急性水腫体験記

角膜に急性水腫を患った経験をQ&A形式でまとめました。

私の急性水腫は円錐角膜によると思われるものですが、特に最初は情報不足での戸惑いが大きかったです。

この記事が、同じ病気に直面した他の患者さんにとって少しでも参考になれば幸いです。

なお、記載内容はいずれも個人的な経験・見解に基づくものです。

Q.そもそも急性水腫って?

「円錐角膜研究会」という専門家グループが作成したパンフレットでの説明が分かりやすかったので、以下に転載させていただきます。

進行した円錐角膜で、ある時突然角膜が白く濁り視力が低下します。
円錐角膜が急激に進行する時期に発生しやすいです。
【治療】
まずは経過観察。通常は2~3か月で自然に治ります。治った後も混濁が残って視力が回復しないこともあります。

Q.どうやって発症が発覚したか

ある日、寝る直前に目が濁って、ほとんど見えなくなりました。

その晩は「疲れ目かな」くらいに思ってそのまま寝ましたが、翌朝になっても状況が変わらなかったので近所の眼科に通院したところ、なるべくすぐ大学病院に行くように言われ、そこで発覚しました。

なお、私の場合、急性水腫になるまでは円錐角膜になっていると指摘されたことはありませんでした。
円錐角膜の早期発見には特別な機械が必要だそうですが、円錐角膜に限らず色々な病気について、ビッグデータなども活用しながら、合併症状などから病気の存在を早い段階で探り当てるような取組が広まったりしてくれないかな、と患者ながらに思ったりもします。

Q.どういった症状が出てきたか

最初の数週間は「ほとんど見えない」という以外の自覚症状はありませんでしたが、徐々に頻繁な痛みを感じるようになりました。

痛みを感じるかは個人差があるかもしれませんが、海外の円錐角膜患者支援コミュニティが発信している情報によれば、角膜の神経終末の濃度は皮膚の200~300倍もあるそうです。

また、太陽光などの眩しさも感じるようになりました。

Q.痛みはコントロールできたか

一番痛みが酷かったときは、寝ている最中に痛くて目が覚め、まばたきするだけで痛くて1~2時間眠れずといったことや、通勤中に痛みでしばらく身動きが取れなくなるといった経験が続き、かなりの疲れや不安に苛まされました。

そして、通院との関係では、痛みが酷い時は予約日以外にも通院したり、普段の通院先まで行けないくらい辛い時は最寄りの眼科に駆け込んだ経験もあります。

この状況に対して、お医者さんのほうでは医療用ソフトコンタクト、軟膏、点眼薬、飲み薬といった色々な痛み対策を試してくださりました。特に、医療用ソフトコンタクトをしている時は全然痛みが違います。

また、お医者さんによるケアと並行し、自分なりに痛みや不快感が発生するタイミングを記録・分析することで、「朝に多いな」とか「乾燥していた場所で多いな」といった傾向が少しずつ見つかってきました。そして、こうした傾向を踏まえた目薬や湿度の工夫も、痛みや異物感の改善につながっている気がします。

ただし、こうした対応で痛みや異物感が完全に消えたわけではありませんし、そもそも「改善した」というのが私の気のせいである可能性も否定はできません。

それでも、お医者さんによるケアと自分なりの対策を組み合わせたことで、痛みや異物感がいつ襲ってくるか分からないという恐怖に包まれていた時よりも前向きに過ごせるようになりました。

痛みや異物感の記録は、Google calendar とIFTTTというプログラムを連動させることで、痛いときにスマホ画面上のボタンを押すとカレンダーにその時間が記録されるようにしました。

Q.失明の可能性の有無をどう認識しているか

発症当初、お医者さんからは、急性水腫は基本的に失明につながるものではないといった説明を受けた覚えがあります。

ただ、私は症状が悪化した結果として、ふとした衝撃で角膜に穴が開いても不思議ではない状況になったとお医者さんから警告された時期がありました。そして、この穴が開く症状(「角膜穿孔」)は、適切な処置をしないと失明につながるリスクもあるとも聞きます。

Q.どうやって情報収集したか

私が参考にした情報源をいくつか挙げさせていただきます。

こうした資料や、他の患者さんの経験談から、この病気との付き合い方について少しずつ勘所がつかめてきました。

(1)円錐角膜研究会ウェブサイト

(2)書籍「それって円錐角膜かもしれません」

(3)医学書
患者が専門書を読むことには賛否両論があると思いますので、色々な立場の方が目にされる可能性があるこの記事では敢えて書籍名も書きません。

ただ、私の場合、症状がかなり深刻化して気持ちも混乱していた時に専門書に接したことで、自分の症状への客観的な理解や、治療方針に対する安心感の向上につながりました。

なお、私は、ググって目星を付けた専門書数冊を、「カーリル」という図書館の蔵書検索サービスで検索した結果、それらの本が部外者でも利用可能な国公立大学の医学部図書館に置いてあることが分かり、そこで読みました。

図書館や本によっては、図書館間での貸し出しサービスを通じて、近所の図書館などで借りることもできるのかもしれません。

Q.用意したグッズなど

(1)ミニ加湿器
机にも置けるミニサイズ加湿器は、持ち運びも簡単で重宝しています。

(2)偏光サングラス
眩しさ対策です。二千円しないサングラスですが、今では外出時の定番アイテムです。

(3)ヘルプマーク
視野が狭い状態で人込みの中を歩く時や、公共交通機関を利用中に酷い痛みで立っていられなくなった場合などへの備えとして、地元の市区町村の役所で入手しました。

最後に

私の拙い記事をここまで読んでくださり、有難うございました。

ここに書いたのは私の試行錯誤の一端に過ぎませんし、症状も患者さんごとに千差万別かと思います。

ですが、この記事によって、他に急性水腫を発症したどなたかの急性水腫とのお付き合いが少しでも楽になれば、私にとって望外の喜びです。