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電撃的天才たちの知られざる一面 〜偉人: ニコラ・テスラ、アンドレ・マリ・アンペール〜
電気や磁気といった現象は、私たちの日常生活に欠かせないものです。電気を使って様々な機器を動かしたり、磁気を使ってデータを保存したりすることができます。しかし、これらの現象を理解し、応用することができるようになったのは、歴史的に見ても比較的最近のことです。その背景には、電気や磁気に関する研究を行った数多くの科学者たちの努力があります。
今回は、その中でも特に傑出した業績を残した二人の科学者、ニコラ・テスラとアンドレ・マリ・アンペールについて紹介します。彼らはどのような人物だったのでしょうか。また、彼らが発見した法則や発明品はどのようにして生まれたのでしょうか。彼らの知られざる一面を探ってみましょう。
ニコラ・テスラとは
ニコラ・テスラは、19世紀末から20世紀初めにかけて活躍した発明家です。主に電気工学の分野に様々な功績を残しており、交流電力システムやテスラコイルなどの発明品を生み出しました。日本では「名前を聞いたことがない」という方もいるかもしれませんが、実はテスラが生まれていなければ現代の文明はなかったと言えるほどの人類にとっての超重要人物なのです。
ニコラ・テスラは1856年にオーストリア帝国(現在のクロアチア)のスミリャンという村でセルビア人夫婦の次男として生まれました。幼い頃から天才的な才能を発揮し、言語や音楽、哲学など様々な分野に興味を示しました。特に数学や物理学に優れており、14歳でディドロやダランベールの『百科全書』20巻を読破していたと言われています。
しかし、彼の天才性は元々の才能だけではなく、彼が5歳の時に亡くなった兄・デンの影響も大きかったようです。デンはニコラを超えるほどの天才であったと記録されており、そのデンが亡くなったことで両親や周囲からの期待は全て幼いニコラに向けられることになってしまったのです。幼いニコラはそれらの周囲からの期待に応えるために猛勉強を重ねたのですが、その反動で幻覚や強迫性障害などの精神的な苦しみに悩まされることになりました。
ニコラ・テスラの性格は、一言で言ってしまうと「とんでもない変わり者」です。彼は電気工学に関する天才的な発明品を数多く残しましたが、その一方で霊界との交信装置を作ろうとしたり、地球を真っ二つに割る計算式を本気で考察したりするなど、狂人の域に片足を突っ込むような研究も行っていました。また、彼は結婚せずに一生独身を貫き、鳩や雷などに異常な愛着を持っていたとも言われています。
ニコラ・テスラの発明「交流電源装置」は何が凄いの?
ニコラ・テスラの発明品として最も重要なのは、やはり彼が生涯を通じて研究を重ねた「交流電源装置」でしょう。この装置は現在の我々が使っている電力供給システムそのものであり、テスラは「電気というエネルギーを一般大衆の使えるものへと進化させた」と言えます。
テスラの発明以前も、エジソンによる「直流電源装置」によって電気は様々な分野のエネルギーとして活用されていました。しかし、「直流方式」は電圧や電流の方向が一定であるため、送電距離が短く、機械の方を送られる電流に合わせて設計する必要がありました。
一方で、テスラの発明した「交流方式」は、「電圧や電流の流れを変化させられる」という画期的な特長を持っていました。そのため送電距離が長く、機械設計の自由度が高く、電気を文字通り「エネルギー」として十全に使うことができる方式なのです。
つまりテスラの「交流電源装置」は、「電気エネルギーの完全な利用を可能にした装置」と言えるでしょう。この発明によって、世界中に電力網が広がり、工業や交通、通信など様々な分野が発展することになりました。
アンドレ・マリ・アンペールとは
アンドレ・マリ・アンペールは、18世紀後半から19世紀前半にかけて活躍した物理学者・数学者です。電磁気学の創始者の一人であり、アンペールの法則を発見しました。電流のSI単位であるアンペアはアンペールの名にちなんでいます。
アンドレ・マリ・アンペールは1775年にフランス中南部の都市リヨンに生まれました。幼いころから知識欲が強く、数字すら知らないころに小石や干しインゲンとビスケットのかけらを使って複雑かした計算をしていたと言われています。父親から教えられたラテン語やギリシャ語を習得し、12歳で数学の教科書を読み始めました。その後も自学自習で様々な分野の知識を身につけ、18歳で最初の論文を発表しました。
アンドレ・マリ・アンペールは、フランス革命やナポレオン戦争の時代に生きましたが、政治にはほとんど関心を示さず、科学の研究に没頭しました。彼は数学や物理学だけでなく、化学や生物学、哲学や言語学など多岐にわたる分野に貢献しましたが、特に電磁気学の分野では画期的な発見をしました。
アンドレ・マリ・アンペールの発見「アンペールの法則」は何が凄いの?
アンドレ・マリ・アンペールの発見として最も有名なのは、「アンペールの法則」です。この法則は、「電流が流れる導線には磁場が発生する」という現象を数式で表したものです。この法則によって、電気と磁気という二つの異なる現象が密接に関係していることが明らかになりました。
アンペールの法則は、1820年にデンマークの物理学者ハンス・クリスチャン・エルステッドが行った実験に触発されて生まれました。エルステッドは、電流が流れる導線の近くにあるコンパスの針が動くことを発見しました。これは、電流が流れる導線には磁場が発生することを示すものでした。
この実験結果を知ったアンペールは、さらに詳しく調べるために様々な実験を行いました。彼は、電流が流れる導線同士が互いに引き合ったり反発したりすることを発見しました。そして、その力の大きさや方向は、導線の形や位置や電流の強さや向きによって決まることを突き止めました。
そして、彼はその結果を一般化して数式で表すことに成功しました。それが「アンペールの法則」です。この法則は、「電流が流れる導線から一定距離離れた点で感じる磁場の強さは、導線からその点へ向かう単位長さあたりの電流量(電流密度)に比例する」というものです。
つまりアンペールの法則は、「電気と磁気という二つの現象を統一的に理解することができる法則」と言えるでしょう。この法則によって、電気モーターや発電機などの機器が開発されることになりました。
まとめ
今回は、電撃的天才たちの知られざる一面、偉人: ニコラ・テスラ、アンドレ・マリ・アンペールについて紹介しました。彼らは電気や磁気に関する研究を行い、人類の文明に大きな影響を与えた科学者です。しかし、彼らはそれぞれに独特の性格や生き方をしており、その一面を知ることで彼らの人間性や思想にも触れることができます。彼らの発見や発明は、現代の我々にとって当たり前のものになっていますが、その背景には彼らの努力や苦悩があります。彼らの業績を知ることで、電気や磁気という現象に対する理解や興味を深めることができるでしょう。