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Life is Strange: Double Exposure-一生モノのトラウマの超え方-

■一人用
■Xbox・PS4/5・Steam
■選択式アドベンチャー
■15時間くらい

新作!楽しみにしてた!
超名作「Life is Strange」の正式な続編。2とか派生作品はあるけど明確に前作主人公が主人公に戻ってきたのはこの作品が初(だよね?)

個人的には楽しめたなーと思うのですが、ちょっと捉え方によっては「うーん」な人もいるかもなと思った。
ネタバレ不可避だと思うので三段階で感想を…


ほんとにまったくネタバレなし

(前作のネタバレもない、今作のゲームシステムにのみ言及エリア)

ワンクッション
Life is Strangeは”禅”の時間があるゲームです

いわゆる選択肢を選んでストーリーを進めていくアドベンチャーゲーム。
本作はそれに加えて主人公のマックスには2つの世界を行き来する能力が目覚めており、特定の場所から別の世界へ行って、片方の世界からではアクセスできなかった情報や場所へアクセスして謎を解いていく、という作り

他の世界を行き来するだけではなくて、
今の世界にいながら他の世界の一部をのぞき見することができるので、例えばなかなか口を割らないAさんに仲のいいBさんをけしかけて会話しているのを別の世界から見る…なんて超人的なことも可能


こんな感じでシルエットで見ることができる

ある事件の答えを得るために、マックスはこの能力を生かして情報を集めていくことになる。
じっさいパズルパズルしているわけではなくてきちんとTIPSやキャラクターボイスで誘導してくれるので、ほとんど迷うことはないかな?といった所感
ただたまにバグでボイスの再生が2重になったりインタラクトできなくなることがあるので注意

基本的にはストーリーを楽しむ作品なので、ぜひ腰を落ち着けてじっくり遊んでほしい。


こういうのいいなって
なんかすごいLife is Strangeっぽい


前作既プレイの人向け今作ネタバレなしエリア(外伝作品や周辺作品を遊んでいない人向け)

ちょっと無印の受け取り方や楽しみ方をどう受け取っていたかでだいぶ感想が変わるだろうなと思ったので記載しておきます

数多の選択肢で全く違った展開や取り返しのつかない要素が好きだった人

多分…期待外れに近い感想が出る
楽しめはすると思うけど、前作やデトロイトのような広がりはない
メインのストーリー展開にAさんがいるいない、選択肢があるない、くらいだと思う
わたしが死ぬほど嫌われたキャラがいるんですけど普通に情報引き出せたし、最後まで結構絡んできてた。から、おおむね全部のキャラがストーリーに絡んできて変化はそんなに感じないかも


1周=1人生、どんな選択してもそれがお前の選択肢だ!の人

Steamのレビューで見かけてなるほどなあとなったんですけど、今回の実績は周回前提の物がかなり多くあるように見受けられる
例えばクロエの選択肢をどちらをとったか、両方を選んでクリアするみたいなのとか…そういうところ
気に入らない人は気に入らないと思うし、たしかにLife is Strangeのタイトルってやり終わった後は「これが最善の選択肢だったはずだ」って感情になるから、周回してね!ってゲーム側から言われるのちょっと嫌かも。実績レベルとはいえ。
些末なことなんだけど、私は終わった後に確かにこれは嫌だという人の気持ちが分かるかもしれない…ってなった


マックスとクロエというキャラの関係値が好きだった人

うーん
またあの二人に会える!みたいな感じだと肩透かしだと思う。
そして正直…これは結構求めるのは酷だと思う
だって、選択肢によってはクロエ死んで終わるEDを通ってる人もいるので(私がそうです)
正式に学生時代のマックスの続きならあり得ると思いますが、…うーん、たぶん相当何かがない限りは求めるのは難しいんじゃないかなあとおもいますね…しらんけど……


Life is Strangeのストーリー重視な作りが好きな人

オススメです。というか相変わらず仕上がりが良いです。
今回はサブキャラまでしっかり作りこまれていて感情の揺らぎと動きが非常に丁寧で…本当によかったです。
LGBTQ+に配慮している…のは相変わらずですけど、あんまりノイズに感じない程度なので良いかなと思います。とはいえちゃんとそういう表現をしている人とか気にしている人から見たら薄っぺらいのかもしれないですけど。
まあでも今「性的マイノリティである」というアイデンティティに手を伸ばして実はそうじゃないのにそう思い込んでしまっていている学生が急増しているらしいですから、そう考えるとリアルかもしれない


思春期特有のセカイ系のような空気感が好きだった人

割と楽しめると思う
今作はいわばそのセカイ系を経てきた後の話なので、大人になるってどういうことなのか、学生期のモラトリアム感とどう折り合いをつけるのか、みたいなところもサブテーマであると思うので、結構いいと思います。


ポリコレが気になる人

やらなくていいです


変わってないともいえるし、とても変わったとも思う
兎に角、マックスは今作ですごく魅力が増えた存在になった


周辺作品を遊んでいる人向け

ここでいう周辺作品は「Life is Strange2」「true colors」「before the storm」のことです(そしてTell me whyも)

ホットドッグマンもいるよ

超個人的にですけど
■ストーリーの分岐の変化
 Life is Strange2 > Life is Strange > 今作 > true colors
■ギミック(超能力)の面白さ
 Life is Strange > 今作 > true colors > Life is Strange2
■キャラクターの表現
 true colors > 今作 > tell me why > Life is Strange = Life is Strange2
■選択肢のよさ(プレイヤーが葛藤するかどうか)
 Life is Strange > Life is Strange2 > (tell me why) > 今作 = ture colors

くらいの感じだったかも。個人的な見解ですが。
選択肢一つ一つに正解がない感じは正直ほとんどなくて、一本道感というか「こうしてほしいんだろうなあ」って感じが強い
なので章終わりに○○を選んだxx%みたいなのがあったけどあんまり興味がある選択肢は少なかったように感じる。
その辺はすごいture colorsに近しいものがあるし、キャラクター性の安定や表現の繊細さも似たような感じなので、もしかしたら天秤に同じものを乗せたのかもしれない。

ただ他の作品と比べると超能力を使った試行錯誤はできたとおもうし、いいかんじに使い分けもできていたと思うので楽しかったと思う。
いつものLife is Strangeっぽい味がするのはそうなので久しぶりにエモい弾き語りとメロウな空気を味わいたかったらぜひ買ってほしい

私はちょっと泣いたよ

以下はネタバレありの感想です



親友と、親友の友達
ほんとうにいいキャラクターだった



そういえば、なんかPCのスぺが足りなくなってきてるからなのか、
初期設定ですべての陰の表現が切られてた。
ONにしておくのオススメします
上と同じ場所なんだけど全然違う・・・・・




ネタバレありエリア

Life is Strangeシリーズについて思ってること

上でなんでこんなに色んなパターンを用意してるんだって思ったかもしれないんですけど、私はLife is Strangeシリーズを色々やってきて、本当に心底思っていることがありまして。
それはLife is Strangeのゲーム体験をどう受け取ってきたかで人によって変わるし多分……少なくとも私は同じクオリティの作品は二度と作れないんじゃないかなあ、とは思っている。

まず…
システムの出来の良さ

アドベンチャーゲーム、ひいては選択肢のゲームってまず、「Aを選んだけどBはどうなってたのか気になる」って感情がプレイヤーに起きるとおもうんです。
そことマックスの「時間を巻き戻して他の選択肢を見ることができる」という能力が感情的にシンクロしている。
だからゲームの体験がプレイヤーの感情とものすごいマッチしてとんでもない没入感を持たせてくる点が1つ

2つめは
思春期特有の「明日世界が終わるかもしれない」っていう孤独感や焦燥感、それから未熟さや万能感…そういった感情の揺れ動きと、カリスマ性のあるクロエというバランス。
クロエだけが唯一無二ではないはずなんですけど、クロエだけが世界の中心に収まってしまうセカイ系と同じ文脈で語られる幼さ。
「なんにもできない自分」「能力を手にして何でもできるようになった自分」「カリスマ性のある友人と肩を並べたい」そういう表現がすごいうまい。
最後の究極の選択肢でどちらをえらんでも正解になると思えてしまう心のぶつかり合いは本当にすごくできていたし、あんな感情のぶつかり合い、あれはキャラクターたちが寮にいる学生じゃないと描けないと思う

この二つが成立しているから、無印は圧倒的好評を維持し続けていると私は読んでいて
おそらく同等の評価をたたき出せる続編を出すなら

①選択肢を選ぶ、あるいは探索シーンなどでキャラクターにはプレイヤーの感情を叶える能力を与える必要があり、プレイヤーとキャラクターをシンクロさせる(近いのは…もっと知りたい、べつのパターンを見たい、特殊ルートで助けたい、断罪したい、とかこの人は何を考えているとか?)

②超能力の有無を別として、物語だけで成立する面白さの担保、そこに超能力と主人公の未熟さや謎で強い興味を持たせる。そして…多分これは移動範囲(主人公の行動範囲・世界)は狭い方がいい

特に①をゲームシステムとして落とし込む難しさもあるし、②の文脈に落とし込む難しさもある
2は①が満たせていなかったと思うし(主人公ではなく弟が能力者)true colorsはまたどっちも満たしていなくて、それはそれとして別のアドベンチャーゲームだったと思うんですけども

兎に角…圧倒的に①ができていて、成功している、そして何度も時間を巻き戻して、いい世界を選択していきたいっていう幼稚さ(いわばズル)が本当に綺麗にハマっている
正直選択式アドベンチャーゲームにおいて時間を戻して他の選択肢を試せる、以上のシステムは出ないと思っている。

だから①は色あせない名作なんだけど、おそらくまたこれと同等のものを作るとなるとすごい難しいしかなりの手腕が要求されると思う。
だから…個人的にはLife is Strangeに無印と同等の体験を求めていないんですよね
多分無理
少なくとも、ここまでのLife is Strangeの周辺タイトルを見ていると難しいだろうなあとは思う

私がもし任されたら…頭を抱えると思う

「二人の明日はないかもしれない」という限られた時間を無限に引き延ばせるかもしれないあの淡い希望感は、ほんとうに二度とできないと思う

だから、私はLife is Strangeシリーズには毎回新しい感情やシチュエーションを求めに行っている。
そういう意味でおそらくマックスとクロエのあのセカイ系の儚さや、システムの楽しさ、合致感を求めている人は合う合わないがあるだろうなあという今作の感想です。


すごい長々と書いたから、さすがにネタバレ嫌な人は離脱していると信じて
こればTポーズルーカス 多分ロードにミスってる



今作Life is Strange: Double Exposureの感想

前振りが、ながーーーーくなりましたが
そんな訳でLife is Strangeには「キャラクターたちの感情の揺れ動き」を楽しみに見に行ってる人の感想です

正直かなり歴代でも出来がいい
特にマックスというキャラクターのその後の人生が上手くいってないのが解釈一致&どうやって前を向くのか気になっていたので、そこが解決したのがかなり大きい。

もうごりっごりにネタバレ書きますが


私は本当にこのセリフがマックスから出てきて満足してる

マックス、クロエを救っても見捨てても、逃げるようにアルカディア・ベイを立ち去っている描写があって(事件はともあれ)クロエや自分のことに折り合いがつけられないままなんだろうな、って思ってたんです。
だから、今回まだアルカディア・ベイを引きずってはいるけれど、サフィやモーゼス、ひいてはこの土地に根を張ることに決めてちょっとずつ前を向いている姿の描写がとてもよかった。


マックスとモーゼスも、友人の親友っていう絶妙な空気の表現が凄い上手かった
そしてモーゼスには幸せになってほしい

サフィというキャラクターはかつてのクロエみたいにハキハキと受け答えはするし、明るくて気遣いもできて、ちょっと悪いこともできちゃう、ほんとうに大人になっていい方に進んだクロエってこうなんだろうな…と思わされるような快活さ。高台のベンチで会うのも、死ぬのも同じで、ちゃんと今のマックスにとってのクロエとして描かれてた。
けれど同時に「初めて能力を手に入れたときの未熟なマックス」としても描かれていてすごいなと感心した。
マックスにとってサフィはあの時のクロエでありマックス自身でもあったとおもう。だから能力を駆使して悪いことをするサフィを咎めたり、心配したり…と非常に丁寧に描かれてたと思う。

タートルでルーカスを断罪するシーンも「ちゃんとサフィ自身の言葉で/マックス自身の言葉で/クロエ自身の言葉で前に進むんだよ」って伝えていて、本当にマックス大人になったねえ…と思わされた。
そうだよね、アルカディア・ベイを経験してクロエないし町の人々を見捨てたマックスだったらちゃんと自分の思いを伝える大事さを知っているもんね…


もうさ、言葉にならないよ
結局こういう女と付き合うの向いてないんだよマックス


大人になったなあと後半はずっとしみじみとしてた

マックスを取り巻く人たちはみんな「いい人」であり「嫌なやつ」でもあった、っていうのもかなりいい。
もちろんクズっぽいやつはいたけど…やっぱりこれもここまでのタイトルで出てきたような悪人じゃない。そういう意味でも主題はマックスの成長であり、どうやって強くなるのか、ってことなんだろうなあ


グウェン。性転換した現女性
声帯は男の人だからちょっと最初びっくりした

けど。
この人が語ること、すごくいいなあって思うの。後知恵、私もよくやっちゃうからわかるなあ、って一気に共感してしまった


なんとなくTell me whyを思い出す風景
冬を表現する景色としてめちゃくちゃ好きになった

最後のアベンジャーズみたいな続編匂わせがなければもっと読後感よかったのになあ
ちょっと…もったいないね


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