【競馬】ソダシも悔しかったんじゃないだろうか/桜花賞振り返り
悔しい。レースが終わって6時間ほどが経とうとしているが、まだ悔しい。きっとサトノレイナスも同じ気持ちだろう。
大外枠に超高速馬場と、難しいシチュエーションにも対応してくれたが、わずかに及ばず。昨年の阪神ジュベナイルFでハナ差だけ敗れたソダシへの雪辱は、またもならなかった。
それと同時に、ソダシも悔しかったんじゃないだろうか。ここまで無傷の4連勝と断然の人気に推されてもおかしくない成績を残しながら、前売り段階から単勝オッズはサトノレイナスと横並び。締め切り直前にはとうとう1番人気の座を譲ることになってしまった。
それでも勝利だけは譲らない。
ゴール前の粘り腰は、まるで不当な低評価に対する怒りを爆発させたかのようだった。純白の馬体に秘めた驚異の勝負根性、それがソダシの最大の武器なのだろう。
阪神ジュベナイルFに続いてそれを強く認識させられた。
■ レース前の評価
予想どおりの「2強」ムードではあったが、3番手以降もさほど差がなく追随。前売り時点ではソダシとサトノレイナスが3倍後半を推移していたが、前述の通りレース直前にサトノレイナスが逆転。ソダシは屈辱の2番人気となった。
引っかかり通しでチューリップ賞を勝ったメイケイエールが3番人気で6.4倍、クイーンCを制したアカイトリノムスメが10.5倍で続いた。以下、アールドヴィーヴル・エリザベスタワーと続き、ソングライン・ファインルージュまでが単勝10倍台。9番人気のククナから一気に数字がはね上がり40倍台という構図となった。
■ 馬場とラップタイム・隊列
何といってもこのレースを振り返る上で欠かせないのが馬場。Bコース替わり初日から速い上がりが続出していたが、桜花賞当日も7Rの古馬2勝クラス戦で1:32.2が出るなど尋常でないコンディションであることは明白だった。
そして..
<ラップタイム>
12.1-10.8-11.2-11.1-11.6-11.2-11.2-11.9 = 91.1 (av. 11.4)
1:31.1のとんでもないレコードタイムが叩き出された。1分32秒の壁を超えるどころか、あわや1分30秒台に迫ろうかという速さ。もちろん各馬の頑張りを称えたい一方で、さすがに速すぎるだろうという恐ろしさも感じる。
今年に関しては天皇賞の週まで阪神競馬場の開催が続くことも考慮した馬場セッティングにせざるを得ないのかもしれないが、ここまで極端なコンディションはちょっと..ある程度は慣れてきた気もするが、容易に受け入れられるものでもない。
ちなみにJRA発表のクッション値では「9.9」と標準の範囲内とのこと。ちなみにシャフリヤールが毎日杯を1:43.9で勝った日が「10.2」だったようで。10前後になると超高速馬場、という解釈でいいのかもしれない。馬場を重視する派ながら、今まであまり見ていなかった数値なので今後は参考にしたい。
続いてレースの隊列を見ていく。
ソダシが絶好のスタートを切り、すぐ外のストゥーティがハナを奪う形。注目のメイケイエールは出遅れて馬群に突撃するも、全く制御が利かずソングラインを跳ね飛ばしながら外に出て折り合いを放棄。途中からハナを奪う形になった。
2番手集団にはヨカヨカやジネストラ、アカイトリノムスメあたりが続き、その後ろにファインルージュとシゲルピンクルビーが追走。エリザベスタワーが続くもちょっと制御に苦戦気味、アールドヴィーヴルも中団待機。
サトノレイナスは少し出負け気味のスタートで後方からの競馬。鞍上がやや促しながらの追走で、4角も大外には出せず馬群の中からスパートのタイミングをうかがう形で直線へ。
■ 直線の攻防
早々にバテたメイケイエールに代わってストゥーティが先頭を奪い返すも、その直後にソダシが迫る。さらにその内からはファインルージュ、アカイトリノムスメが追いすがり、外からはアールドヴィーヴルもいい脚。サトノレイナスは残り300mくらいでようやく外に持ち出しスパート開始。
ソダシが先頭に立ったのは残り200m地点。いつもの勝ちパターンに持ち込むと、内から食い下がるファインルージュと外から猛然と追い込むサトノレイナスを完封。2着馬とは「クビ差」だったが、その自ら勝ちに行く内容は着差以上の強さを感じさせるものだった。
■ ついにクラシックまで制したソダシ、「白い奇跡」の物語は続く
勝つ度に快挙達成。昨年の阪神ジュベナイルFで白毛馬初のG1を成し遂げた☆ソダシが、今度はクラシック初制覇を達成。早め先頭から押し切る会心のレース運びで見事に桜花賞のタイトルも手にした。
その風貌からファンも多い馬だが、馬券の売れ方はそこまで圧倒的ではない。勝っても勝っても単勝のオッズは3〜4倍台。それだけいつも何らかの不安要素との戦いが続いていたことを表しているように思うが、レースの度にそれを乗り越えてきた。「思ったよりも強い」の連続。個人的には何となくキタサンブラックを思い出す軌跡である。
それにしても、まさかこんなに強い白毛馬が現れるなんてねえ..「白い奇跡」の物語はまだまだ終わる気配を感じさせない。
■ またも惜敗に終わったサトノレイナス、オークスの舞台こそはリベンジを
必死の追撃を見せた◎サトノレイナスだったが、またもソダシには及ばず2着に終わった。ゴール前の末脚は際立っていたが、内容は完敗。
とはいえオークスでの巻き返しは必至。高速馬場の大外枠の難しさはやはり重くのしかかったし、マイル戦の流れは追走にも手間取った。早くから距離は2000mくらいほしいという見立てだったし、それは今も変わらない。何ら悲観することはない、堂々の銀メダル。
余談ながら、新馬戦が1:37.7でサフラン賞が1:35.2、阪神ジュベナイルFが1:33.1と2秒ずつ時計を詰めていたことに気づき、「これなら桜花賞は1分31秒台やなw」と脳内でボケていたら本当にそうなってしまったという..(ドン引き
■ 福永祐一の「いかにも」な3着ファインルージュ、見事な立ち回りでした
内で勝ち馬の直後を立ち回った△ファインルージュが3着。さすが福永祐一、得意のパターンでした。フェアリーSからの直行ということで甘く見られたところもあっただろうが、半馬身ちょいまで追い詰めたのは実力の証。
ひどい話だが、この馬ディープインパクト産駒だと勘違いしてたんですよね..昨日の記事でもそう書いてる。ダメだこりゃ。反省。
■ メイケイエールはチグハグな競馬でシンガリ負け..陣営は謙虚な気持ちで立て直しを
もし気分良く単騎逃げでもできればおもしろいことになるのでは..と不気味な存在だった▲メイケイエールだが、結果的に弱点を露呈する形に。自滅するだけならまだしも、他馬に迷惑をかけてしまうようでは困る。早々にバテてシンガリ負けも当然の結果。
馬のことをどうこう言うつもりはないが、ちょっと気になってたのが武英智調教師のコメント。まともなレースをさせられない現状にもかかわらず「能力は抜けている」みたいに吹いて回るのはあまり印象がよろしくない。もちろん苦労と工夫を重ねながらの調整だったとは思うが、もう少し謙虚な気持ちで立て直してもらいたい。
■ ひとことメモ
・ 4着 △アカイトリノムスメ
パドックではまだまだ幼さが残るなと思いながら見ていたが、レース内容は堂々たるもの。好位に取り付いて最後まで前に迫る善戦ぶりだった。横山武史もG1で上位人気馬に騎乗するのは初めてだったと思うが、皐月賞に向けてメンタル面でのいい予行演習になったのでは。
・ 5着 ◯アールドヴィーヴル
クイーンCよりさらに減ってはいたが細くは見せず。さすがに外から差すには時計が速すぎたが、G1でも通用するところは見せてくれた。賞金が不十分ゆえオークスの優先出走権を確保できたのは大きい。
・ 6着 △ククナ
最後方からの追い込むもわずかに掲示板には届かず。こちらもオークスの権利がほしかっただけに、明暗の分かれるクビ差となった。
・ 13着 △エリザベスタワー
3角くらいから外に張るなど制御が難しい状態に。絶好調の川田将雅でもどうしようもなかった。
・ 16着 △ソングライン
向こう正面でメイケイエールと接触。勝負どころで早々に手応えが悪くなり失速。
■ 馬券は完敗..と見せかけてw オークスで改めて勝負を
サトノレイナスの勝利だけを願っていたので馬券は完敗..と見せかけてイーブンに持ち込むファインプレー。単勝を補完する形で持っていた3連複と馬連のおかげです。若かりし頃なら単勝1本にドンして完敗を喫していたところ。
回収:4,000円/購入:3,900円
→ 2021年間回収率:192.2%
■ オークスに向けて
オークスこそはサトノレイナスでしょう。じゃないとPOGで勝負にならない(指名者の本音がついにw 一部ではずーっと日本ダービー参戦がウワサされてますけど、牝馬のソダシに連敗しているわけですから高望みはNG。適鞍をしっかりモノにしようぜ。じゃないと(以下同文
ソダシはこのレースの前まではオークスなんてとてもじゃないけど..と思ってたしNHKマイルCの方が向くでしょと考えていたほど。だけどこれだけの走りを見せられると2400mも十分こなしてしまいそうな予感。今度こそリベンジしたいのでぜひ再戦を。
あとはファインルージュ、アカイトリノムスメあたりも十分に上位争いに持ち込めそう。忘れな草賞を勝ったステラリアも距離が延びてよさそうだし、フローラSも要注目。ユーバーレーベンとかこっちから来るでしょう?
ひとつ心配なのは高速決着からの反動ですよね。しっかりケアしてもらえると思いますが、中間の臨戦過程などもチェックしておきたいですね。
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はあ、悔しいな。これだけ書いてもまだ悔しい。ソダシを敵に回してしまった不運は一生の思い出になりそうです。