『しきしまの大和へ』(古代オリエント博物館20191015)の埴輪目撃談
本展の白眉。
吉備から大和へ伝わってきたもの。
左:吉備器台(特殊器台)、右:吉備壺(特殊壺)
葛本弁天塚古墳出土
どちらにも黒斑があるものの、ベースの色が違う。
墳丘上でこの組み合わせだったかどうかは記載がなかった。
まず、壺の大きさにびっくり。
いちばん太い胴まわりで直径50㎝くらいか。
突帯は三条。
はっきりとした突き出しぶり。
どこにも紋様は見られない。
口縁部は二重口縁。
底の孔は撮れず。
その壺を
乗せる台。器台である。
上から口縁部の内側を撮ろうとするが
ぶれた。
透孔から口縁部の内側を撮る。
いまいち焦点が合わず。
それでも二重口縁だということは確かめられた。
そして器壁が薄く作られていることがわかる
これであの大きい壺を乗せていたのか。
その口縁部に
紋様はない。
直しが多めでよくわからないが、脚部も紋様はないもよう。
紋様帯の弧帯紋を見る。
紋様と透孔とが連動している。
この連動は基本的に埴輪では見られない。都月型円筒埴輪にしかない。
壺を器台にのせてみたい。
この吉備器台から生まれたといわれる埴輪。
いよいよ埴輪。
円筒埴輪
左:瓦塚1号墳出土、右:石光山47号墳出土
円筒埴輪にもいろいろある。
瓦塚1号墳の円筒埴輪には黒斑がある。
よって野焼き焼成と判定。
縦横にハケ目が走る。
透孔は三角。
語りかけてくる。
石光山47号墳の円筒埴輪には黒斑がない。
よって穴窯焼成と判定。
横ハケ。
透孔は円形。
やはり何かを言わんとしている。
船形埴輪 寺口和田1号墳出土
これだけ直置き展示されていた。
2本の円筒に乗る。
櫂座(ピボット)が左右に二つずつしかない。小型船か。
船の中心寄りに横木が二本わたされている。
左右の舷側板をつなぐものはこれだけかな。
船首や船尾に竪板がない。
どっちが船首でどっちが船尾かわからない。
どっちもだいぶひらいている。水が入ってきそうだが。
船の一端の舷側板の先端が、内側が黒いサンドウィッチ状態。
この先に何かがついていたが欠けた、ということになる。
何がついていたのか。
反対側は直しらしい。
埴輪以外。
韓式形土器 甑(こしき)
底に孔。胴部に縄目的な文様。
三角板鋲留短甲 後出7号墳出土
前右半分をあけて着脱。
翡翠製合わせ勾玉 澤ノ坊2号墳出土
いい色を赤い台が引き立てる。
ただ
玉は去年いろいろ見た。合わせ子持勾玉とか。
玉 ―古代を彩る至宝―(江戸東京博物館)の目撃談
目が肥えてしまって、本展の玉類の感動はさほどでない。
新沢千塚古墳群の出土品がたくさん来ている。
特に新沢千塚500号墳から出土したものが多い。
内行花文鏡
赤と黒のコントラスト。
左から、車輪石、紡錘車(ぼうすいしゃ)、石突、琴柱(ことじ)形石製品
しかし新沢千塚500号墳で出ているはずの八ツ手葉形銅製品はなかった。見たかった。
木製琴と琴柱 南郷遺跡群出土
絃をかけるくぼみは4つ。
木製サシバ 南郷遺跡群出土
直径40㎝くらいか。
木製キヌガサ 南郷遺跡群出土
布を張って傘になった状態を、いま一つイメージできない。
ミニチュア竈(かまど) 稗田・若槻遺跡
冠帽ふう埴輪に似ている。
本展でいちばん印象に残ったのは、吉備壺の重量感。
目にもずっしり。
これは見られてよかった。
多くの展示品は撮影可。ただし、撮影不可のものもある。
図録入手。
いい写真がいっぱい。
石見遺跡出土の馬形埴輪の写真もあった。
馬形埴輪の展示はなし、馬具は少々あり。
展示品のサイズを記載してほしかった。
古代オリエント博物館のコレクション展からひとつ。
入口近く、復元家屋の一角にあった。
皿を乗せていた器台。
埴輪に似ている。
ところで皿に乗っているのは、よく見たら玉ねぎらしい。
吉備のほうは、壺と器台。
吉備の壺には何が入っていたのか。
底抜けなのだが。
あの時代の空気か。
2019/10/15(火)古代オリエント博物館訪問
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◎奈良県立橿原考古学研究所付属博物館蔵品巡回特別展
しきしまの大和へ ―アジア文華往来―
会場および開催期間
東京都 古代オリエント博物館:2019年10月5日(土)~12月1日(日)
神奈川県 横浜ユーラシア文化館:2020年6月13日(土)~7月12日(日)(当初4月21日(火)~7月5日(日)の予定から期間変更)
福岡県 九州国立博物館:2020年7月28日(火)~12月20日(日)(当初23(水)までの予定から期間変更)
島根県立古代出雲歴史博物館:2021年3月19日(金)~5月17日(月)
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以上、『埴輪のとなり』掲載の目撃談を修正して再掲しました。
お読みいただきありがとうございます。サポートいただきましたら、埴輪活動に役立てたいと思います。