CSV推進の阻害要因
CSVについて研究していく中で、
“推進の阻害要因”というのがいくつかあることに気がつきました。
理由をつけて推進させなかったり、推進させていたつもりが
知らず知らずに滞ってしまう。そんなことがあるんだと、
ありがちなことをまとめてみます。
①CSV?そんなのうちは創業からずっとCSV企業だよ!
私たちはそもそもCSV企業だからもうすでに進めてます!
といって進めないことがあるそうです。
名和先生はこれを、“なんちゃってCSV”と呼んでます。
※「なんちゃってCSV」など言葉の意味はJ-CSV用語集が便利、
というか面白いですよ。https://www.j-naradewa.com/csv-words/
企業はそもそも“社会の不”の解消によって成り立っているところがあるので
なにがしかの社会課題を解決しています。つまり下の図にあるように、
企業の捉える市場と社会課題の交わる中心の部分=オレンジの部分は、
たしかに社会価値と経済価値を創出している。
だからいいじゃん!だからCSVじゃん!といったことになると。
CSVを推進するからには、自社の強みを生かして、新たな社会課題を
解決することで経済価値を創出し、事業領域を拡大させていくということ。
そうでないとあまりにももったいない。CSVと言葉に表した意味が
なくなってしまうと思います。イノベーションを起こさないといけない。
②CSVは専門の推進部署を作り進める
例えばトップがこれからはCSVだ!となって、さて何から行うか?
と言ったときに、専門の推進部署を作っていくケースがあります。
会社にもよると思いますが、突然振られた当事者のCSVの推進部署は
CSVって何?CSRと何が違うの?から始まって、猛勉強していきます。
それと反比例するように、当事者でない人たちは、
CSVの部署があるから、違う部署の私たちは取り組まなくていい…と
どんどん熱が冷めていく… なんとなくよくありがちなパターン…
CSVは経営戦略なので、本来、全社で取り組むべきことだと思います。
例えばキリンはどの企業よりも早くCSVの部署を作りましたが、
現在では「発展的解消」で全社で取り組むようにしているそうです。
③CSV推進は計画的に!PDCAを回せ!
ある意味子供の頃から刷り込まれていること「計画的に行いなさい」…
そしてかなり前から日本のビジネス界にもやってきて、
今やこれを回さない奴は悪とされている、PDCA…
計画をたて、動いて、結果をチェックして、次のアクションに活かす。
しかしそれがCSVの推進を遅くしてしまう原因と最近よく言われています。①にも書きましたが、CSV=イノベーションでもあるので、
なので、まぁ、イノベーションはなかなか計画的には起こせないと…
つまりそもそもP(PLAN)からつまづいていしまうことになってしまう。
なので、STPD:See , Think , Plan , Doがいいと言われています。
CSV推進のキーとなる原石をまず探して見つけ、ちゃんと考えて、
で、計画に落とすということです。
※CSVフォーラム4期チーム2“J-CSV事業モデルの考察”サマリーより引用
④ストーリー化が苦手
⑤不言実行!陰徳善事!
この2つは密接な関係にあると思います。
▶︎善い行いは自ら言わないという日本人独特な美徳、価値観。
▶︎なので誰も発信していないので、
いいことがあっても、社内であったとしても知らなかったり。
▶︎なのでストーリー化ができない。苦手。
日本企業にはありがちなことだそうです。いいことはうまくアピールして、
企業を取り巻く環境で評判をつくり、その評判が跳ね返って従業員の士気を
高めて企業活動を活性化する。その好循環を生み出すのが、
案外PRだったりするのだと思います。
⑥CSV推進の考察
5つのCSV推進の阻害要因をまとめましたが、
これらを解決する一つの手段として、「他者の目を入れる」ということは
あるんじゃないかなと思います。特に③④⑤。意外に一番理解がなく、
いいことを見つけられないのは、それは社内の人間たちじゃないかと。
あたりまえと思っていたことに、案外原石が転がっていたりします。
僕らはJ-naradewaを運営していて、企業を取材していく中で、
いつも新鮮な発見があります。部外者だから、見つけられることも
あるのではないかと思います。