理由は様々 完成できなかった朗読企画 断片
朗読企画~海の墓~僕らの知らない南の島で...3体
<白シャツ>
その土地に足を着けた時 異国の香りがした気がした
ここは日本だ
確かに日本だ 知っている情報は多い
確かに日本から 日本人からどこか離れているが しっかりと隣接して優しく腰を下ろし 時に争い 時に無償で受け入れ包み込んでくれる
<ライトチェンジ>
この土地は青い
森さえも青い
人々の生活さえも その活気にまで青は染みて 吸い込む空気さえも青い
肺から身中青く 心中蒼く染まっていく
この土地は今までに何度も青を欲し染まってきた
作っては壊し 作られては壊し 作っては壊され 何度も重ねて染め続け
濃い青い 来い蒼い
<白シャツから濃い藍染のシャツ_ロング>
同じ毎日の同じ朝
同じ顔に似たような言葉を交わし
似たような心情で各々毎日を稼ぐ
特別なことなど何もなかった
錆びてしまいそうなほど使い古された同じ
同じ
-----ライト-
突然だった
昼間なのに辺りは薄暗く
煙に巻かれている
何かが光る
---ライト
少し暗くなった静寂の中で
その音が聴こえたような
そして聞いたことの無い音が降ってくる
声なのか
分からない
一瞬だった
形が有るか
いや 形など...
無いようなものだ
それはしばらくして染みのように
そこに生きていた全てが 形を残したまま失くなっていく
涙が溢れた
許してくれと
僕は生きたかった
一緒に燃えてしまいそうなほど熱いそれを 必死に抱き寄せて
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嗅いだことがない
とても焦げ臭い
感じたどれよりも
とても熱い
見たことがない
とても真っ暗で
どんな今までよりも
とても煩くて
すごくいきなり
大病にかかった患者のようだ
様々な感情と
瞳に写る状況
耳に張り付いたままの声や音
触れられる感触全て
知らない 分からない
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そうだ
突然だった
同じ毎日が
同じ朝が
同じ顔が
同じ言葉が
一瞬で奪われた
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戸惑うのか
僕は必死に探した
瞳に映る全てが僕の知らない世界だったから
あなたの顔を必死で探した 僕の良く知っているあなたの顔を
必死で探しているんだ
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悲しむのか
とても悲しかった
そこら中がとても焦げくさくて
崩れ落ちた形から縋れる存在を求めた
こんなにも悲しいのに瞳は乾いたまま
ずーっと ずーっと
遠くなる
こんな僕を見つけても この姿を最後にしないで
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怒るのか
どうして
頭の中でも
心の中でも
繰り返し答えを求めた
どうして
どうしたらいい
どうなる
僕が何をしたってゆうのだ
全てを返して
僕の知らない全てまでも
退屈だった毎日の全てを 返してよ
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できていたことが出来ない環境で 会いたい誰かを探しだす術もなく 何処へ歩けばいいのか それでも迷い歩き続ける
<→シャツ 汚し済みにチェンジ>
形を手のひらで恐る恐る撫でてみる
とても熱く
とても
<エキストラorダンサー 袖>