔術師は、どんだけ人に会いたくなかったんだ?
先陣を切る槍とシェリィは館の門を潜り抜ける。
いよいよディアッカの遺体捜索の始まりだ。
ゾルディアッカ邸捜索開始
館のエントランスは吹き抜けになっており、2階に続く階段が目の前に見える。
当然ながら人の気配はなく、埃っぽい空気が漂う。
さすがにエントランスに怪しい物はないだろうと思いつつ、一行が思い思いの場所を調べてみる。
するとシェリィが、床に文字が刻まれたタイルを見つけた。
ジャーダ:R……M……L……なんじゃこりゃ?
アルフォンス:何かの暗号でしょうか? 今はどこで役に立つか見当もつきませんが、忘れないように記録しましょう。
リラ:他には……気になるもの、ないね。
ブランシュ:では、別の部屋を探してみましょう。
アルフォンス:1階には応接間、食堂、庭園、地下倉庫、客室が5つ、
2階にはディアッカ氏の書斎、書庫、ラオンの部屋、レオンの部屋、客室が3つあるようです。
ここから一番近いのは応接間ですね。
カルロ:さすがに応接間に遺体はないだろうけど、何か手がかりがあるかもしれないね。応接間に行ってみよう。
エントランスホールから一番近い場所にある応接間に入ってみた。
さすがにこの部屋に遺体はなかったが、その代わりにディアッカ氏の日記がテーブルに置かれていた。
ディアッカ氏が事切れるまでの状況がわかれば、遺体捜しの有益な手がかりになるかもしれないと期待した7人。
早速日記を開いてみたが、ところどころ落丁しており、ディアッカ氏の最期を知ることは叶わなかった。
その代わりに、館に仕掛けられた幻術を解く手がかりは得られそうだと思い、アルフォンスは日記を持って行くことにした。
アルフォンスは日記をぱらぱらと捲り、館の警備に関わる内容を見つける。
アルフォンス:どうやらこの館には6種類の鍵があるようですね。
しかも厄介なことに、その鍵は一度使うと消えてしまうとあります。
今後鍵を見つけても、どこで使うべきか吟味する必要がありそうです。
……もうこの部屋には何もなさそうです。次はどこを調べましょうか?
テーオバルト:食堂に行ってみるか? ここから近いし。
……んっ、鍵がかかってやがるぞ。 ジャーダなら開けられるか?
ジャーダ:……ダメだ。開かねぇ。どうなってやがる。
カルロ:もしかして、専用の鍵じゃないと開けられないのかな?
日記の文面からして、この館の鍵には魔法が仕掛けられているみたいだし。
ジャーダ:ケッ、ディアッカのじいさんめ、面倒なことしやがって。
ブランシュ:悪態をついても仕方ありません。他に調べられる部屋を探しましょう。
食堂が施錠されていて、ジャーダのピッキングでも開けられなかったので、
鍵を探し求めて入れる部屋を探すことに。
次に入った場所は地下倉庫。
カルロ:ここにも遺体はないと思うし、鍵があるかどうかも怪しいね。
ジャーダ:それでも何か使えるもんがあるかもしれねぇ。
……うーん、なかなか見つからねぇもんだね。
長引くジャーダの家探しを見るシェリィが、なんだか落ち着かない。
テーオバルト:出るって、何がだ?
リラ:灰色で小さくてチョロチョロ動く……。
(シェリィさん、ネズミが怖いのかな……)
シェリイが地下倉庫から出たがっているのに、ジャーダはお構いなしに家探しを続ける。
その結果……
ジャーダ:あんた、ネズミが怖いのかよ。
……えいっ! ……ほら、ネズミはもうやっつけてやったぞ。
ネズミを退治して、もう地下倉庫に目ぼしいものは何もない。
そう思った矢先に、ブランシュは足元に何かが転がっていることに気づいて拾い上げた。
ブランシュ:なんでしょう? ……くしゃくしゃに丸められた紙切れですね。書き損じた書類か何かでしょうか?
ブランシュが紙切れを広げてみると、それは破られた日記の一部だとわかった。
アルフォンス:これは、ディアッカ氏が魔術師学連を引退した日のことですね。
まだ終わっていないとは、一体何のことか気になるところです。
……さて、シェリィさんがここに長居したくないようですし、他の部屋を調べてみましょう。
地下倉庫を出た一行は、次に客室を調べてみることに。
1階には5つの客室があるが、そのうち3つが施錠されていた。
手始めに、2号室に入る。
一見すると何の変哲もない客室だった。
早速調べてみようとしたところ、シェリィが不審な物音に気付く。
ブランシュ:私も聞こえました! ですが、館にいるのは私達だけのはず……。
アルフォンス:我々の他に何者かが侵入したのでしょうか? 正体が判らないので、用心する必要がありますね。
自分達以外にゾルディアッカ邸内に誰かいるかもしれない。
緊張感が高まる中、部屋を調べていると、ジャーダがベッド下から目ざとく宝石を見つけ出した。
アルフォンス:これは……マジックアイテムの類ではなさそうですね。
状態も良く、それなりの値がつく品質です。
カルロ:他に気になるものは……何もないね。5号室に行ってみよう。
5号室も、2号室と同じような内装の部屋だった。
燭台があることを除いて。
ブランシュ:至って普通の燭台ですね。
蝋燭に火が点いた状態で置かれていたことは気になりますが。
カルロ:何かに火を点ける時に使えそうかな。持って行く?
ブランシュ:そうしましょう。
さらに調べてみると、ラベルに”魔法のワイン”と記されたワイン瓶も見つかった。
ジャーダ:魔法のワイン……。 美味いのかこれ?
アルフォンス:仕事中に飲むのはやめてください。
何やらこのワイン、魔力を帯びているようですから、何かの仕掛けを解く手がかりになるかもしれません。持って行きましょう。
次に来た場所は庭園。館の規模に対して少しばかり狭い気がする。
シェリィによると、この庭園にディアッカ氏の遺体を埋葬する予定とのこと。
気になるものと言えば、刈り取られた草が一角に積み上げられていることくらい。
他を当たろうとしたところ、シェリィが誰かの視線を感じたと訴えてきた。
ジャーダ:誰かって誰だよ? あたしら以外の姿は見えねぇぞ。
まさか幽霊なんて言う気か? 冗談はよせよせ。
鍵がない状態で調べられる部屋は全部調べられた。
先陣を切る槍とシェリィは、2階の探索に移る。
2階の探索
ブランシュ:2階は確か、客室が3つに、ラオンの部屋、レオンの部屋、
ディアッカ氏の書斎、書庫があるんでしたね。
テーオバルト:……客室は全部鍵がかかってたぞ。
ラオンの部屋はどうだ?
ラオンの部屋に続く回廊に足を踏み入れた7人。
「ラオンって誰でしょうね?」と呟きながら先頭を歩くシェリィが、
突然顔を痛がり始めた。
ブランシュ:シェリィさん、どうかしましたか?
シェリィ:いたた……。
見えませんか? 近づくまで……気づきませんでした。
ブランシュ:何も見えませんが? ……んっ、先に進めない!
まるで透明な壁があるようですね!
ラオンの部屋に続く回廊に、行く手を阻むようにあったのはガラスの壁だった。
テーオバルト:ガラスなら割っちまえばいいだろ。そーい!
テーオバルトはガラスの壁目がけて斧を振るってみた。
ところが、テーオバルトの予想に反してガラスの壁は傷一つつかない。
テーオバルト:そんな馬鹿な!
カルロ:力業じゃ突破できないみたいだね。何か魔法の仕掛けを解かないといけないのかな? ……んっ、壁に何か書いてある。
アルフォンス:謎解きのヒントでしょうか?
それにしても、”燃やせない”とは不可解な言い回しですね。ガラスは不燃物なので燃えないのは当たり前のことです。
……他の部屋を調べましょう。
ガラスの壁に阻まれてラオンの部屋に入れなかったので、
次はレオンの部屋に続く回廊に入った。
回廊に3つの火が点いた蝋燭があること以外に、気になるものは見当たらない。
一行はレオンの部屋を目指して歩みを進める。
それなのに、いくら歩いてもレオンの部屋に辿り着けない。
アルフォンス:先に進みたければ、何か仕掛けを解く必要がありそうですね。
気になるものと言えば、3本蝋燭ですね。
蝋燭……蝋燭と言えば……日記にこのような記述が……
テーオバルト:なんか小難しいことが書いてあんな。
アルフォンス:蝋燭の光に真実は存在しない……。それはつまり、蝋燭の火を消せば仕掛けを解ける……と考えてよさそうですね。
ブランシュ:それでは早速試してみましょう!
アルフォンス:お待ちくださいブランシュ様。
この回廊には蝋燭が3本あります。おそらく、正しい順番で消す必要があるのでしょう。
ブランシュ:正しい順番……今まで調べた場所で、それらしい手がかりは見つけられたでしょうか?
カルロ:3つの蝋燭を正しい順番で消す……右、中央、左……あっ!
ねぇみんな、エントランスホールの床に3つの文字が刻まれていたのを覚えてる?
リラ:床に刻まれた刻まれた文字って確か……
アルフォンス:R、M、Lの順番ですね。
Rは右、Mは中央、Lは左の頭文字を表しているのでしょう。
ブランシュ:となると、消す順番は右、中央、左ですね! 早速やってみます!
ブランシュは右、中央、左の順番で蝋燭の火を消した。
ところが……
ブランシュ:そんな! あの床の3文字は間違っていたのですか?
アルフォンス:うーん、発想自体は悪くないと思ったのですが。
もう一度エントランスホールの床の文字を確かめてみますか?
それでもうまくいかなければ、別の部屋を調べましょう。
一行は無限ループする回廊の術を解く手がかりを求めて、
もう一度エントランスホールに行ってみた。
アルフォンス:おや、最初に調べた時と文字の順番が入れ替わっていますね。
今度はM、R、Lですか。
ブランシュ:失敗するたびに正解が変化するということでしょうか?
ジャーダ:めんどくせー仕掛けだな。間違えるたびにここに戻るのダルっ。
……だけどよ、間違えても正解が変わってやり直しになるだけだったら、
当てずっぽうでもそのうち解けるんじゃね?
カルロ:それは最終手段にしたいけど、もう一度解いてみよう。
一行は再びレオンの部屋に続く回廊に戻ってきた。
わざわざエントランスホールに戻って確認した順番通りに、
ブランシュが蝋燭の火を消していく。
ブランシュ:真ん中、右、左!
ブランシュ:火が点かない……これで術が解けたようですね!
アルフォンス:はい、これでレオンの部屋に入れます。参りましょうブランシュ様。
レオンの部屋
3本の蝋燭の仕掛けを解き、レオンの部屋に入れた先陣を切る槍とシェリィ。
今まで見た客室と比べて、豪華な内装の寝室だ。
部屋を調べてみると、Eと書かれた鍵と、破れた日記のページが見つかった。
カルロ:ディアッカ氏に娘と孫……!
アルフォンス:それに孫は2人いるとありますね。……なるほど、ラオンとレオンとは、ディアッカ氏の孫でしたか。
わざわざ彼らの部屋が用意されているとなると、彼らもこの館に住んでいたか、あるいは頻繁にディアッカ氏に会っていたかもしれません。
しかし、今まで彼らの存在が世間に知られることはありませんでした。彼ら兄弟は今頃どう過ごしているのでしょうか?
ジャーダ:んなことどうでもいいだろ。自分のじいさんが死んだのにどこで何やってるかもわかんねぇ孫のことを気にする必要あるか?
次行こうぜ。
アルフォンス:何か有力な情報を得られそうな部屋と言えば、
ディアッカ氏の書斎と書庫くらいですね。
書斎はどうでしょうか……? おや、鍵がかかっているかもしれないと思いましたが、開いていますね。
ディアッカの書斎
ディアッカの書斎、この館で一番遺体がありそうな部屋。
ところが、調べてみてもディアッカの遺体は見つからず、
代わりに鍵と破れた日記の一部が見つかった。
テーオバルト:なぁ、これどういうことだ?
俺達はじいさんがこの館を自分で建てたって聞いたぞ。
カルロ:それに事件後に引き取った子供達って、もしかしてレオンの部屋で見つけたページに書かれた2人の孫のことかな。
さらにジャーダが書斎を物色し、机の引き出しから空色の宝石を目ざとく見つけだした。
ジャーダ:一番ありそうな場所になかったな。
そんじゃあ書庫か? さすがに鍵がかかかった客室のどっかにあるとは考えにくいんだよな。
施錠された部屋の捜索
現時点で施錠された部屋は8つ、見つけた鍵は2つ、
そして魔法の仕掛けによって入れないラオンの部屋。
ブランシュ:次はどの部屋を調べましょうか?
施錠された部屋のほとんどは客室です。
アルフォンス:日記の内容によると、鍵は6種類あり、そのうち2つ手に入れました。
この2つの鍵で開けられる部屋を探してみましょう。
捜索の方針がまとまり、一行は2つの鍵で開けられる扉を探すことに。
手始めに書庫の扉を開けてみようと試みるが、
ブランシュ:どちらの鍵も違うようです。
次は2階の客室を試してみましょう。
6号室から試してみると、書斎で見つけた鍵がぴったり合った。
6号室の内装も、今まで調べた客室と内装はほぼ同じだった。
収穫は新しい鍵を見つけられたことくらいで、それ以外に目ぼしいものはない。
新しく見つけた鍵は2階のどの部屋にも対応していなかったので、
7人は1階に下りることに。
食堂
レオンの部屋で見つけた鍵は食堂の鍵だった。
日記によると何かの事件後に孫のラオンとレオンを引き取って一緒に暮らしていたとあっただけに、広々とした食堂だ。
そんな食堂のテーブルに、ワインボトルが置かれていた。
酒豪のジャーダはすぐにボトルの前まで駆け寄り調べる。
猫の王様亭で見たことがないような上物のワインだ。
ジャーダはシェリィに冷ややかな目を向けられていてもお構いなしに、一緒に置いてあったグラスにワインを注いだ。
ところが、ワインを飲もうとするジャーダをシェリィが制止する。
「毒が入っているかもしれないんですよ?」と。
その言葉を聞いて、さすがの酒豪のジャーダも我に返り、
グラスを元あった場所に置いた。
他に目ぼしい物もないので、3つ目の鍵の使い道を探すことに。
3つ目の鍵は1号室の鍵だった。
ここも、今まで調べた客室とほぼ同じ内装だ。
気になるものがあるとすれば、陶器製の牛の置物があることくらい。
牛の置物は鋼鉄製の台に固定されていて、この場から動かせそうにない。
ジャーダ:ケッ、こいつは報酬の足しにならねぇのかよ。
明らかにがっかりするジャーダであったが、
よく見ると、牛の口元に古びたワイングラスが置かれている。
アルフォンス:牛とワイングラス……。これも何かの仕掛けを解く鍵でしょうか?
牛とグラス、牛と、グラス……? もしや……?
アルフォンスは何か閃いたのか、庭へと駆け出した。
刈り取られた草を持って戻ってくると、ワイングラスの代わりに草を牛の口元に置く。
ジャーダ:んっ、なんだ今の物音? 2階からか?
アルフォンス:……やはり、あの仕掛けが作動したようですね。
テーオバルト:仕掛け? どういうことだよ?
アルフォンス:説明はラオンの部屋に続く回廊でします。
テーオバルト:???
仕掛けの意味を理解したアルフォンスは、一行をラオンの部屋に続く回廊に連れて行った。
ラオンの部屋
回廊に行ってみると、今まで行く手を阻んでいたガラスの壁が草の壁になっていた。
アルフォンス:やはり私の推測は正しかったようですね。
ガラス(glass)の壁は燃やせない。ですが草(grass)なら燃やせます。
カルロ:glassとgrassの言葉遊びだね。
テーオバルト:言葉遊び……なんかよくわかんねぇけど、これで先に進めるんだな!
ブランシュ:これで先に進めますね! 早速ラオンの部屋を調べましょう!
リラ:ブランシュ……ちょっと待って。灰に紛れて、何か床に落ちてる。
ブランシュ:なんでしょう? ……これは、また日記と鍵ですか?
ジャーダ:あたしが今まで見つけた宝石も、もともとはディアッカのじいさんが住み始める前の住人のもんだったってことか?
でも今となっちゃ、この宝石はあたしのもん。
カルロ:ジャーダ、独り占めはだめだよ。
アルフォンス:………………。
ブランシュ:……先生、どうかなさいましたか?
アルフォンス:いや、この宝石について書かれた日記のページ、明らかにおかしいと思いましてね。
干し草の燃え滓から見つかったというのに、なぜ燃えなかったのかと。
ブランシュ:そう言われると確かに不思議ですね。ですが今は、ラオンの部屋の探索をしましょう。
ラオンの部屋も、レオンの部屋と同程度に内装が豪華だった。
この部屋にも、日記の切れ端と鍵が隠されていた。
カルロ:これは……文面からして亡くなる直前に書いたものみたいだね。
それにしても、ディアッカ氏の遺体はどこにあるんだろう?
ついでにジャーダは机の下から青い宝石を見つけた。
書庫
ラオンの部屋の近くにある書庫の鍵を見つけられたので、次は書庫を調べることに。
遺体そのものは見つからなくても、何か有益な情報を得られる期待値が高いからだ。
ブランシュ:埃っぽい部屋ですね。
アルフォンス:これだけ本が多いと、目当ての情報がある本を見つけるのも一苦労しそうですね。
順番に規則性があれば探しやすいのですが……
アルフォンスは魔術書がぎっしり詰まった本棚を調べてまわるが、
特にこれと言って目を引くものは見当たらない。と思いきや、
アルフォンス:おや、これも日記の一部でしょうか?
アルフォンス:これは……ディアッカ氏の遺言状のようですね。
カルロ:遺産を全部ラオンに相続させるって書いてあるね。
シェリィ:でも、変じゃないですか?
テーオバルト:変って、どこが変なんだ?
なぜラオンが全財産を相続することが変なのか解っていない様子のテーオバルトに、
シェリィはディアッカ氏が孫を引き取った日付の日記の文面を見せる。
シェリィが話し終わる前に、背後から不審な物音が。
ジャーダ:扉の方から? ……んっ、おいちょっと待て!
扉が開かねぇぞ! 一体どうなってやがる!?
……おい、足音が聞こえたぞ! 段々遠ざかっていく! そいつが外から鍵をかけやがったに違いねぇ!
目的が何だか知らねぇけど、あたしらこの部屋に閉じ込められたんだ!
カルロ:……ジャーダ、騒がないで。……みんなも気づいてる?
何か……甘い匂いが漂ってきてる。
これ、たぶん吸いこんじゃマズいものだと思う。
一同:……っ!?
カルロの言葉に、一行は慌てて口を塞ぐ。
アルフォンス:(早く、この甘い香りの発生源を見つけて封じなくては……!
発生源に近づけば香りを強く感じるでしょうが……)
一行は甘い香りを手がかりに発生源を探し、ついに見つけ出した。
アルフォンス:よし、毒ガスは無力化されました。
これで書庫から出るための鍵なり秘密の抜け道なりを見つけられれば。
ジャーダ:金目の物目当ての盗賊の仕業か?
カルロ:だとしたら僕達を殺そうとする手口の準備に手間をかけすぎな気がするよ。
少なくとも、僕は盗賊の仕業じゃないと思ってる。
リラ:盗賊じゃなかったら、誰の仕業? まさか、お化けじゃないよね……?
ジャーダ:いーや、それはねぇだろ。
閉じ込められた時も、はっきりとこの部屋から遠ざかる人間の足音が聞こえたんだからさ。
ブランシュ:盗賊でもお化けでもない……となると、犯人は一体?
まだよくわかりませんが、次にいつ襲い掛かってきても返り討ちにできるように、気を引き締めていきましょう!
シェリィ:私は葬儀屋としてこの仕事を最後まで全うしたいので、
護衛を……最後までお願いしますね、ブランシュさん。
ブランシュ:はい! これから何が起きても、私達がシェリィさんをお守りします!
アルフォンス:これはずいぶんと年季ものの杯ですね。
アルフォンス:それに、何やら魔力を帯びているようです。
……おや、中に鍵が入っています。
ブランシュ:これは……書庫の鍵ですね! これで外に出られます!
早速開けましょう!
何者かに書庫に閉じ込められて危うく毒殺されかける危機を乗り切った先陣を切る槍とシェリィは、
シェリィが見つけた杯に入っていた鍵を使って書庫から脱出した。
ブランシュ:まだ調べられていない部屋、いくつありましたっけ?
魔法のワイン
施錠された部屋は残り4つ。手元にある鍵は1つ。
開けられる扉を探してみると、8号室の扉を開けられた。
この部屋も、今まで見た客室と内装はほぼ同じ。
部屋を調べてみると、日記の切れ端と鍵があった。
アルフォンス:これは、魔法のワインの仕掛けを解くヒントのようですね。
400mlのワインを量ることで何か仕掛けが作動するようですが、そうなると何かしらの計量器を見つけなくてはなりませんね。
ありそうな場所といえば、食堂でしょうか。
一行は、魔法のワインの仕掛けを解くべく食堂に向かった。
食堂に行ってみると、何かがおかしい。
その違和感の正体は……
ジャーダ:おい、あたしがグラスに注いだワインがなくなってんぞ!
誰が飲みやがったんだ?
アルフォンス:それより、魔法のワインの仕掛け……ワインを400ml量るのに使えそうなものは見つけられるでしょうか?
……うーん、残念ですが食堂には目ぼしい物がありませんね。
となると、他に計量器がありそうな場所と言ったら地下倉庫でしょうか? 望みは薄いですが施錠された客室にあるかもしれません。探してみましょう。
アルフォンスは魔法のワインの仕掛けを解くのに必要な道具が揃っていないと判断して、鍵がかかった客室の捜索をすることに。
手元にあった鍵は、3号室の鍵だった。
この客室も、今まで調べた客室とほとんど同じ内装だ。
そしてこの部屋にも、日記の切れ端と鍵があった。
アルフォンス:魔法の杯……魔法のワインとセットで用いるマジックアイテムが存在していたのですね。
……そういえば、書庫でシェリィさんが見つけた杯は魔力を帯びていました。
もしやこれがこの日記に記された魔法の杯なのでは?
あとは、計量器を見つけられれば仕掛けを解けますが、そのようなものがありそうな場所と言ったら……。
カルロ:地下倉庫くらいだね……。シェリィさんが嫌がるかもしれないけど、独りきりにしておけないし、行こう……。
一行は、計量器を求めて地下倉庫へ再び足を踏み入れる。
アルフォンス:ふーむ、ちゃんとした計量器は見つけられませんでしたが、
代わりに空のワインボトルが見つかりましたね。
これの容量は……300mlでしょうか。食堂にあったものは大きさからして容量500ml入りそうなものでした。
これをうまく使いこなせば、400ml量ることは可能です。皆さん、食堂に戻りましょう。
テーオバルト:(400mlぴったりの容器がねぇのに、本当にそんなことできるのか? ……まぁ、俺達の中で一番頭いいアルフォンスができるって言うなら、何か方法があるんだろうけど、俺にはさっぱりだ)
魔法のワインの仕掛けを解く準備が整い、食堂に戻ってきた。
テーオバルト:それでアルフォンス、この条件でどうやって400mlのワインを量るんだ?
アルフォンス:手順はこうです。
500mlの瓶を魔法のワインで満たす。(大:500ml、小:0ml)
500mlの瓶の中身を300mlの瓶に移す。(大:200ml、小:300ml)
300mlの瓶の中身を魔法のワインの瓶に戻す。(大:200ml、小:0ml)
500mlの瓶の中身を300mlの瓶に移す。(大:0ml、小:200ml)
500mlの瓶を魔法のワインで満たす。(大:500ml、小:200ml)
500mlの瓶の中身を300mlの瓶に移す。(大:400ml、小:300ml)
500mlの瓶の中身(400ml)を魔法の杯に注ぐ。
アルフォンス:そうすれば……
アルフォンスが2つの瓶で400mlに計量した魔法のワインを魔法の杯に注いだ。
すると……
ブランシュ:先生! 杯が壊れてしまいましたが大丈夫でしょうか?
アルフォンス:これで大丈夫です。確かに魔法の仕掛けが発動しました。その証拠に……
ブランシュ:……あっ! 日記のページと鍵が!
アルフォンス:この日記の文面を見る限り、ディアッカ氏の遺体は7号室にあると考てよさそうですね。
そして一緒に現れた鍵が、7号室を開ける鍵。
ブランシュ:でしたら急いで7号室に向かいましょう!
ディアッカ氏の遺体がある場所が7号室と突き止められた先陣を切る槍は、ブランシュを先頭に2階の7号室目指して階段を駆け上がった。
レオン
2階に上がり、7号室に続く廊下を歩いていると、奥から一行に近づいてくる足音が。
ブランシュはそれに気づいてシェリィを守るように前に立つ。
ジャーダ:書庫に閉じ込められる前に、シェリィが誰かに見られてる気がするとか言ってたな。それってあんただったのか?
テーオバルト:……ってことは、俺達を書庫に閉じ込めて毒殺しようとしたのもお前か?
誰だか知らねぇけど、お前の狙いはなんだ!?
ブランシュ:おじいちゃん……?
カルロ:(ディアッカ氏の孫は2人いて、ディアッカ氏は長男のラオンに遺産を相続させようとしていたんだっけ……。となると、この男はまさか……!)
ジャーダ:ああ、ディアッカのじいさんの孫で、
遺産を貰えなかった次男坊のレオン、だろ?
ディアッカ氏の孫レオンが館に来た目的は、祖父の遺産を手に入れるためだと語った。
本来は兄のラオンが相続するはずだった。
ところがラオンにそのありかを伝える前にディアッカ氏が亡くなり、ラオンもまだ遺産を手に入れていないと言う。
ブランシュ:ディアッカ氏の遺産……この館以外に何があると言うのですか?
シェリィさんを危ない目に遭わせてまで欲しがるものとは一体なんですか!?
ブランシュ:ディアッカ氏の研究成果?
アルフォンス:……そういえば、ディアッカ氏は現役引退する少し前に”奇妙な実験”を行っていたという噂がありましたね。
その実験と関係があるものと考えられますが……。
レオン:鍵を渡してもらおうか?
この館には宝石の類が結構ある。それをくれてやるさ……。
シェリィ:ブランシュさん……。
テーオバルト:なんて性根の腐り切った野郎だ。
ブランシュ、こんな奴に鍵を渡しちゃいけねぇ! ディアッカの研究成果が何か知らねぇけど、こいつの手にそれが渡ったらロクなことにならねぇのは俺でもわかるぞ!
ブランシュ:ええ、テーオバルトさんのおっしゃる通りです。
遺産のために兄を殺し、シェリィさんを危険な目に遭わせた卑劣な男に、
この鍵は渡しません!
レオンは数で負けているにもかかわらず、隠し持っていたナイフを取り出して先陣を切る槍に襲い掛かった!
ブランシュ:武力行使に及んでも無駄です!
皆さん、あの男をシェリィさんに近づけさせないように囲みましょう!
先陣を切る槍は、シェリィが狙われないようにレオンを囲んで攻撃し、
最後はアルフォンスの杖の一撃で決着がついた。
レオンが倒れた直後、リラは何かが床に落ちる音を聞いた。
レオンが何かを落としたのか? そう思って辺りを見回してみると、
リラ:ブランシュ……こんなものが。
ブランシュ:リラさん、何を見つけましたか? ……鍵ですね。どこの鍵でしょうか?
……まぁ、遺体を7号室から運び出した後に使い道を調べてみましょう。
テーオバルト:そうだな。邪魔者は俺達が殴り倒して動けねぇし、今のうちに……
一行が7号室に入ろうとしたその時……
ブランシュ:シェリィさん!?
テーオバルト:あの野郎まだ動けたのかよ!
レオンはシェリィを羽交い絞めにし、喉元にナイフを突きつけた。
依頼人のシェリィを人質に取られ、先陣を切る槍に緊張が走る。
アルフォンス:鍵を落としたのはそちらに注意を逸らすため、でしょうか?
ブランシュ:なんて卑怯な……!
レオン:このレオン、容赦せん! ……冒険者、黙って俺に従えよ。
シェリィ:わ、私のことは構いません……だから遺体を……!
テーオバルト:そんなことできるかよ! こいつを無視して遺体を回収したら、あんたが何されるかわかんねぇのに。
レオン:随分と気丈な女だな……。
レオンはシェリィの後頭部を殴って気絶させた。
レオン:……死んではいないだろ。
ただし、この後のお前達次第だけどな。
テーオバルト:この野郎……!
カルロ:待ってテーオバルト、ここで君があの男に襲い掛かったらシェリィさんも無事じゃいられないよ。
テーオバルト:じゃぁどうすりゃいいんだ!
あいつに鍵を渡してシェリィが助かっても……あいつの手に遺産が渡ったらどうなるかわかんねぇぞ?
レオン:それでも向かってくるなら……
俺は遺産を諦めるが、代わりに女を殺す。
俺にはその覚悟がある……。
あるからこうしてこの館に来ているんだ。……いいな?
ブランシュ:鍵を渡せばシェリィさんが助かる代わりに、あの卑劣漢に遺産が渡り、ディアッカ氏の遺体も燃やされてしまう。
ですがかと言って鍵を渡さなかったらシェリィさんの命が……。
先生、何か打開策はないでしょうか?
アルフォンス:……そこにお目当ての遺産はありませんよ。
ブランシュ:……先生?
レオン:……何っ?
ジャーダ:じゃぁどこにレオンが狙ってる遺産があるんだよ? 説明しろ!
アルフォンス:皆さん、覚えていますか? ディアッカ氏は現役引退前に”奇妙な実験”を行っていたという噂を。
ブランシュ:ここに来る道中、シェリィさんから伺いましたね。
その実験とディアッカ氏の遺産が、どう関係しているのですか?
カルロ:そもそも、ディアッカ氏がやっていた奇妙な実験ってどんな実験だったの?
アルフォンス:それなら日記にそれらしい記述があります。
アルフォンスは懐からディアッカの日記を取り出し、
ディアッカが関わっていた研究活動について記されたページを開く。
アルフォンス:ディアッカ氏は幻覚魔法の使い手として知られていました。
しかし、彼は幻覚魔法以外の研究にも関わっていたようです。
それが……火の中で生きられるサラマンダーの皮を人の手で再現しようという試みでした。
ブランシュ:火鼠の衣……昔先生から東洋に伝わる伝承として、火鼠の衣の話を聞いたことがあります。
確か月の姫が求婚してきた5人の貴公子達に、「私と結婚したかったら見つけてきなさい」と要求したものの1つが火鼠の衣でしたね。
カルロ:ディアッカ氏はサラマンダーの皮を再現しようとしていた。
だけど、仮にそれが完成していたとして、どこに隠されているの?
アルフォンス:それなら、もう目の前にあります。
カルロ:???
アルフォンスはおもむろに、ディアッカの日記を蝋燭の火に近づける。
テーオバルト:お、おい何やってんだよ!
そんなことしたら日記が燃えちまうぞ!
……あれっ?
ブランシュ:燃えませんね。煙すらも立っていません。
まさかこの日記が……、ディアッカ氏の研究成果!
今まで探し求めていたディアッカの遺産が目の前にあると気づいて興奮するレオン。
そんな彼の様子を見ながら、アルフォンスは黙ったまま何かを考え込んでいる。
レオンが「女はいらないのか?」と問いかけると、ようやくアルフォンスが口を開いた。
アルフォンス:そんなにこの日記が欲しいですか?
レオン:ならばこんな面倒なことはしないだろ
ブランシュ:……先生?
テーオバルト:おい、何考えてんだよ?
いくらシェリィを助けるためでも、そんな奴にディアッカの遺産を渡しても
いいのかよ!?
発言の意図がよくわからず困惑する仲間達をよそに、
アルフォンスはレオンにもう一度問いかける。
アルフォンス:……どうしても欲しいですか?
アルフォンス:……わかりました。私達は遺産を諦めます。
ブランシュ:せ、先生! 本気ですか?
アルフォンス:ええ、本気です。
ブランシュ:待ってください先生! あの男に日記をわた ……あっ!
アルフォンスはレオンに日記を投げ渡し、代わりにレオンはシェリィを解放した。
アルフォンス:いえ、シェリィさんがご無事で何よりです。
我々の目的は、あくまでもディアッカ氏の遺体を見つけて葬儀を完遂させることであり、ディアッカ氏の遺産ではありませんので。
アルフォンス:ええ、ディアッカ氏の遺産――日記はあなたのものです。
ただし……。
アルフォンスは日記を得て勝ち誇ったレオンにそう答えた。
あるものを携えて。
ジャーダ:あれって確か……。
リラ:レオンの部屋の……回廊にあった……。
アルフォンスは3つ並んだ蝋燭に1つずつ火を灯す。
しかし、レオンはまだアルフォンスの行動の意図に気づいていない。
アルフォンス:この取引は……あなたの負けです。
そう言いながら、アルフォンスは3つ目の蝋燭に火を点けた。
ディアッカ・ゾルディアッカの葬儀
先陣を切る槍とシェリィがディアッカの遺体を見つけ出した頃には、
外はすっかり日が落ちて暗くなっていた。
7人はスコップで庭に穴を掘り、ディアッカを埋葬した。
葬儀が終えて宿に帰る道中、ブランシュは今頃レオンはどうなったかとアルフォンスに尋ねた。
アルフォンス:彼は今頃、あの無限ループする回廊に囚われていることに気づかないままでいるでしょうね。
日記に仕掛けを解く手がかりはあるにはありますが、彼が気づけるかどうかは別の問題です。
収支報告
カルロ:今回は葬儀屋のシェリィさんから、
怪しい依頼人から葬儀の依頼が来て、さらに埋葬する遺体が行方不明だから遺体の捜索と捜索中の護衛依頼を請けたね。
遺体を見つけて無事に葬儀を終えられたから、報酬として800sp貰えたよ。
それからジャーダが館で宝石を3つ見つけて、合わせて1200spで売れたね。
収入
依頼報酬:800sp
宝石の売却:1200sp
カルロ:……あっ、そういえば、結局レオンが落とした鍵の使い道はわからずじまいだったね。
だけどディアッカ氏の葬儀が終わった今、僕達にはあの館に行く用事はないからなぁ。
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