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不思議な力が溢れ出る、湧水に囲まれた貫井神社。

私の「ハケ」散歩が、単なる楽しみだけでなく、治療の意味を持ち出したのは交通事故がきっかけで先天性の股関節臼蓋形成不全が見つかり、手術。そのリハビリの歩行訓練のためでした。

初めは松葉杖でヨロヨロと家の周りを10メートルから。
毎日少しずつ、数ヶ月するとびっこをひきながらも近所の景色、樹々や花の美しさにも目が行くようになり、不安な気持ちをひと時忘れることができました。

リハビリの甲斐があり、休職半年で杖を突きながらも仕事に復帰することができました。
通勤はなんとかできても、電車の乗り降りだけでも疲れ、痛みと一時的な記憶喪失で仕事もままならず。
職場で心無いことを言うお局さまの意地悪攻撃を受けて心身は辛く、休みの日は鬱々と寝ているばかりでした。

それがある日、とても良いお天気だったからか、ふとまたハケ散歩に出てみようかと思い立ちました。

土日で痛みの少ない日に少しずつ距離を伸ばして、ハケ上の階段を上ったところにある大好きな貫井神社にまたお参りできるようになったときは嬉しかった。

ここは、ハケの中でも特別の場所。
神殿の後ろから湧水が溢れているからか、いつも清らかな気配があります。

本殿のちょうど裏側の崖の下からの湧水は、水路を左右に分かれて、本殿の前の池へと流れています。つまり、真新しい湧水の流れにぐるっと取り囲まれたお社。

斜面の木々がしっかりと根を張ってハケは護られています。

この木の前に立つと、度々自分は役立たずなのだ、と萎え萎えに弱ってしまう心を伸ばしてもらえる気がします。

そこに居るだけで充分役にたっている。あなたはほんとうによく頑張ってきた、今も頑張っている。

木は、立っているだけ。
だけどお社は崖崩れに脅かされず、その崖の地層によって美しい水を濾過しています。

湧水の流れ込む池は澄んでいます。
悠然と泳ぐヌシを見ていると、今度はヌシから

焦らないで。ゆったり、ゆっくり変わっていけばいいのよ。

という声が聞こえるようです。


何年か経ち、術後の経過は順調でしたが、もう片方の脚にも同じ股関節臼蓋形成不全があり無理をすると痛むように。
かといって、動かないと筋肉を鍛えられず。
やはりハケ散歩が、私にとってはちょうど良い負荷で、心と身体に良い効果のトレーニングのようです。

どうしても不安で涙が止まらなかった夏のある日、
お参りしてから神様の湧水にそっと足を浸けさせてもらいました。
(ほんとうはダメなんです。一度だけ、ごめんなさい)
足先から、透明の何かが身体に入ってきたような不思議な感覚が巡り、すーっと落ち着くことができたのです。
なんだったのか、わかりませんが。

ハケの湧水は、どこも年間通して15〜18度ぐらい。
冬は温かく夏は冷たいんです。
湧水が集まったばかりの野川には、真冬には湯気が立つこともあります。

ハケに来られることがあったら、是非清らかな湧水にそっと手を浸けてみてください。

あなたにも、良いことがありますように。

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