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東京は夜だと思うから

21人の書き手の作品が、21夜連続で公開されるnote同人誌マガジン『東京嫌い』。

先週の金曜日、第9夜に私が書いた小説『ひとくちの夜をすくって』が公開されました。

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私がふみぐら社さんからお誘いを受けたのは、9月のはじめ。丁寧なDMに、すぐさま「書きます!書きたーい!」とお返事しました。

《東京嫌い》とは、東京が好きな気持ち、あるいは好きだけど苦しい、嫌いたいけれど嫌えない、嫌いになってしまったといったいろんな愛憎を込めた表現。熱を帯びた東京も、醒めた東京もいろんな距離感、解像度で描いてもらえればと思います。

「#東京嫌い」のお題を眺めていたら、だんだんと「憧れ」に見えてきました。それが今回書いたお話の出発点。

私が東京で暮らしていたのは、大学生から社会人3年目までの約7年間。三鷹の学生会館での一人暮らしが、はじめての「東京」でした。

お隣の神奈川で育ったとはいえ、駅からの道の両側にそびえたつマンションとビル。狭い空。たくさんの、私の知らない人たち。18歳の自分にとって、東京は必ずしも輝いてるだけの街ではなかった。

どこにいっても、どこかさみしい。

だからかもしれない。少しだけすれ違った人たちを、今でも思い出します。

はじめて一人で入ったフレッシュネスバーガーの店員さんの笑顔。誕生日だからとカードにスタンプをたくさん押してくれたカフェのお兄さん。

はじめてオフィスで泣いた日、隣にいた先輩。飲み会でこぼした夢の話を、何年もたったあとに覚えてくれていた同僚。

ひとりの夜、沈まないように手をつないでくれるのは、そんなかすかな光みたいなものなのかもしれない。

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読んだ方が、感想ふくめTwitterで帯を付けてくださいました。うれしすぎる。いくつかご紹介します。

もし私が「わたし」だったら二度とアイスクリームを溶かせなくなりそう。思い出しちゃう。冷凍庫から出した瞬間食べちゃう。ーはる
雨の中今すぐコンビニへ駆け出して、秋限定フレーバーのアイスを買いたい気持ちになった。心臓がギッタンバッタンする系のお話…!ーみさきち|編集&ご自愛|GCストーリー
この読後感をなんと表現すればいいんだろう。見たことのない景色なのに、自身を重ねて読んでしまう。聞いたことのない言葉なのに、ひどく懐かしい気持ちになる。ーみ・カミーノ
も〜〜〜付き合っちゃえよ!!!と陰でヤキモキしてる同僚役やりたい。(でも二人の夜のことは秘密にされてしまう…ーMica Hirai
はぁー!ビター!!好き
タイミングや巡り会いも、その人が持つ魅力のひとつなんだよな……。胸の奥がきゅうっとなった。ー野やぎ
アイスクリーーーーム…!!!!!(言葉にならなさすぎてもう…ーことふり


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