編集後記 "一度きりの夏を描く"
どうもこんばんは。少し更新間隔を空けておりました。
9月7日から11日の間、三陸地方を行ったり来たりしていました。撮影した映像をまとめたのが上記の動画です。
今回はこの作品の編集後記と題して、いろいろ語っていこうと思います。なのでここから下はぜひとも作品を一度見てから読んでくださいね。
説明欄について
動画の解説に入る前に少しだけ…
これは当該動画の説明文です。
なにやらキャッチーなフレーズが最初に置かれていますが、これは使用曲「潮騒」からそのまんま引っ張ってきたものです。
では、tunecoreに書かれている「潮騒」の概要欄を見てみましょう。
そのまんまです。本当にありがとうございました。
では、なぜこのフレーズを引用したのか。ちゃんと理由はあります。
私は(うまくいけば)今年度で学生生活を終え、来年からは社会人としての一歩を踏み出すことになります。周りの社会人である先輩やTwitterのフォロワーさんなんかを見てると、まとまった時間を確保して4日5日と旅に出る、といったことが難しいようです。それもそのはず、社会人は基本、週〇日とお休みが決められているのですから。
じゃあ、そんなまとまった休みが確保できないなら、こういう旅もこれが最後になるのかな… そんな考えから引っ張ってきたのがあのフレーズでした。なんと安直な。
こだわりポイント
ここからは動画内のこだわりポイントについてお話しします。
ホワイトレターボックスの使用
1・2番のAメロ・Bメロを中心に、動画の上下に白帯を付けています。この手のものって、基本黒色が使われることが多いですよね。なんでも正式名称はレターボックスと呼ばれるそうで。
↑は拙作「碧色散歩」。黒のレターボックスを使用しています。
鉄道PVでも使用している方を何人か見かけます。PVにおけるレターボックスは、画面中心のものを見せたり、16:9では広すぎるときに使われるものかと思われます。
突然ですが、皆さんなら「夏」と聞いて連想する単語はなんでしょう。
そう、「爽やか」ですよね。 え、違う?うるせぇ黙r
そんな夏の爽やかさを含むメロディに、どこか哀しさも感じてしまう歌詞。それが「潮騒」という曲に表れてるなと、私は思っています。
では、この「爽やかさ」を動画で表現するにあたって、黒いレターボックスでは少し暗いなとも感じてしまいました。それなら真逆の白でいいじゃんとなり、"白いレターボックス"を使うことにしました。なんと安直な。
ちなみに一カ所だけ黒いレターボックスを使っている箇所があるのですが、それはまたあとで。
写真の載せ方
この作品には動画と同じくらい写真がいっぱい出てきます。何分何秒とかまでは計ってませんが、本当に同じくらいの量で出しています。原曲もシャッター音がAメロで流れてますし。
では、そんなたくさん出てくる写真をどうやってつなげるか。ただ写真を一枚一枚載せているだけではマンネリ化してしまいます。この作品で悩まされた部分です。
そこで、以下のような工夫をしてみました。
・マスクと拡大率縮小をかけて周りを黒くする(1:01付近)
・一瞬拡大した後、すぐにもとの拡大率に近づける(1:05付近)
・動画の上に重ねる(2:24、2:38付近)
ざっとこんな感じでしょうか。動画内における写真っていろんな可能性を秘めていると思います。
"ちょっとだけ"色を被らせる
一度見ただけでは言ってることがわからないと思います。なのでAviUtlの編集画面を開いてみます。
大まかに言うと青色のやつが動画・写真・図形などです。
ここで何カ所か、下の方のレイヤーにある「フレームバッファ」に注目してください。
それぞれを左から順に解剖するとこんな感じです。
このように、「アニメーション効果」より「金属質」、および「黄金質」もしくは「単色化」をかけ、それぞれが透明度80としています。
これをすることでどうなるのか。2番Aメロ・Bメロを例に見てみましょう。
パッと見では違いがわかりにくいかもしれません。単色化ありの方はよーく見ると、赤みがかかっているのがわかるでしょうか。
もう一つ、仙石線も出してみましょうか。
これでどうでしょう。背景の建物が少し青みがかっているのがわかるでしょうか。
こうして「違和感がない程度に色を被らせる」ことによってイメージカラー(?)を引き立たせてみました。
(1番が黄金質なのは単純に複数の会社をまたいで長距離移動をしているので適切な色が見つからなかっただけです)
震災遺構の扱い
三陸の旅をする上で外せないもの、それが東日本大震災の爪痕です。
この作品では、ラスサビ前に四カ所の震災遺構・関連施設が登場します。
今回の旅では、これら震災遺構・関連施設を巡ることも目的の一つでした。
私が三陸に行きたいと思ったのは、「現地へ行ってはじめてわかること・気づかされることはたくさんある」ということを、以前訪問した際に知ったからです。
美しい海からは想像もできない状況があの日に襲い掛かり、それを後世へと伝えるための施設がたくさん存在するのだから、私たちはそれを知らなければ、その施設が何の意味も為さないと。自分たちで広めていかなければならないと。
だから、この曲を知ったときから、これらは絶対に入れようと思っていました。
このような災害被災地域などにおける観光は「ダークツーリズム」と呼ばれています。そんなダークツーリズム的な側面があるため、直前の三陸鉄道が出ていくシーンでは(3:26付近)、この作品内で唯一黒いレターボックスを一瞬ですが使用し、震災遺構・関連施設も黒枠で覆っています。
そして最後には三陸鉄道が登場、写真を撮るイメージで明転するといった感じにしています。色調を戻すことにより、「あの日を乗り越えて」というフレーズにつながっています。
おわり:"一度きりの夏"を描くために
以上が主なこだわりポイントとなります。
学生生活最後となる(であろう)夏休みの思い出。それを残すために、三陸を選んで本当によかったと思います。
美しい海、美味しい食べ物、単線をトコトコ行く列車、そして震災の爪痕。どこを切り取っても記憶に残る思い出でしかありません。
「この"思い出"は、上書きも消去もできないから―」
次に三陸に来たときは、どんな印象を抱くのでしょう。
コメント高評価お待ちしております。
それでは