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『やりたい事をやりなさい』にある裏側

やりたいようにやったら良い。
あなた自身が本気で
尚、人を傷つけたり貶めたりしなければ
やりたい事をやりなさい。


私は小さい時から
そう言われて育ちました。
自由と言えば自由。
放任と言えば放任。
中3の夏、今後の進路を相談する上で大切な
3者面談にさえ、父は来ませんでした。

「娘の事は娘自身に一任している」と言い
当時の担任からは「参ったなぁ」と嘆かれ
気不味い2者面談をしたのを覚えています。

20代で銀行員をしながら
自由な恋愛をし
朝帰りや3日間帰らず…なんて事を繰り返して
いざ帰宅したら玄関の鍵が変わってた…
なんて事はザラにありました。

「やりたい事をやりなさいって方針じゃ無かった?」
「それと貞操は違います!」
そんな喧嘩をしながらも
やっぱり私は自由でした。

実際、自分が母親になった時
自分の子どもたちに同じ事が言えるかと問いた時
怖いなと言う気持ちが1番に来て
手放しでは言えないなと思いました。

特に朝、
「いってらっしゃい」と見送ったのが
最後の言葉になった経験のある私には
彼ら2人を幼稚園や学校に送り出す事さえ
怖い。
ましてや子どもたちだけで何処かに行くなんて…

初めは恐怖との戦いでした。
あれは違う
あの過去と今は違う
彼と2人は違う
自分に暗示を掛ける様に
過呼吸と戦い、笑顔で送り出してきました。
自分を偽らなければ、母親として保てない時期でした。

今でこそ2人は13歳と11歳。
携帯も早くから持っていて
私の過去も理解して
母の私の戦いにも応援してくれています。
けれど、当時は誰にも話せませんでした。
幼稚園ママ達は、私がオランダ姓だった過去は知らないですし、
「いってらっしゃい」が恐怖であるなんて
世間一般で考えれば
馬鹿馬鹿しすぎるからです。
それに過去を知る友人達には、元気で笑っている私、母である私を見せたい気持ちが1番でした。

誰にも言えないままで、
この事を話したのは、随分後になってからです。

「そんな取り越し苦労で苦しまなくて良いじゃない」と言われて涙が止まりませんでした。

「こんな事言っても仕方ないって1人で
悶々と抱えてるなら、馬鹿丸出しで良いから
頼って欲しかったよ」とも言われました。


悩んでる本人からすれば
様々な気持ちや思いがぐちゃぐちゃに絡まり
言うか
言わないか考えてしまいます。
返ってくる言葉や反応を天秤に掛けたりして
言う事自体が我儘ではないかとさえ思ったり、自分が我慢すればいいのかと思ってみたり。


やりたいようにやったら良い。
あなた自身が本気で
尚、人を傷つけたり貶めたりしなければ
やりたい事をやりなさい。


そんな言葉で自由奔放に育った私でも
人を頼る事
人に頼る事を躊躇う事が沢山あります。
便利な様で厄介な事に今はネットと言うモノがあります。
調べれば、どれだけでも情報を得る事が出来ます。
凄く便利な世界ですが、
個人的には私達にはまだ
流れてくる山の様な情報から正しいモノ、
または適切なモノを取捨選択するスキルが
追いついていない様な気がするのです。

自己肯定感が高い子どもに育てる
有名大学に入学する子どもに育てる
そう調べると大量の情報が流れてきます。
その中から篩にかけて選ぶ時
人気度であったり書いた人が有名であったり
やっぱり、そんな基準で選びがちです。

本来ならば
どのやり方が我が子にとって1番なのか
自分の子育ての考え方に近いのかが大切だと思います。
でも、これもあくまで誰かの成功例でしかありません、
子育ては完全なカスタマイズで、only oneなモノだと私は思っています。
共感する部分は沢山あれど
細かく見れば違いはあります。


私は子育てでも他の事でも
悩んだらネットで調べるのではなく
血の通った人に聞く、話す事にしています。
返答が的外れでも良い
期待していない言葉でも良い
やっぱり私は人間くさい中で生きていたいんだと思うし、体温が感じられる言葉が欲しいのだと思うのです。

誰かに依存するのは嫌だと言う事も聞きます。
私も依存体質は嫌いで
群れるのが苦手で、他者とは自分が心地いいと思う距離がないと苦しくなります。なのでフラフラとしている私に長く付き合ってくれている友人たちには本当に感謝しかないなと思っています。

私は誰かに相談や不安を話す時
それを"依存"とは思っていません。
依存とは、それが無くては生きていけない
それが無いと生活が成り立たない事だと私は認識しているからです。
それでもやっぱり"依存"じゃないかと気になるのなら、
依存先を沢山たくさん、めちゃ沢山確保する事をオススメします。
1本しか無い太い糸にしがみつくより
たくさんの線がある方が
気持ち的に楽だと思うからです。
この線がダメなら、こっちの線…と選択肢が多い方が”依存”と言う気持ちを薄らげてくれるでしょうし、
たくさんあればある程、いるだけで良いと言う線(人)も出てきたりします。


親も人間で、未熟で未完成です。
間違える事だって沢山あります。
でも考えてみると、
この世の中に完璧なモノなんて幾つ存在するんだろう。
私達が毎日握りしめている携帯だって
日々アップデートを繰り返しています。親だからっていつも笑って完璧でいる必要なんてあるのかしら、とも思ったりします。


やりたいようにやったら良い。
あなた自身が本気で
尚、人を傷つけたり貶めたりしなければ
やりたい事をやりなさい。

私も手放しでは言えませんが虚勢を張って、子ども達に言えるようになりました。言えるようになって初めて気が付いたことがあります。

私は父や祖母から信じてもらえていたんだなという事です。
私と言う個人を認めてくれていないと、そうそう言えたもんじゃないなという事を身を持って母となり感じたからです。

そしてその言葉は私自身にも返ってきました。

親として、母としてやりたいように、やりなさい。
私自身が本気で、子ども達を傷つけたりしなければ、やりたい事をやりなさい、と。



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