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ネーザルハイフロー勉強会資料

病棟で開催したネーザルハイフロー勉強会の資料を投稿します。
呼吸器病棟に勤務されている方などのお役に立てれば幸いです。

<勉強会の目的>
当病棟では、人工呼吸器を装着している患者様が多く、近年ネーザルハイフローを装着する患者様が増えている。しかしネーザルハイフローを装着する際に、組み立て方・観察点がわからず、MEさんに依頼している現状があり、看護スタッフの知識不足があるのではないかと実感した。そのため、緊急時・休日など看護師でも組み立てを行い、スムーズに装着することができるよう病棟全体で知識を深めることを目的とし勉強会を開催していきたいと考えた。


<ネーザルハイフローとは>
ネーザルハイフローとは、専用の鼻カニューラから30-60L/minで酸素を投与する高流量タイプの酸素療法装置。従来の酸素マスクや鼻かニューラでは周囲の外気を一緒に吸い込むため、安定した酸素濃度を供給できなかったが、ネーザルハイフローは送気流量が患者の吸気流量以上で送られるため、設定酸素濃度で供給することができる。また、鼻カニューラであるため、飲食やコミュニケーションも可能で、患者の不快感も少ないためQOL維持にも有用である。



<利点>
・広範囲の流量と酸素供給が可能
・飲食、会話、睡眠を続けられる
・呼気時も酸素供給されることで解剖学的死腔の貯留しているガスを洗い流   
し出すことができ、CO2の吸入が減る。
・カヌラとは異なり、加湿・加温を加えることで乾燥を防ぐことができる
→分泌物をより効果的に排出できることで、呼吸器の感染リスクが減る

<欠点>
・アラーム機能がないため、リーク・回路破損・カニューレのフィッテングは悪くても気づきにくい
・鼻腔粘膜の痛み、乾燥
・加湿が強いため、鼻腔粘膜に熱さを感じやすい
・コストが高い(消耗品を含めると2万円)



<ネーザルハイフローの組み立て方>

①チャンバーを外装より取り出し、加温加湿器のヒータープレート上に取り付ける。

チャンバー

②ガスポートから(青)キャップを外す。

③給水チューブを巻いたカセットを外す。

④蒸留水へ給水チューブを接続する。(通気キャップを開ける)

⑤鼻カニューレの準備、開封する。
(当院には、M・Sサイズがあり、鼻のサイズをみて調整)

⑥回路を外袋より取り出すと、短い回路と長い回路に分かれる。
 短い方の回路はチャンバーと反対側は酸素ブレンダーへ取り付ける。
 長い方の回路はチャンバーと反対側を鼻カヌラを取り付ける。

⑦ヒーターワイヤーをアルコール綿で拭いてから長い方の回路
 (加温加湿器付近)につける。

⑧温度センサーをアルコール綿で拭いてから長い方の回路につける。
 →チャンバー付近、鼻カヌラ付近の2か所。

⑨酸素(緑)・空気(黄)の配管をアウトレットへつなげる。

黄色:空気 緑:酸素


<観察項目>
○酸素流量・濃度の観察
○鼻カニューレが正しく装着しているか
○チューブの屈曲、閉塞の有無
○回路の破損・チューブの状態
○皮膚状態の観察(頬・耳介)
○蒸留水の残量
○加湿器の温度、加温状況:回路が温かいかどうか


<管理方法>
①鼻カヌラの装着方法
・ネックストラップを首にかける
・カヌラを鼻にあて、ヘッドバンドを頭にかけ長さを調整する。

②蒸留水の残量
蒸留水500mlは約3~4時間でなくなる。
蒸留水の役割として、
 1、保湿となり、乾燥を防ぐ
 2、鼻腔粘膜の損傷を防ぐ
 3、気道分泌物が出しやすい
 4、感染予防 

③加温加湿器の温度
ネーザルハイフローの場合は鼻に直接高流量酸素が流入するため、
人工気道と同等の加湿設定を使用する必要がある。

空気が回路内(長い回路)を通過する際に、熱線で加温される
→温度センサーはチャンバー部付近とカヌラ付近についている
 (チャンバー出口は約37℃、カヌラ付近は約40℃に設定されている)

※ネーザルハイフローは結露が生じにくいが
 室内の温度と回路内の温度差が大きくなるほど生じやすくなる
→結露が逆流して誤嚥してしまうこともあるため、
  結露が多い場合はチャンバー出口の温度設定を-側へ設定する

④皮膚トラブル好発部位 →耳介・頬の突出部、鼻下・鼻中隔部分
<予防方法>
 1、鼻カニューレの適切な装着
  (ストラップはきつく締めすぎず、鼻腔内が鼻プロングで
   閉鎖されないようにサイズを検討する)
 2、回路や機器の調整
 →回路やカヌラが引っ張られて起こるズレを予防するために、
  ネックストラップを使用して、機器の位置調整を行う
 3、皮膚の清潔保持
 →皮膚汚染を取り除き、湿潤環境を持続させない。また髭をそる。
 4、皮膚の保護
 →頬はエスアイエイドを毎日1回交換する。
  耳介はガーゼなどで保護する。


<おこりやすいインシデント>
①回路リーク・破損
・特に鼻プロングの破損や鼻カヌラの蛇腹部分が伸びきり破損する
 ことが非常に多い。
・ヒーターワイヤーを接続する箇所が緩んで、リークすることがあるた
め、接続が緩んでいないか確認する必要がある。
・体動時、回路を巻き込み破損となることがある。

②加温加湿関連
・蒸留水が不足することで気道熱傷を起こすことがある。
 ※アラーム機能がないため、注意が必要!!


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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