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カレイ投げ釣りパーフェクトガイド 〜PartⅥ タックル編〜
ここまで5回にわたって、カレイ投げ釣りに関する、オリジナル仕掛けや時合いなどを解説してきた。
通常の釣り雑誌やサイトでは、なぜか竿やリールなどのタックルから説明しているケースが多いが、筆者はあえて逆から説明した。
それは読者の皆様に、カレイの投げ釣りに興味を持って貰いたかったからで、釣ってみたくなってからタックルを検討してみて欲しいという想いがあるからだ。
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そこで今回は、次のような流れでカレイ釣りにオススメのタックルを紹介しよう!
目次
1、竿
2、リール
3、道糸&チカラ糸
1、竿
カレイの投げ釣りでは、シーバスロッドやショアジギングロッドなどよりも、投げ釣り専用の投げ竿を使いたい。
その理由としては、少しでも遠くまで仕掛けとエサを届けられる、遠投性能の高い竿を使いたいからだ。
【並継投げ竿】
時には超遠投も求められるキス釣りでは、3ピースに分かれた並継タイプが主流だ。
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これは真ん中のピースの反発力と張りが強い設計になっており、そうすることで飛距離を出すポテンシャルを高めている。
【振出投げ竿】
一方のカレイ釣りでは、飛距離は欲しいものの、複数の竿を並べて待つスタイルの釣りであることから、振出タイプの投げ竿が適している。
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ポイントまでの移動の際は、ロッドケースに竿を入れて歩くが、並継では嵩張ってしまい、ほとんどのロッドケースには3本程度までしか収納できない。
しかし振出タイプであれば1ピースのコンパクトな状態で収納することが可能なため、6本程度まで入れられる物もある。
竿数が4本であれば、大半のロッドケースに入れることができるだろう。
【ガイド固定構造】
この振出タイプの投げ竿で注意したい大切なことは、ガイドがシッカリと固定可能な構造になっているかどうかだ。
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ガイドが固定されていないと、キャスト時に発生する竿の「ネジレ」により、道糸からガイド枠に伝わるパワーに押されてしまい、ガイドが緩んで回ってしまうのだ。
ガイドが回転することで、道糸が絡むトラブルを誘発するだけでなく、フルキャストのシーンではラインブレイクや竿が折れるリスクが生まれてしまう…。
大手メーカーからは、この構造になっているエントリーモデルが販売されているので、これから購入を検討する人は参考にして頂きたい。
【スペック選択】
なお、竿のスペックは使用するオモリの重量を背負えるだけのパワーがなければならない。
使うオモリの重量から見た竿の目安は…
オモリ号数 → 竿の号数
20〜23号 → 25号
25〜27号 → 30号
30〜33号 → 35号
おおよそのイメージとしては、使用するオモリの号数よりもワンランク上(硬い、強い、太い)の竿を選択したい。
潮流の速さの違いや遠投の必要性など、釣り場の状況に応じてオモリの号数は変わる。
しかし、釣り場に複数のスペックの竿を、何本も持参する訳にはいかないし、そもそも使いこなす本数にも限界がある。(笑)
そこで筆者の場合、30号オモリの使用を基準として、33〜35号の竿で揃えて釣り場に向かっている。
「大は小を兼ねる」ではないが、25号竿で30号のオモリをフルキャストするのはスペックオーバーで危険極まりない。
ところが、35号の竿で20号の軽いオモリを扱うのは何の問題もない。
さらに、待ち竿のスタイルの釣りでは、予期せぬ大物が掛かることもある。その魚の抵抗に負けずに取り込むためには、竿にもそれなりのパワーが必要になる。
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カレイ釣りでは、マダイ、アイナメ、サメ、エイなどのパワフルなゲストも掛かることから、少し強め、やや硬めの竿を選択することをオススメする。
竿の全長はポピュラーな4メートル前後が扱いやすい。
また、複数の竿を三脚に並べる時に、同じ長さで揃えれば、視点がバラ付かずに見やすくなるため、メーカーやスペックはバラバラだとしても、長さは統一するほうが良いだろう。
2、リール
カレイ釣りで使用するのは、飛距離を出しやすい投げ釣り専用スピニングリールが適している。
中でも大物に対応可能な、ドラグフリー機能付きのタイプがイチオシだ。
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【ドラグフリー機能】
以前に三脚の解説でも触れたが、置き竿にしてアタリを待つスタイルの投げ釣りでは、突然の大物が掛かって、その一瞬のパワーで一気に竿ごと海に引っ張られることがある。
貴重な竿を持って行かれたら大変だ。
その対策として考案されたのが、スプールノブを軽く回すだけで、ワンタッチでドラグがユルユルに緩み、道糸が幾らでも放出されるシステムだ。
ノブをシッカリと締めれば思い切りフルキャストが可能で、剛と柔を兼備したスピニングリールと言えるだろう。
このドラグフリーにした状態で大物が掛かると、スプールが回転しながら大きなドラグ音を発するため、よほど離れた位置に居ない限り、魚のアタリや異変に気付いて対処が可能になる。
カレイの場合も50cmを超える「座布団クラス」ともなれば、ドラグフリー機能がないと竿尻を大きく持ち上げて、あわやというシーンを作るだけのパワーを持っている。
これからカレイ釣りや待ちの投げ釣りを始めようとお考えな人は、嬉しい事態にも落ち着いて対応できるよう、ドラグフリー機能付きのスピニングリールをオススメする。
3、道糸&チカラ糸
釣りの道糸には大きく分けて4種類の素材のものが使用されている。
その特徴と投げ釣りとの相性を見てみよう。
①PEライン
ルアーフィッシングでは主流になっているが、細いポリエチレン製の糸を撚り合わせた糸。
張りがなく非常にしなやかで伸びが少ないことから、糸を直線的に使うルアー釣りでは、魚の微妙なアタリをキャッチできるメリットがある。
他の素材と比べると、同じ強度でも直径を細く仕上がっているため、水中では受ける潮流や水圧の影響を軽減し、空中では空気抵抗を減らす効果がある。
そのため、船釣りでは潮流による余計な糸フケを抑えられるメリットがある。
投げ釣りでは飛距離を伸ばせる可能性がアップし、サーフにおけるキスの引き釣りのように、常に道糸を張った状態をキープする釣り方にマッチする。
②ナイロンライン
ナイロン素材単体で仕上がった糸。古くから釣りで使用されてきた素材で、強く引っ張ると適度に伸びる特性があり、魚の咄嗟の横走りやパワフルな引きにも柔軟に対処しやすい。
しなやかでリールスプールにもフィットしやすいが、PEラインと比較すると同じ強度でも直径が太目の仕上がりになっている。
投げ釣りでは飛距離を出し難い弱点はあるが、伸びる性質を活かした大物釣りや、カレイ釣りに向いている。
③エステルライン
ナイロンラインと同様に単一の素材から出来ていて、引っ張っても伸びない特徴がある糸。現在は軽いウエイトのジグヘッドを使用する、アジングの道糸として広く知られている。
伸びがない反面で、急な引っ張りや擦過に弱く、強度を超えると比較的簡単に切れやすくなっている。
投げ釣りでは道糸として使用する人はほとんど居ないだろう。むしろ伸びないことから感度が高いメリットを活かし、ハリスに使用するケースも見受けられる。
④フロロカーボンライン
張りが強くて伸縮性のある単一素材の糸で、海水よりも比重が高く沈むという個性がある。
張りがあって絡み難い特性から、ルアー釣りではショックリーダーとして使用する人が増えている。
反対に張りがあるため道糸としてリールに巻くと、スプールに馴染み難くバラけてしまいやすい。
かつては比重の高さを活用し、船道狙いの道糸として投げ釣りで採用する人も居たが、どうしてもバックラッシュが発生しやすく、道糸としての利用はあまり見られなくなり、仕掛けの幹糸やハリスに使うケースがほとんどだ。
【カレイ釣りにオススメの道糸】
以上のように4種類の素材に関する特色を総合的に考えると、カレイ釣りにはナイロンラインをオススメしたい。
筆者はこのアトミックスライダーを全てのスプールに巻いて愛用している。
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これまで様々な道糸を試してみたが、どのナイロンラインよりも強度があり、トラブルも少なく信頼できるのがその理由だ。
カラーは釣り場で視認やすいオレンジを選択。
予備の替えスプールに巻いておき、その号数をシールに書いて貼っておけば、瞬時の判断で道糸をすぐに交換ができる。
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替えスプールにはナイロンだけでなく、遠投が必要なポイントなどのために、一応PEラインも準備している。
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なお、PEラインを使用する場合は、糸フケが出やすい横風は避け、出来る限り追い風となる場所をチョイスして釣り場を構える。
また、アタリを待つ間は必ずドラグフリー状態にしておくことも忘れてはならない。
【チカラ糸】
投げ釣りでしか耳にしない単語かも知れないが、読んで文字のごとく、力一杯フルキャストするための糸のこと。
例えば、道糸にナイロン3号で30号のオモリをフルキャストしようとしている場合、道糸をオモリに直接結んで全力で投げると、高い確率で道糸とオモリや天秤の結束部で切れてしまうことだろう。
それを防ぎ、なおかつ細い糸で飛距離を出すためのパーツがチカラ糸で、道糸側からオモリ側に向かうに従って、徐々に太くなる構造となっている。
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このチカラ糸を購入する場合は、道糸と同じ号数、同じ素材の物を選んで結束する。
キャストするまでは人差し指の1点でチカラ糸を支え、スイングを始めてから負荷がMAXになろうかとするタイミングで指を離すことで、遠くまでオモリを飛ばすことが出来る。
その時の瞬間的な負荷も、ナイロンライン12号であれば切れる心配は少なく、安心して投げることが可能になる。
チカラ糸も傷が付いたら交換する必要があるが、その時にスムーズに作業するために、太い側に予めスナップをセットしておき、空スプールに巻き付けておく。
そして細い側は次のチカラ糸のスナップとセロテープで貼り合わせておけば、チカラ糸の端を確認しやすくなる。
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自宅でこのような準備をしておくことで、実釣の時合いでも、チカラ糸の交換を短時間に済ませることができる。
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以上のようにカレイ釣りではタックルも道具もアイテムも多くなる。
しかし、同じ時間でより満足な釣果を出すためには、止むを得ないことだと筆者は考えている。
そしてオフシーズンにそれぞれの手入れや補充をし、創意工夫を凝らして時を過ごすのも、投げ釣りの魅力の一部として楽しんでいる。
つづく…
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