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Euphoric Frenchcoreについて

こんにちは!HardcoreとFrenchcoreを中心に作曲、DJの活動をしているSabjektです。この記事では、近年Frenchcoreの中でも盛り上がりを見せていて、自分が大好きなスタイル「Euphoric Frenchcore」について解説していきます!

Euphoric Frenchcoreの誕生

元々Frenchcoreはアンダーグランドなジャンルでした。Hardcoreの派生ジャンルであるFrenchcoreは、BPM200前後で硬派なキックでサンプリングが多く、ひたすらキックが鳴り続く...といった感じです。(めっちゃ説明を簡略化してます、詳しくはWikiでhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%B3%E3%82%A2 英語版 https://en.wikipedia.org/wiki/Frenchcore)特にRadium、Maissouille、The Speed Freak、The Sickest Squad等が代表格で、Frenchcoreはレイヴやテクノシーンの影響を受けたスタイルが主流でした。僕はこれを自分の中ではフランス流Frenchcoreと呼んでます。(細かく分けると様々なスタイルがありますが、それを解説しようと思うとまた別の記事が出来てしますのでこの記事では省略します)2010年頃から、Radiumを筆頭にHard Danceシーンに頭角を現していき、MoHやDominator等のHardcoreフェスにFrenchcoreステージが出来るようになりました。


そんな中、2010年代中盤オランダ人アーティストのDr.PeacockがFrenchcoreを大きく変えました。PeacockのFrenchocoreは硬派なFrenchocoreとは違いキャッチ―で、ブレイクがオーケストラ色強めのメロディアスなものから、明るい歌モノまで、主流のFrenchocoreとは異なるスタイルのFrenchocoreを自身のレーベルPeacock Recordsからリリースしてました。Death By Designとの合作「Eat This」が、Hardcoreにおける屋内最大規模のフェスの一つMasters of Hardcoreの2015年のアフタームービーに使用(3:20~)されていたり、そのMoH2015ではFrenchocore DJなのにFrenchocoreステージより広いIndutrialのステージに一人だけ飛ばされていたりと当時から注目度は高いアーティストでした。

そんな中、彼が2016年に出したアルバム「Trip Around The World」が大ヒットしました。このアルバムは国や場所を題材にした曲が収録されていて、その国の民族楽器やボーカル等が使われた、独創的かつキャッチ―なトラックが収録されています。特に「Trip To Ireland」は今でも大人気でFrenchocoreの代表曲となっています。

↑非公式の動画ながらも4000万回再生。Hard Danceの中ではとんでもない再生数を誇っている

そんな彼のスタイルのFrenchocoreに近い若手アーティスト達は彼に見いだされ、Peacock Recordsでリリースの機会をもらっていました。その中でも彼のFrenchcoreのスタイルをよりメロディアスで本格的なオーケストラやエモいボーカルを取り入れていた、オランダ人アーティストがいました。

主なアーティストは、Peacockに子どもの頃から見出されていたSefaや、Crypton、Vertex、Mr.Ivex等です。彼らは自分たちの曲に共通の通称を使って曲を公開していました。それこそが「Euphoric Frenccore」なのです。

↑ Sefaが初めてEuphoric Frenchcoreをタグ付けした曲

↑ Cryptonが初めて公開したFrenccore すでにEuphoric Frenchcoreをタグ付けがされている

↑ VertexのデビューEP。なんと初リリースがPeacock Records。

Euphoric Frenchcoreとは

Euphoric FrenchcoreはFrenchcore をよりメロディアスでキャッチ―にしたものと紹介しました。Euphoric Frenchcoreがどのようなものなのかを知るために、まずはフランス流FrenchcoreとEuphoric Frenchcoreを聞き比べてみましょう!まずはフランス流のFrenchcoreから!

そしてこちらがEuphoric Frenchcoreです!

まず大きな違いとしてはやはりメロディです!Euphoric Frenchcoreは明るく、壮大でキャッチーな感じのメロディを持つ曲が多いです!リードも厚みのあるスーパーソウが使われることがあります。キックの質感もフランス流のものとは質感が違います。Euphoric Frenchcoreでの主流なキックの特徴は、アタックはMainstream HardcoreやHardstyleのようなコツコツした質感が似ていますが、Frenchcoreのキックらしいうねりのあるベースが特徴です!

ドロップにも様々な種類があり、先ほどのLastingのようにリードでメロディを流す時もあれば、このLimitlessのようにメロディを楽器で奏でる時もあったりで様々なスタイルが存在します!

そしてブレイクですが、説明の前にこちらの曲をお聞きください!

↑Linkin Parkの名曲「Breaking The Habit」を大胆にサンプリング、海外のダンスミュージックはLinkin Parkネタが非常に使われている。

この曲は今まで紹介した曲とは打って変わって、オーケストラ調のものとは違いますが、これも立派なEuphoric Frenchcoreです。Euphoric Frenchcoreのブレイクは必ずしもオーケストラ調である必要はなく、エモいボーカルを使ったものでもいいのです!他にも様々なパターンがあり、エモいヤツなら何でもOK!という感じです。そのため、アーティストによって同じEuphoric Frenchcoreの中でも個性が表れるのがこのジャンルの面白いところです。

また2019年頃からEuphoric Frenchcoreが浸透したことで、このCollective Paranoiaのようなフランス流のキックを使ったEuphoric Frenchcoreもリリースされてきていて、よりEuphoric Frenchcoreの幅が広がってきているように感じます。また、フランス流のFrenchcoreを作ってきてたアーティストもEuphoric Frenchcoreを作るようになってきています。Hard Danceのキックは時代の変化とともに少ずつ形が変わっていくので、もしかしたら数年後には今と違うキックが主流になっているかもしれません。

キックの種類が多かったり、ブレイクのパターンが違ったりと非常に多くのスタイルがあり混乱するかもしれませんが、簡単にまとめるとEuphoric FrenchcoreはとにかくエモいFrenchcoreという感じです!聞き続けていくと、どのようなものがEuphoric Frenchcoreなのか分かってくるようになると思います。

Euphoric Frenchcoreの躍進

Euphoric FrenchcoreはHardcoreシーンだけではなく、Hardstyleのシーンと接点を持ち、少しずつ認知が広がっていきました。若手アーティストがSoundcloudを中心に積極的にリリースを続け、ヒット曲も徐々に生まれるようになってきました。特にDr.Peacockは大躍進を遂げており、2018年にはMoHのメインステージのトリを務め、Hardcoreシーンに欠かせない存在となりました。そして同年の6月Euphoric Frenchcoreが一気に注目される出来事が起きます。それが、Hard Danceシーンにおける最大のフェスティバル「Defqon.1」にDr.Peacockがメインステージで披露した「Peacock in Concert」です。

Peacock in ConcertはPeacockがDJをしながら、その曲がコンサートのメンバーによって生演奏される、ユニークなコンセプトのライブセットです。ピアノは伴奏はSefaが担当しており、Sefaの曲も披露されました。このライブは大きな話題となり、Euphoric Frenchcoreが今まで以上に認知されるようになり、Sefaが大躍進するきっかけになりました。

Sefaの台頭

Sefaはデビューしてからヒット曲を何曲もリリースしており、Peacockほどではないですが、注目されていたアーティストでした。そんな彼が一気に人気になったきっかけは、Hardcore史に残るRe-Styleの名曲「Get It Crackin」のリミックスの大ヒット、先ほどのPeacock in Concertとほぼ同時期にリリースされたアルバム「Leven=Lijden」の大ヒットです。

「Get It Crackin」はRe-Styleが2009年にリリースして以来、Hardcoreのアンセム的な曲となり何度も新しいEditが作られました。面白いことにRe-Style自身も10代の初めの頃からHardcoreを製作しており、若い頃からMoHからバックアップを受けていたというSefaと似たような人生を歩んでいます。そして、2018年にSefaがRemixしたGet It Crackinがリリースされると大きな話題となり、Re-Styleにとっても、Sefaにとっても最大のヒット作の一つとなります。

そして、アルバム「Leven=Lijden」は、自身のソロ曲や師匠であるPeacockの「Muzika」のリミックスをはじめ、Euphoric Frenchcoreを共に掲げたCrypton、Vertexとの合作、Peacock Recordsで活躍していた若手アーティストのHyrule War、Cyclonとの合作が収録されており、正しく一つの集大成のような作品でした。ここでSefaの人気が大爆発します。特にMuzikaのRemixはHard Dance好きの間では知らない人がほとんどいない程の大ヒットを起こし、フェスティバルやクラブでMuzikaが流れる度に大合唱が起きるようになります。

翌年2019年にはFrenchcoreは勿論のこと、Hardcoreアーティストとして初の快挙となる、Defqon,1 AnthemをKELTEK、Phuture Noizeと共に担当、最終日のメインステージのトリを務めました。こうして彼は自身の地位を不動のものとし、Euphoric Frenchcoreがジャンルとして定着する大きな基盤を作り上げたのです。

Euphoric Frenchcoreコミュニティの拡大

PeacockとSefaが大躍進していく中で、彼ら以外にもEuphoric Frenchcoreアーティストが活躍するようになります。Crypton,Mr.IvexはDefqon.1やDominator等Hardcore、Hardstyleのフェスに出演するようになり、Vertexは先ほど紹介したRe-Styleとのコラボを果たし、Sefaに続いて人気を獲得していきます。Euphoric FrenchcoreがHard Danceシーンに浸透していく中、Euphoric Frenchcore専門レーベルが創設されるようになりました。この記事ではその中でも大きなレーベルを紹介していきます。


Peacockは新たなレーベル「Euphoric Frenchcore」を発足。FrenchcoreやHardtekのレーベルを多数抱えるUndergroundteknoが母体のレーベルです。Peacock Recordsのように新規気鋭のFrenchcoreアーティストのリリースが中心で、Cyclon,MELOLIFE,Captain CoreDoris等多くのアーティストが現在もリリースをしています。それ以外にもベテランのFrenchcoreアーティストがリリースすることもあり、長年Frenchcoreシーンに携わっているPeacockらしいレーベルとなっています。

また、Peacockは「Frenchcore Worldwide」と言うレーベルも運営しており、こちらはPeacock自身のリリースが多いです。他には、Peacockが注目しているアーティストSefa、D-FrekやBillx等とのコラボ曲もリリースされています!

続いて紹介するのはMasters of Hardcore傘下のサブレーベル「Rapture Records」です。Re-Styleは多くのEuphoric Frenchcoreアーティストと合作をしていく中で自身のスタイルもEuphoricに寄っていき、2020年コロナの感染拡大により配信イベントとなったDominatorにてEuphoric Frenchcore/Hardcoreレーベル「Rapture Records」の設立を発表しました。RaptureはRe-StyleがA&Rとして運営に携わっており、まだ知名度はないが実力のある若手Euphoric Frenchcoreアーティストからすでに人気を獲得しているHardcoreアーティストまで、幅広いアーティストがハイクオリティな楽曲のリリースをしているのが特徴です。また、Euphoric Hardcoreとありますが、必ずしもFrenchcoreではなく、稀にメロディアスなHardcoreをEuphoric Hardcoreとしてリリースしています。主なアーティストは先ほどから紹介している、Vertex、Cryptonや新人のRayvolt、D'ort、Runeforce等の若手Euphoric FrenchcoreアーティストやDogfight所属のAccess One、イタリアのTraxtormで活躍していたAdvanced Dealer等です。

その他にもSefa,Crypton,Mr.Ivexは自身の曲をリリースするためのレーベルを作り多くの曲をリリースしたり、先ほど紹介したレーベル以外にもEuphoric Frenchcoreレーベルが次々と設立され続けています。また、Q-DanceやMoH等の大手レーベルからも、Euphoric Frenchcoreがリリースされることもあります。


Euphoric Frenchcoreは誕生して間もないジャンルですが着実にジャンルとしての地位を確立しており、コロナが明けた今、既に多くのフェスティバルにEuphoric Frenchcoreアーティストが出演を果たしています。これからさらに世界中で盛り上がっていくでしょう!


少しでも多くの方にEuphoric Frenchcoreの魅力を伝えることが出来ればと思いこの記事を書きました!もし、Euphoric Frenchcoreが好きになってきたという方がいれば、是非彼らの音楽、DJを聴いて欲しいです!SNSのフォローもお願いします!

それでは、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました!!!




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