
旅 滋賀編
こどもの居場所づくりを目指し、
ヒント探しに日本を旅している
SoraSiroのむぎのです。
1箇所目に大阪の西成に行き、
今回は2箇所目に行った滋賀での1週間をまとめました。
トラブルからのスタート
西成での生活後、大阪観光と京都観光の数日を挟み、滋賀へ。
米原にある、こどもたちの遊び場「わっか」を目指して出発した。
電車に乗ろうと思ったところ、事故で止まったり遅れたりしている。
予定も色々変更しながら、動いてる電車に乗り込み向かうが、ついに途中駅でストップ。
運転再開見込もどんどん遅れていく。
わっかの開館時間には早すぎると思って時間を潰しながら向かったのだが、
気付けば閉館時間に間に合うかどうか。
結局間に合わず、わっかに行くのは翌日へ変更に、、
目的地に辿り着けないという、まさかのスタートとなった。笑
わっか
滋賀県の米原駅から5分くらいのところにある、こどもたちの居場所「わっか」。
学童事業もしているそうだが、今回私が行ったのは古民家の開放。
平日の14:00~17:00頃空いていて、週によってやっている曜日は違ってくる。
日曜日に開ける日もあるようで、金.日は20:00までで夕飯付き。
こどもたちから参加費やご飯代は貰っていない。
こども達が気軽に自由に来れる場所だった。
購入できる駄菓子が何種類か置いてあるので、駄菓子屋さんとして利用してる子もいた。
今回はこの古民家で一週間泊めてもらい、わっかの活動日は活動に参加させてもらった。
居場所と児童館
わっかの古民家開放をやっているフリカドさんのスタンスは新鮮で面白かった。
「こどもの居場所づくり」となると、大抵は大人と子どもが一緒に遊ぶ場所というイメージが強い。
そうでなければいけないというルールは無いし、子ども同士で会うのも楽しみだとは思うが、
多くの子が大人と遊ぶのも楽しみに来てる気がする。
西成のこどもの里とかもそうだった。
だけど、わっかの役割は少し違って、
こどもたちは、友達と遊ぶ公園の1つみたいな、遊ぶための「場所」として使っていた。
一番近いものでいうと、児童館。
放課後ふらっと来て、ゲームをして、「〇〇に移動しようぜー!」と自由に帰っていく。
「またねー!」とか「帰るねー!」とかすら言わない子も多い。
それが有りな場所だった。
小学生、中学生が来ていたが、特に中学生の場合は、そういう場所の方が使いやすいのかもしれない。
大人に干渉されず、友達と自由に過ごせて、そして無料で使える。
構って欲しい時だけ大人に構ってもらう。
学校の数が少ないことも関係しているかもしれない。
わっかに来る子は大体同じ学校で、夕方まで学校で共にすごしていた仲間と、放課後またわっかで集合する。
「わっかでしか会えない友達」がいれば、わっかで過ごすことにこだわるかもしれないが、
いつでも会える友達だから、遊ぶのはわっかで無くてもいい。
ゲームしたいからわっかにいく。
鬼ごっこしたいから市役所や公園に行く。
そんなふうな、''選択肢のひとつ''なのかなと思う。
フリカドさんも積極的に子どもと関わるよりは、
自分が子どもと遊びたいと思った時にあそんだり、
子どもに誘われた時はスっと入っていったり、
そうじゃない時はまったりくつろいで過ごしたり、
子どもだけじゃなく、自分も心地良いと思えるように、こども達に場所を提供していた。
福祉分野になると、''誰かのために''が強くなり、自分の心地良さよりも、相手がどうかを重視しがちになる気がする。
だからこそ、しんどくなったりもしやすい分野だ。
フリカドさんのスタンスは福祉らしすぎなくていいなと思った。
これから活動していく中で、''相手も自分も心地良い''の形を考えていきたい。
こどもとごはん
わっかでは、夕飯は凝ったものは作らない。
簡単に出来て、子どもたちが喜ぶものを作る。
最近ではラーメンが多いみたいだ。笑
そしてやっぱり、こどもたちは美味しそうに嬉しそうに食べる。
こども達にご飯を出す意味は、栄養も大事かもしれないけど、あの笑顔を見るためなんじゃないかと思った。
ラーメンの力、恐るべし。
料理するのが好きだし、今後活動する時はごはんも中心に置きたいからこそ、
食事=栄養の摂取
にはならないように、
どんな風にしていこうか、この旅で見つけていきたい。
素敵な人たちとのつながり
フリカドさんは滋賀の色々な人たちと繋がっている。
今回一週間ほど滞在したのと、わっかが14:00からなので、せっかくならと色々紹介してくれて遊びに行ってきた。
宿づくりのため古民家のDIYをしてるflowの渡辺夫婦。
あじっこパークを開いてるさーちゃん。
ひとつぶてんとう園を開いてるしずえさん。
本当に素敵な出会いだった。
古民家 柏原
滋賀米原の柏原駅で山源 UDという宿をやってるflowの渡辺夫婦。
ユニバーサルデザインの宿をつくるため、家族でDIYをしながら古民家をリノベーションしている。
それだけじゃなく、海外から日本に来たい人達とマッチングし、寝泊まりする場を提供する代わりにDIYに参加してもらうという面白い活動をしている。
ユウさんもヒデオさんものんびりしていて、あったかくて、優しい方たち。
この地域の子ども達はどんな風に遊んでいるか聞いてみた。
近くには田んぼや、ひょいと登れる小さな山や、路地が沢山ある。
冒険行ってくる。とそんなところに出かけていくこともあるそう。
近所の友達の家に遊びにいって、飽きたら自分家で友達と遊んで、また移動して、、そんなことも気軽にできる。
お子さんたちが携帯とかゲームとかの年齢じゃないせいもあると言っていたが、それが無くても遊び尽くせる環境に溢れるまちだった。
まちの子どもの数は少なく、小学校も学年1クラスで、1クラスあたり10人前後。
その分先生たちのサポートは手厚い。
こどもたちも友達とずっと一緒なので楽しそうだと、ユウさんが教えてくれた。
古民家の空き家が多いのも柏原の特徴として挙がっていた。
空き家登録をしていない人もいるので、なかなか活用されていかない、と。
スーパーやコンビニがすぐ近くにある訳では無いので、住みにくさもあるが、
駅から近く、高速道路にもすぐ出れる、移動には意外と便利なまち。
自然環境に恵まれ、のんびりと、''暮らす''ことに向き合い楽しめそうなまちだと思った。
空き家の活用。なにか出来ないか。そんなことを考えさせられた。
あじっこ
柏原駅から車で5分の大野木という地域で、冒険遊び場 あじっこパークを開いてるさーちゃん。
こども達が自由に遊べるプレイパークとして、月に4回、週末に開催している。
解放時間は10:00~17:00。
お昼を挟むので、毎回、持ち寄った材料を使って母達やさーちゃんが味噌汁を用意してくれる。
そして、1ヶ月の開催日の内1回は、近所のおばちゃん達がお昼を作りに来てくれる。
1日中遊び尽くして欲しいという思いから、その形にしたそう。
お昼を挟むと、家に一度帰るか、お昼を持参しなくてはいけない。
一度帰ると遊びが中断されるだけじゃなくて、帰ったらもう一度行くのは億劫になったりもする。
かといって持参するのは親たちの負担がかかる。
お味噌汁だけあれば、朝ごはんの残りとか、余ってるごはんをぱっと握ってくれば昼食になる。
味噌汁や昼食づくりの意味はそこへの配慮だった。
あじっこは広すぎず、狭すぎず、居心地が良かった。
こどもが少ない大野木地域には、余計あの広さがぴったりなのだろう。
6月に行ったのでちっちゃいカエルがたくさんいて、生き物ともたくさん遊べた。
焚き火コーナーがあったり、屋根付きの工作コーナーがあったり、マルタの小屋や、室内の遊びができる倉庫の部屋など、
晴れでも雨でも、外が好きでも、室内が好きでも、体を動かすのが好きでも、ゆっくりするのが好きでも、色々な子が過ごしやすい環境だった。
それが適度に小さくまとまってる感じがすごく居心地良い。
神奈川の川崎にゆめパークというプレイパークがあり、とても人気なようだが、
わたし的にはゆめパークに行くのは結構ハードルが高い。
ゆめパークは、そこを映した「ゆめパの時間」という映画を見て知った。
旅の最初に行った、西成のこどもの里を映した「さとにきたらええやん」と同じ監督が作った作品だ。
ゆめパークは規模が大きくて、ほんとに様々な子が沢山来ているようだった。
だからこそ、私は行く勇気が出ないでいる。
大勢が得意では無いので、あじっこのような、こじんまりとしてあったかい場所の方が好きだ。
あじっこは2日間行かせてもらったが、その短い時間で大好きになってしまった。
こんなに好きになったのは、さーちゃんの人柄が影響していると思う。
すごく優しくて、あったかくて、マイペースで、細かいところを丁寧に見ていて、それでいておっちょこちょいな所とかもあって、
緊張せず居られて、心地のいい人だなと思った。
こどもたちに向ける目も優しくあたたかく、寄り添ってくれる。
息子さんも一緒に来ていて、息子さんの友達とかもたくさん来るが、
こどもたちにとっては、友達のお母さんという認識でもあり、そしてあじっこのお姉さんみたいな、母とはちょっと違う認識もあるんじゃないだろうか。
そんな、母とは違った、仲間とか友達とか、そんな近い目線で関わってくれるのがさーちゃんだ。
あじっ子に来てる子の1人が、クラスの人数が少ないデメリットも教えてくれた。
一学年一クラスで10~15人で、男女は半数ずつくらい。
子どもたちは、その人数の中で友達と関係を作らなければいけない。
気が合う子が見つかればいいが、少人数ということは気が合う子がいない可能性も高くなる。
関係の崩れも大勢のクラスより影響が大きい。
繊細に人の気持ちを見るような子だと余計に、そういった少人数の中で上手く関係を作って、それを6年間続けていくことは結構負担がかかるようだった。
一方で、さーちゃんの息子さんが担任の先生をあじっこに呼んで、先生が遊びに来てくれていた。
息子さんはものすごく嬉しそうで、他の人には大人っぽい姿もあったのだが、先生の前では甘えっぱなしだった。
先生もあまり気にせずに、抱っこやおんぶまでして、甘えたいだけ甘えさせてくれていた。
大勢の学校だと、先生と生徒ではなかなかそういう距離感にはなりづらい。
先生と、友達のような距離で関わって過ごせることも、少人数ならではの良さの一つな気がする。
少人数の良さと難しさと、両方あるようだ。
こどもたちと関わることをしようとする時に、その地域の学校の特性も理解する必要があるように感じた。
温泉みたいなあったかい人
近江八幡駅の近くを拠点に、0歳から通えるフリースクール「ひとつぶてんとう園」を開いてるしずえさん。
産前から、こどもが中高生になるまで、切れ目ない支援を。
だからこそ、未就学の子から今は小学生まで、様々な歳の子たちが、一緒に過ごしている。
活動自体も素敵なのだが、
それよりも、しずえさんという''人''に惚れてしまった。
なんというか、ほんとにあったかくて、心で動いている人なのだ。
イメージとしては、目の前にいる人(大人も子どもも全ての)を、あったかい腕で全て包み込んで抱きしめてくれるような、そんな人だ。
強くて、笑顔が素敵で、あったかくて、でも弱さもちゃんとある。
だからこそ、こどもたちにも、そのかーちゃん、とーちゃんたちにも、慕われているのだと思う。
正直、行く前はものすごく緊張していた。
フリカドさんが繋げてくれ、電話で見学日の相談をしたり、HPやSNSを見てる中で、
なんとなく、強さを持ってる人だなと言う印象があったので、
どんな人だろう、急に行ってほんとに迷惑じゃないかな、
とか色々とぐるぐる考えながら心臓をバクバクさせながら向かった。
駅まで車で迎えに来てくれて、活動場所に行くまでも緊張。
活動が始まったあとはこどもたちと過ごしていて、しずえさんと話す時間はなく、
お昼すぎに拠点に使ってる家で話そうということになった。
そこに向かう道中も緊張してたのだが、お互いに、やりたいこととか、きっかけとか、今までの生き方とか、福祉への疑問とか、
ちょっとずつ色々なことを歩きながら話している中で、似ている部分がちょっとずつ見えてきて、
気付いたら意気投合して、
家に着いたあともお互いに夢中になって語り合った。
「例えばりんごジュースとオレンジジュースがあって、選んでいいよって言われても、自分が飲みたいのじゃなくて、相手の人は本当はどっちが飲みたいかな?自分がどっち選ぶのを望んでいるのかな?っていうのを勝手になんだけど考えて、そういう選び方をしてた。」
そう、しずえさんが話してくれた。
それを聞いてびっくりした。
私も同じことを考えていた。
だから、何食べたい?とか、どっちがいい?って聞かれるのはすごい苦手で、
でも相手の望んでることなんて全てわかる訳でもないから、正解が分からなくて、もうなんか逆にイライラしてきちゃうくらい。
だから、同じ考えの人がいることにほっとした。
前にも、ものすごく少数派だろうと思う考えに対して、同じことを言ってる人と出会って驚いたことがあった。
旅をして改めて、色々な人と会ってみることは、ちょっと緊張もするけど、びっくりする出会いも待っている、凄いことなのだと実感している。
最後の方には、「産まれてきてくれてありがとう」と言ってくれた。
目の前の人に、そう伝えられる人って、この世の中にどれくらいいるのだろうか。
しずえさん自身しんどい時期があったからこそ出てくるその言葉は、あったかくて、本当にあったかくて、染み渡った。
こどもたちに、それを伝えていきたいのだと、しずえさんと出会ったことで気付けた。
こどもだけじゃなくて、大人も、それぞれみんなきついし、しんどいし、苦しい。
産まれてきてくれてありがとう。
生きていてくれてありがとう。
あなたはここにいていいのだと。
そのままでいいのだと。
それは、一時保護所で夜勤をしていた時にこどもたちに伝えたかったことでもある。
本当にみんな、しんどい環境で生きてきている。
死にたいと思ったことも、数え切れないだろうと思うほど。
だから、まず、産まれてきてくれて、生きていてくれてありがとうと、
大人たちがそれを伝えていける場所になったら、
一時保護所も児童養護施設も、こどもたちの安心安全な居場所に変われるんじゃないだろうか。
滋賀ではたくさんの人に出会えた。
これからやりたいことも、イメージが少しだけ具体的になった気がする。
環境的にも、まったりゆっくりしていて、結構好きなまちだった。行ってよかった。
最後に。滋賀で見学を受け入れてくれた皆さん、ありがとうございました。
こどもの居場所づくりを目指して、日本各地を旅中。Instagramのフォローお願いします
SoraSiro
立ち上げ人 むぎの