
【2024年ベストバイ】今年買って良かった吹奏楽CD
2024年もあっという間に12月になってしまいましたね。今回は年の瀬企画として、私が今年買って良かったと思った吹奏楽CD5枚+番外編で2枚を紹介していきます。
買って良かった吹奏楽CD【2024年】
1.酒井格作品集(大井剛史/東京佼成ウインドオーケストラ)
【発売日】2024年03月06日
【発売元】CAFUAレコード
【指揮】大井剛史
【価格】3,000円+税
【商品番号】CACG-0325
【演奏】東京佼成ウインドオーケストラ
(ソリスト)
フルート:瀧本実里、オーボエ:山本楓、ファゴット:柿沼麻美(いちご協奏曲)
今年購入した吹奏楽CDの中でダントツで買って良かった1枚です。
何が良いかと言うとまず選曲です。
プロによる全曲版の市販音源の無かった『森の贈り物』
音源自体が市販されておらず春日部共栄高校の自主制作盤でしか聴くことが出来なかった『148の瞳』
同じくヤマハ吹奏楽団の自主制作盤でのみ聴くことが可能と思われる『さよなら、カッシーニ』
そして指揮者の大井剛史氏自身の委嘱で作曲された『いちご協奏曲』
といずれも良くぞ収録してくれた…!となる選曲です。実はCD発売の1年以上前から音源化を熱望していたので、CD化が発表されたときは本当に嬉しかったです。
酒井格特集の部分だけでも音源化されないかなあ…。148の瞳もさよならカッシーニも初演されてからずっと気になっているのですが聴けず…😭 https://t.co/c6wAoa1v4T
— 87@吹奏楽・オーケストラ (@87_wo_orch) February 8, 2023
次に演奏面です。最近のTKWOの演奏は「吹奏楽燦選ライヴ/保科 洋:交響曲第3番」のCDを始めとして、ライヴレコーディングでもとてもクオリティの高い演奏で安心して聴くことが出来るのですが、なんとこちらのCDはセッションレコーディング。コストがかかってでも良いCDを作りたい、という想いが素敵です…!
そして、CDのブックレットには酒井格作品の一覧表(作品番号1~202まで)も掲載というサービスっぷり。
指揮者の大井剛史氏がこのCDの作成に込めた想いを以下のnoteで綴っていますが、人柄の良さが伝わってくるような文書が素敵です。まだ読んでいない方はこちら↓からぜひ。
邦人作曲家の中では酒井氏は音源化に恵まれている方だと思いますが、プロによる音源が存在しない作品やそもそも音源自体が存在しない作品はまだまだ沢山あります。これらの作品を収録した酒井格作品集第2弾に期待したいです…!
2.陽が昇るとき(現田茂夫/Osaka Shion Wind Orchestra)
【発売日】2024年7月31日
【発売元】ワコーレコード
【指揮】現田茂夫
【価格】3,000円+税
【商品番号】WKOS-004
【演奏】Osaka Shion Wind Orchestra
TKWOと比較して多くの定期演奏会のライヴCDを発売しているオオサカシオンですが、今年発売した(発売予定の)ライヴCDはなんと5枚!(陽が昇るとき、悪魔の聖書、惑星、ドラゴンの年、リンカーンシャーの花束)
その中でもオススメしたいのはこちらの「陽が昇るとき」です。20年以上前の作品かつ、高昌帥氏の代表曲と言っても差し支えが無いほどの人気を誇る作品ですが、いままで全曲版のプロによる演奏音源が存在しない作品でもありました。そんな中登場したこちらの1枚はまさにこの作品の決定盤とも言える音源です。
以下でこちらのCD単体での紹介noteも書いていますので、良かったらご覧ください。
3.長生淳 アド・アストラ(日野謙太郎、髙木啓暉、仲田守/光ヶ丘女子高等学校吹奏楽部)
【発売日】2024年4月10日
【発売元】CAFUAレコード
【指揮】日野謙太郎、髙木啓暉、仲田守
【価格】2,800円+税
【商品番号】CACG-0329
【演奏】光ヶ丘女子高等学校吹奏楽部
私はアマチュア団体(特に日本の一般のスクールバンド)のCDは普段滅多に買わないのですが、選曲に惹かれて買った1枚。
中央大学学友会文化連盟音楽研究会吹奏楽部の自主制作盤しか音源が存在しなかった長生淳『アド・アストラ』、R.ガランテの委嘱作品『白鯨と旅路をともに』、当時はCD音源の少なかった周天(ジョウ・ティエン)による『シンフォニア』など、意欲的な選曲です。
また、長生淳『いざ咲き匂はざらめやも』を除き収録曲はいずれも全曲版で収録というのも好感度高いです。
「演奏会はコンクールと違って時間制約も無い訳ですし、わざわざ作品をカットして演奏しないで欲しい(ましてやそれを当たり前のようにCDに収録しないで欲しい)」というのが私個人の考えなので、ほぼ全ての楽曲がノーカットで収録されているのもこのCD購入の決め手でした。
そして、どの曲も演奏クオリティが高く驚きました。収録曲目当てで購入したCDのため正直あまりクオリティは期待していなかったのですが、良い意味で予想を裏切られました。笑
こちらのCDも単体での紹介noteを書いていますので、良かったらご覧ください。
4.21世紀の吹奏楽「響宴XXV」新作邦人作品集
【発売日】2024年4月26日
【発売元】ブレーン
【指揮】福本信太郎、甘粕宏和、伊藤巧真、佐藤正人、中村俊哉
【価格】3,500円+税
【商品番号】BOCD-7560
【演奏】東海大学吹奏楽研究会 、 やまももシンフォニックバンド 、 千葉県立幕張総合高等学校シンフォニックオーケストラ部 、 川越奏和奏友会吹奏楽団 、 神奈川大学吹奏楽部
毎年恒例の響宴のライヴ録音CD。響宴の音源はAppleMusicを始めとしたサブスク音楽配信サービスなどでも聴けるようになりましたが、各曲の解説をCDブックレットで読みたく私は毎年CDで購入しています。
回によって演奏クオリティの差や選出される作曲家のマンネリ化などがあるのは正直否めない時のですが、第25回の響宴は初選出の若手による作品(葛西竜之介『吹奏楽のためのシンフォニエッタ』、後藤元信『おとのは―吹奏楽のための―』、得本和音『ア・ニュー・チャプター・イン・マイ・ライフ・ビギンズ・ナウ!』など)と、ベテラン作曲家の作品(菊池幸夫『序奏とアレグロ』、高昌帥『吹奏楽のための第3組曲「スパルタカス」』など)が良い塩梅で収録されておりバランスの良い回だと思います。
そして驚いたのが千葉県立幕張総合高等学校シンフォニックオーケストラ部(指揮/伊藤巧真)による音楽的な演奏。どの作品もスクールバンドの目指す理想形とも言える音楽作りで、ぜひ多くのスクールバンド関係者に聴いてほしいですね。
5.P.グレイアム&P.スパーク(大井剛史/東京藝大ウィンドオーケストラ)
【発売日】2024年4月25日
【発売元】ブレーン
【指揮】大井剛史
【価格】2,500円+税
【商品番号】BOCD-7638
【演奏】東京藝大ウィンドオーケストラ
コロナ禍により企画自体が一時中断していた東京藝大WOによる4年振りのセッションレコーディングの1枚。
このシリーズのCDは毎回楽譜に忠実、丁寧な音楽作りが印象的ですが、指揮者が山本正治氏から大井剛史氏となった今回も引き続きの安定感で素晴らしいクオリティです。
選曲については(特に、『巨人の肩に乗って』『ドラゴンの年』など原曲がブラスバンド作品である2曲のチョイスについては)正直「?」と思うところはあるものの、こればかりはCD企画元のブレーン社の意向が強いかと思いますので深くは掘り下げません。
演奏のクオリティは他の音大から今年リリースされたCDと比較すると、そのクオリティの高さに驚かされると思います。他の音大の演奏クオリティが低いのではなく、藝大WOの演奏クオリティが高すぎるという印象です。
今回のCDが第6弾とのことですが、長く続くシリーズになることを期待したいですね。
番外編1:オーケストラ&ポール・ポピエル/ジェイムズ・バーンズ:交響曲全集(5枚組)~創立100周年ライヴ
【発売日】2023年12月22日
【発売元】ワコーレコード
【指揮】ポール・ポピエル
【価格】8,000円+税
【商品番号】WKOS-002
【演奏】Osaka Shion Wind Orchestra、佐藤 瞳(ソプラノ)
ここからは番外編として2枚のCDを紹介します。1枚目はオオサカシオンのバーンズチクルスのCD。発売日が2023年年末なので番外編としての紹介としました。
価格は税込8,800円と気軽に買える金額ではないですが、演奏会のパンフレットの解説をそのまま全編CDブックレットとしているので資料的価値もあり、買って後悔はしないCDだと思います。
番外編2:Divine Mischief(エリック・ウィルソン指揮/ベイラー大学ウインド・アンサンブル)
【配信】2024年9月27日
【発売元】Signum Classics
【指揮】エリック・ウィルソン
【価格】不明
【商品番号】SIGCD860
【演奏】ベイラー大学ウインド・アンサンブル、ジュリアン・ブリス(クラリネット)
番外編2枚目は購入したCDではなくAppleMusicで今年聴いた中で良かった1枚の紹介です。
ジュリアン・ブリスがクラリネットソロを担当するJ.マッキーの『Divine Mischief(ディヴァイン・ミスチーフ)』、M.グールドの『Derivations(デリヴェーションズ)』という作品が素晴らしく、周天(ジョウ・ティエン)の『シンフォニア』もかなりのクオリティです。
最後に
CDが売れない時代ではありますが、去年・一昨年と比べると吹奏楽CDのリリース状況はだいぶ良くなった印象でした。
来年も同じ企画が出来るよう、引き続き気になったCDは買って応援したいと思います!
特にTKWO、オオサカシオンは魅力的な演奏会を多く開催しているので今後も定期演奏会のライヴ録音のリリースが続いてくれると嬉しいです。(最近ほぼCDをリリースしなくなってしまった広島WOも復活を願います…!)
紹介した吹奏楽CDで気になったものがありましたら皆さんもぜひ手に取っていただけたらと思います!