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【カードワースリプレイ】天翔ける追求者 第16話 正義の精霊

この記事はアレン様作のシナリオ〈正義の精霊〉のリプレイです。
配布先はこちら↓

https://cardwirth.net/AdvGuild/bin/search.cgi?SEARCH_MODE=DETAIL&TITLE=%C0%B5%B5%C1%A4%CE%C0%BA%CE%EE


多発する失踪事件

近頃リューンで失踪事件が多発しているようで、
運命の羅針盤亭にも、事件の情報提供を呼び掛ける貼り紙が貼られた。
貼り紙には、”有益な情報を提供した者に謝礼として2000sp支払う”と記されている。
その文面を見た天翔ける追求者の六人は、親父さんに事件について訊いたみることに。

オーリガ:いつぞやの気味悪い歌声の正体を突き止められなかった件と言い、今回の失踪事件と言い、
控えめに言っても治安隊は頼りにならねぇな。
……金は欲しいけど、有益な手がかりを得られる場所に目星をつけられねぇ今の段階じゃ首を突っ込むうまみが薄い。
ジェラルド:オーリガの言う通りだな。今日も堅実に稼いでいこう。

天翔ける追求者と宿の親父が失踪事件について話している最中に、宿の玄関が開く。
現れたのは赤髪の少女だった。

フロラン:ある事件の犯人を捕まえる依頼?
アルベルタ:犯人を捕まえてほしいってどういうこと?

ジェラルド:リューンの失踪事件だと?
治安隊が捜査に手こずっていると聞いたが……。
ディーター:おいおい嬢ちゃん、
治安隊が頼りにならないからって、俺達冒険者を頼ろうと思ってここまで来たのか?
俺達は事件について何も有益な情報を知らないけど、それでもいいのか?

ミシュリーヌ:犯人を……目撃……?
フロラン:それに行方不明者の居場所も知っている? どういうこと?
ジェラルド:そんな有力情報を掴んでいるなら、治安隊に通報すれば済む話じゃないか? なぜそうしないんだ?
オーリガ:(犯人の正体と行方不明者の居場所が判ってんのに、情報を欲しがっている治安隊にタレコミしねぇのは確かに変だな。これは首を突っ込んで大丈夫な話かどうか、慎重に吟味しねぇと……)

フロラン:犯人が判っているのに治安隊に通報していない理由って何だろう?
ディーター:それを知りたきゃ、この嬢ちゃんの依頼を引き受けるって返事する必要があるみたいだぞ。どうする?
フロラン:うーん、事件のことはもちろん気になる。
……だけど君のことを何も知らないままじゃ、依頼を請けるかどうかの返事はできないよ。
まずは、君の名前を教えて。

街灯の精霊フィル

フロラン:ひ、火の精霊!?

ジェラルド:これは人間業じゃ無理な芸当だな。
フロラン:そ、そうだね……。
人間の姿になれる精霊なんて今まで会ったことがないからびっくりしたよ。
ところでフィル、精霊の君がどうして失踪事件の犯人を捕まえたいの?

オーリガ:悪を懲らしめたい、ねぇ。
失踪事件の犯人があたしらの手に負える相手かどうかまだわかんねぇのが気がかりだけど、引き受けるか?
フロラン:……オーリガが懸念することもわかるけど、
犯人を知っているのに治安隊に頼れなくて、フィルは今までもどかしい思いをしてきたんだよね……。
アルベルタ:フロラン、私達に迷う理由なんてある?
治安隊が見つけられなかった下水道の操霊術師をやっつけたことがある私達なら大丈夫だよ!
オーリガ:あれは敵が操霊術師としてクソ雑魚だったからなんとかなったようなもんだろうが。ガキんちょは黙ってろ!(アルベルタの頬を抓りながら)
アルベルタ:いたたたたた!
ジェラルド:確かに俺達は治安隊が解決できなかった事件を解決した実績がある。
しかし今回は敵の実力が未知数だ。いつぞやの操霊術師よりも格上の可能性も充分あるぞ。
フロラン、それでもこの依頼を請けるか?
フロラン:……決めた。フィル、この依頼を僕達が引き受けるから、
治安隊に頼れない理由を教えて。

フィルの目撃情報

フロランが依頼を引き受けると宣言すると、
フィルは失踪事件の目撃情報と治安隊に頼れない理由を語り始めた。

ミシュリーヌ:治安隊の構成員が犯人ですか!?
オーリガ:そりゃ治安隊を頼れねぇわな。タレコミしたらそいつの耳に情報が入って証拠隠滅されちまうだろうし。

ディーター:犯人のバルムスは精神魔法の使い手なぁ。
いざ戦闘になったら、そいつに集中攻撃を仕掛けて無力化する作戦一択だな。
オーリガ:そうならねぇように、あたしらが監禁場所を知ったことを悟られちまう前に行くぞ。
フロラン:捕まった人達の安否も気になるし、取り返しのつかないことになる前に助けようみんな!

こうして天翔ける追求者とフィルは、
行方不明者の救出とバルムスの悪事の証拠確保のために監禁場所の空き家へ向かうことになった。

救出作戦始動

フィルに案内されて行き着いた場所は、
リューン市街の大通りから一本入った路地にある家だった。

一行はゆっくりと玄関の扉を開けて、空き家の中に入った。

内部は薄暗く、人の気配はない。
奥には扉と、地下室に続く下り階段が見える。

オーリガ:たぶん捕まった連中は地下にいると思うぜ。
だけどその前に、扉の向こうを調べてみるか。もしかしたらバルムスが事件に関わった証拠品があるかもしれねぇし。
……この扉、鍵がかかってねぇぞ。不用心だな。

オーリガは事件の証拠品があることを期待しつつ、ゆっくりと扉を開ける。

オーリガ:嘘だろおい……。
って言ってる場合じゃなかった! さっさとこいつを始末して部屋を調べるぞ。

スケルトンはアルベルタの斬撃を喰らい、あっけなく無力化した。

オーリガ:ったく、鍵も罠もねぇと油断させておいて、
スケルトンを待ち伏せさせるたぁ嫌らしいことしやがるぜ。
……気になるもんといったら、鉄の箱くらいだな。

悪夢の書

オーリガは早速鉄の箱を調べ始めた。

オーリガ:わざわざこんな罠を仕掛けるってことは、何か盗られてマズいもんがあるに違いねぇ。
……よし、罠を無力化できた。肝心の中身はなんだ?

ディーター:これは……使い切りの呪文書だな。
相手を悪夢へ誘う呪文だ。これでターゲットを眠らせて拉致してたんだろうよ。
アルベルタ:それじゃああとは、捕まった人を解放すればいいね!
フロラン:うん、早く地下室に下りよう。

事件の証拠品として悪夢の書を手に入れた一行は、
行方不明者がいるであろうと目星をつけた地下室へと下りていくことに。

地下室へ

地下室に下りてみると、目の前には小窓がある扉。
おそらくここが、行方不明者が監禁された部屋だと思われる。

オーリガ:さすがにこの扉には鍵がかかってんだろ。
……やっぱりな。人を閉じ込める部屋に鍵をかけねぇ馬鹿はいねぇか。
それに小さい格子窓がついてんな。ここから中の様子は……
おっ、いるいる。どいつもこいつも蹲ってるな。
みんな、この部屋に拉致された連中が閉じ込められているぞ。
フロラン:それじゃあオーリガ、早く鍵を開けて閉じ込められた人達を解放しようよ!
オーリガ:言われなくてもやるっての。

オーリガは手際よく解錠し、扉を開こうとしたところ、
突如、上り階段から治安隊員達が駆け下りてきた。

地下室に駆けつけた治安隊

ジェラルド:その身なりは治安隊だな。あんたらも行方不明者を捜しに来たのか?

ジェラルド:ああ、俺達も事件について有力な情報を得たから、
こうして行方不明者を救出しようとここまで来たんだ。
オーリガ:(この男、言ってることは治安隊としてごく普通のことなのに、何かおかしい。それにあたしらが行方不明者を解放する一歩手前で来るなんてあまりにもタイミングが良すぎじゃねぇか? なんだか嫌な予感がするぜ。まさかこいつが……)

フロラン:バルムス……この男が、失踪事件の犯人なの?
オーリガ:(嫌な予感が的中しちまったぞ!)

オーリガ:こいつ、あたしらを口封じのために殺す気だぞ!
……って言うか、部下だと思ってた2人はスケルトンじゃねぇか!?

VS失踪事件の犯人

偶然を装って天翔ける追求者とフィルが行方不明者を解放する直前に現れて証拠隠滅を図ったバルムスだったが、
犯行現場を目撃したフィルのおかげでその計画は破綻した。

バルムスは口封じのために7人を殺そうと襲い掛かってきた!

フロラン:行方不明者を解放するつもりが、まさかこんな形で犯人と戦うことになるなんて……。
オーリガ:そんなこと言ってる場合か! 奴はあたしらを殺す気満々だぞ!
ディーター:そうだぜフロラン。精神魔法の使い手だとはあらかじめ聞かされていたが、アンデッドも使役できるとはな。

ジェラルド:数では俺達が勝っているが、精神魔法を使われたら形勢逆転されかねない。
……取り巻きのスケルトンはお嬢の剣で簡単に無力化できる程度の戦闘力。
おまけにミシュリーヌなら奴らの弱点を突ける。俺達にとって大した脅威にならない。
ならばバルムスに集中攻撃を仕掛けるべきだな。

ジェラルド:治安隊のエリートなだけあってしぶといな。
無力化するにはあと何発攻撃を中てればいいんだ?
フロラン:だけどエアリアルの攻撃のおかげで動揺しているみたいだね。
ディーター:攻め落とすなら今のうちだな! 奴に精神攻撃を仕掛ける隙を与えるな!
アルベルタ:おーっ!

ジェラルド:これだけ集中攻撃を受けてもまだ倒れないか!
オーリガ:取り巻きが雑魚でも長期戦に持ち込まれるとマズいぞ。
ミシュリーヌ:エアリアルがいなくなって、手数が減ってしまいましたし。
ジェラルド:それでも攻撃の手を緩めるわけにはいかない。
フロラン:そうだよ! この男を倒さないと、閉じ込められた人達を助けられないんだから!
……エアリアル、もう一度来て!

アルベルタ:わーっ! みんな眠っちゃったよ!?

アルベルタ:えーい、やられる前にやっつけちゃえー!

アルベルタ:……みんなまた眠っちゃったの!?
だけどバルムスはあともうちょっとで倒れそう。私がとどめを刺すんだー!

ジェラルド:いてててて……俺達は一体……?
……バルムスはだいぶ弱ってはいるが、今動けるのは俺とミシュリーヌとフィルだけか。
ミシュリーヌ:バルムスの精神魔法、なんという恐ろしい術でしょう。
ジェラルド:本当に恐ろしい術だ。だが、ここで諦めるわけにはいかないぞミシュリーヌ。俺達でとどめを刺すんだ!
ミシュリーヌ:はい、ジェラルドさん!

敵を悪夢に誘う精神魔法に翻弄されながらも、
天翔ける追求者とフィルはバルムスを打ち負かした。

バルムスの身柄を拘束した後、
天翔ける追求者とフィルは地下室に閉じ込められた行方不明者達を解放し、
最寄りの治安隊詰所に出向いて事の顛末を報告した。

その後しばらくして、バルムスの犯行が立証された。
天翔ける追求者は治安隊から謝礼金として3000sp受け取った。
1000sp分上積みされたのは、内部犯行であったことのお詫びだと言う。

事件解決後 フィルの決意

失踪事件が解決したその後、
フィルは天翔ける追求者にお願いしたいことがあると言い出した。

フロラン:フィルも冒険者になりたいの?
……歓迎するよ! これからは冒険者仲間としてよろしくね、フィル!

収支報告

ミシュリーヌ:今回はリューンで多発する失踪事件の現場を目撃した精霊のフィルさんとの出会いがきっかけで、
犯人の逮捕と失踪者の救出をして治安隊から3000sp受け取りました。
これで現在の所持金は7290spですね。

フロラン:それから事件が解決した後に、フィルが僕達の仲間になったよ。

フロラン:フィルは味方の士気を高揚させる術が使えるようだね。
僕は精霊術師としても、冒険者としても、フィルのこれからの活躍を応援するよ。


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