見出し画像

【ミラノーマル改】車を楽しみたいなら、お金をかけてはいけない。

CVTのノーマルミラをエンジョイしています。
野生の車屋ナカノです。
突然ですが、あなたは毎月金欠に苦しんでいませんか?

「あれを変えたい、これも欲しい…
むしろ車を乗り換えたい…
でもそれより、今月の支払いが…」

車好きは、いつも金欠に苦しんでいるイメージです(笑)
周りの仲間の車やパーツへの羨ましさ、欲しいものを買うために出費を削る我慢のストレス、減っていく財布の中身を見るたびに感じる絶望感…
本当に辛いですよね。
かくいう僕もそうでした。

金銭的不安は、すべてのストレスの中で最強なんですよ。
「喘息の原因が、金銭的不安による心身症だった」
という実例もあるほどです。
あなたが今抱えている不調も、心身症かもしれないですね。

IQは最大で30ポイントも下がるそうです。
あなたがIQ100(平均値)だとしても、”境界知能”レベルまで知能が下がってしまうのです。
(ハーバード大学)

あなたは、これほどのストレスを抱えながら、心から「車遊びは楽しい」と言えますか?
僕は当時、言えませんでした。
しかし今では、金銭的不安に削られることなく車を楽しんでいます。
理由は単純、お金を使わずに楽しめるようになったからです。
車を買ったばかりのように、ただの買い物が楽しくて仕方ありません。

あなたは幼い頃、財布も持たずに遊びに出かけましたね。
初めて車を手にした時もそうです。
あなたは、ただ車を走らせるだけで楽しかった。
わけもわからず楽しくて、「もう寝る時間かぁ…」なんてこぼしていました。

あなたが「運転が上達する体験」をしていたからです。
乗り始めの頃は成長が速いですよね。
だから他に何もなくても楽しかったんです。

…なぜ今は、それが出来なくなったのか。
「他人との比較」です。

  • 周りと同じようなグレードの車に乗りたい欲求

  • 良いパーツを着ければ幸せになれるという勘違い

  • ライバルについていくにはパーツが必要という勘違い

  • 安い車に乗ることは恥だという思い込み

これこそが、今あなたを苦しめている原因。
だから純粋に車を楽しめない。
もちろん好きなパーツを手に入れるのは嬉しいものですが、それだけでは「お金を得ては失い、得ては失うストレス」からは永遠に逃れられません。

ヘッドライトもハロゲンで充分だ!

車遊びの楽しさは「運転の成長」にあります。
楽しい瞬間は、いつだって成長している時。
『自己成長こそが、最強のエンタメ』。

『運転に没頭する体験』
という車本来の楽しみを思い出せば、あなたは幼き頃のようにお金をかけずに夢中になることができます。
周りがどんな車に乗っていようと、気にもならなくなります。

  • 300万円の車に乗って苦しんでいる人

  • 30万円の車で楽しく遊べる人

どっちが格好良いと思いますか?
考えるまでもないですね。
ちなみに大谷翔平の服はダサいですが、本人は格好いいです。
(アパレルメーカーのスポンサーがつく前の話)

その些細なお手伝いとして、
「L275S改スーパーノーマル」を作っていきます。
ローコストかつ、一生乗りたいほど奥深い「コントローラブルマシン」を目指します。
もちろん、真似してもらっても構わないですよ。

野生の車屋ナカノ
整備工場、板金屋、中古車店、レースメカニックなど15年の業界歴。
自分の店を持っていたこともあり(私は居ませんが現存)
得意分野はサスペンションセットアップと地球が終わるまで乗れる錆止め。
頭が悪いため電装系は苦手。(できなくはない)

ナカノ

L275Sミラノーマル改・スーパーノーマルのコンセプト

屋根の形かっこいいよなミラって

ようやく本編です(笑)
スーパーノーマルのコンセプトは、
”運転に没頭できるリニアなドライビング”です。

あなたは一周回った車好きおじさんが、
「ノーマル脚でも腕があれば走れンだよ。」
と言ってるのを聞いたことはありませんか?
あれはまさにその通り。
よく動く純正脚は、運転操作の上手い下手が如実に出ます。

それはつまり、純正脚だからこそ学べる運転スキルがたくさんあるということでもあります。
よく動くから、成功も失敗もわかりやすい。
しかもお金がかからない。
運転に没頭する”フロー状態”に入るには最高です。

『フロー状態』
今取り組んでいるものに高い集中力を発揮している状態のこと。
スポーツ漫画などで見られる集中状態”ゾーン”のようなもの。
フロー状態には充実感、自己効力感、人生の満足度が上がる効果がある。
人生を通してフロー状態の時間が長いほど幸せである。
また、大きな成果を出している人間はフロー状態に入るのが得意という統計もある。

ノーマルでは足りず、車高調では硬すぎる。だからスーパーノーマル。

「じゃあノーマルで練習しようかな!」
と思った方、応援しますよ。
しかし、ちょっと待ってください。
残念ながら、全ての車に「よく動く純正脚」が搭載されているわけではないのです…

簡単に言うと、純正脚は「メーカーの設計マージンによって、素の良さがスポイルされている」のです。
どんな人が運転するかわからないですからね。
コンビニの縁石に突っ込んでも壊れないようにするし、
事故率が下がるようにド・アンダーに設定します。
ほとんどの車種は、僕らが求める「リニアな動き」をしないのです。

じゃあどうするか。
簡単です。(作るのは簡単ではありませんがw)
純正脚をベースに、スポイル前の”プロトタイプ”に戻せばいい。
そうすれば、アンダーでもオーバーでもない「ニュートラル」な車をローコストで作れる。

バンプラバーセッティングを駆使して、コストは5000円以下を目指す。

もう一つのコンセプトは”ローコスト”。
冒頭に書いた通り、金銭的不安は最強のストレスです。
あなたの視界をクリアにするのが第一ミッション。

それを実現するにも、純正脚は使いやすいんですよ。
なぜなら、メインスプリングはバンプラバーだから。

バンプラバーの硬度や厚さを選ぶことで、かなり幅広いセッティングが可能なのです。
AliExpressで発注すれば数千円程度。(!)
コイルスプリングのような直線的なレート特性にはなりませんが、ラリーカーのようなコントローラブルな脚を作るには、バンプラバーは必需品です。

ラリーカーもバンプラバーセッティングを凝っていますね。
(ツインスプリングも併用?)
特にグラベル仕様はわかりやすいです。
スプリング領域は自由に姿勢を作れるように、以降はバンプラバーで支えるようなセッティングがされています。

スーパーノーマルはこんな感じで設計してみます。
サーキット仕様のようにトップタイムは出ないけど、万能でコントロールを楽しめるラリー路線。
タイムは結果であり、あなたの腕次第。
これぞ”運転に没頭できるリニアなドライビング”です。

というわけでミラ買いました。まずは素ノーマルを知る。

ただのミラ。

さて、まずはベース車両がなければいけません。
というわけで買いました、ノーマルのL275Sミラです。
まずは素ノーマルの脚を体感しないことには、方向性が見えません。
しかしその前に、やることがあります。

モンキーレンチは常備してます。

アライメント調整です(笑)
アライメントが僅かでも狂っていると、その車の良し悪しが見えてきませんからね。
アライメントテスターでは、ブッシュのよれ・ボールジョイントのへたり・ボディ剛性の配分などを測ることはできません。
だから最終的な調律は、実走テストで行う。
これはセッティング屋さんの常識だったりします。

話は逸れましたが、マーカー線2本分くらいトーインに向けていい具合に。
そこで感じたことはこんな感じ。

  • バンプタッチするまでの特性は悪くない

  • フロントのバンプタッチが早く、姿勢が作りにくい

  • ロールセンターがやや前上がり

  • バンプラバーが硬く、タッチ後にタイヤ面圧が安定しない

  • リアがプリロード不足で落ち着かない

  • バンプ・トーインが少し過剰でアンダー

  • リアバンプラバーの硬さはそれほど気にならない

何を言ってるかわからないと思うのでざっくりと。
「攻めると急に切れ込むし、全体的にアンダーできもちくない」
この理解でOKです(笑)

セッティングする側になると、もっと深く知る必要があります。
アンダーにも色々ありますからね。
原因を特定できればその対処ができる。
そのサスペンションセッティングは繰り返しです。

セッティング前に、すこし錆止めの話を挟みます。

…その前に下回り洗車を(笑)
このミラは埼玉から買いましたが、僕は新潟在住。
冬場は帰り道に融雪剤を浴びてしまいます。

融雪剤はサビの原因、サビは車の大敵です。
部品交換は安く済ませられたりしますが、フレームのサビ穴などは高額修理になります。
錆びてからではなく、錆びる前に対処するのが大事。

下周り全体にサビ止めも施工。
ほとんど効かないシャーシブラックではなく、半乾性のワックスタイプを使います。
フレームの内部、パネルの継ぎ目などを特に重点的に。
これで寿命が十年単位で変わります。
(油でベトベトの鉄は錆びませんよね)
目指すのはローコストなので「壊れずに長く乗れる」のも大事。

しかし程度のいい個体ですね。
サビが非常に少なく、各部しっかりメンテナンスされているようです。

↓サビるとこうなりますよーという記事です。↓

セッティング編。純正サスペンションの問題点を理解する。

いよいよセッティングです。
素ノーマルのネガの原因を探っていきます。
セッティングとは、マイナスをひとつずつ潰してゼロにする作業です。
これから、一つ上の章で感じた問題点を潰していきます。

(雨の中)サクッとショックを外し、スプリングコンプレッサーを使いながら分解していきます。

純正フロントサスペンションの問題点を探る。

シンプルです。

部品構成はこんな感じ。
ウレタンバンプラバーが採用されている車種もありますが、L275Sはカチカチのゴムでした。
ダストブーツと一体化することで、製造ラインのコストダウンをしているんでしょうね。

「唐突に切れ込む挙動」はこれが原因で間違いないでしょう。
ゴツーン!!って感じです(雑)
とりあえず、手持ちのウレタンバンプラバーに変更。
感触を確かめてから、ベストなバンプラバーを探ります。

亀田製菓

「ロールセンターが前上がり」
「リアがプリロード不足で落ち着かない」
これを解消するために、逆にフロントのプリロードを抜いてみます。
フロント車高下げ&プリロード抜き。

やり方は簡単で、ゴム製のスプリングシートを抜くだけです。
さらに抜きたい場合は、アッパーマウント下にワッシャーを挟む方法があります。

最高じゃないか…

ちなみに、有効ストロークは191mmもありました。
これほどのロングストロークは純正ならではですね。

車高調は、わかりやすい魅力として『車高が下がること』を重要視して作られます。
ゆえに、充分なストロークがないものが多いんです。(90mm前後が多い)
そのほうが車高が下がるからです。

…正直、全然ストロークが足りないんですよ。
『買い物からサーキットまで』のようなオールラウンドを目指すなら、ストラット形式の場合120mm以上はあって欲しいものです。
(届かぬ想い)

「ストロークが191mmもあるショックを使える…!!」
ヨダレが出そうです 楽しみになってきました。

年季の入ったスプリングコンプレッサー

組みあがったのがこちら。
外車のショックと見間違えそうですが、ミラ用です(笑)
続いてリアに取り掛かります。

純正リアサスペンションの問題点を探る。

ホ〇ダと違ってここから雨漏りしないから優秀。

写真を撮り忘れましたが、リアもかなりのロングストローク。
前型のL250Sと比べるとショック取付位置が変更され、ショックの長さが取れるようになっています。
しっかり進化してますね!

アッパーマウントにワッシャーを挟めば、プリロードを緩める方向に調整が可能。
フロントも同様のことができます。

バンプラバーはフロントと同じく、カチカチのゴムです。
リアのバンプタッチはそれほど気にならないとはいえ、一旦適当なウレタンバンプラバーの切れ端をインストール。
(一旦ね)

フロントがよくストロークするようになると、釣られてリアもストロークしますからね。
「バンプ・トーイン」が急激に止まると危険な挙動になります。

深夜の新潟(山奥)は氷点下

後に備えてスプリング周りの寸法も計測。
スプリングシートを抜いたり追加したりすれば、車高やプリロードの調整ができます。

スーパーノーマルは毎回分解しなきゃいけない車高調です。

…そろそろ、気づいた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
スーパーノーマルは「毎回バラさなきゃいけない車高調」だということに(笑)

  • 車高調整

  • プリロード調整

  • バンプラバー選定

  • バンプラバー調整

すべて車高調セッティングで行う作業ですよね。
そうです、スーパーノーマルはセッティング済・車高調。

『スプリング選定』『減衰調整』は今回しませんでしたが、既にメーカーが”設計”済だからです。
記事を書いている時にはこのミラは完成していますが、素晴らしいスプリングですよ。
だって、車種専用部品だもの。
メーカーがL275S用にウン百万かけて作ったサスキット。良いのは当たり前です。

…とはいえ純正脚は、大人の事情でデチューンされています。
それをデチューン前に戻す作業。
これがスーパーノーマルです。

…1kg刻みしかない直巻スプリングで一体感を出すのは「運ゲー」で「奇跡」に近いレベルなんですよ。
(特に軽自動車は1kgで大きく変化しますからね)

ナカノ

【ミラノーマル改】車を楽しみたいなら、お金をかけてはいけない。まとめ

約5500文字の長文を読んでくださり、ありがとうございました。

「え?ここで終わり?」
すみません、詰め込み過ぎたのでここまでで区切り、次回は物理的な解説メインで書いていこうと思います。
おさらいがてら、今回は箇条書きにまとめます。
次回をお楽しみに。

  • 車好きは金欠に悩まされがちである。

  • 金銭不安は最強のストレスで、IQを30も下げるほど。

  • 車遊びの本質は「運転の上達」に尽きる。

  • 300万円の車で苦しそうな人はダサい。

  • 30万円の車で楽しめる人はカッコイイ。

  • 純正脚は運転の上達に最高のパートナーだ。

  • ただしそのままでは乗りにくい。

  • だからスーパーノーマルでリミッター解除。

日々サスセッティングのことを呟くX(Twitter)のフォローもお願いいたします。


いいなと思ったら応援しよう!