謎の冑と腹踊り【埴輪紹介所その86】
どういう作りの冑なのか。
本体は丸い。衝角(しょうかく)も眉庇(まびさし)もない。
ハチマキ状の帯には楕円形の板状の物体。外側に反る。素材や目的はわからず。
跳ねる錣(しころ)。
その下に、やはり跳ねるミズラ。
上に孔が開いている。
埴輪時代の金属製の冑には見当たらないタイプ。
胸に二重丸。
二重丸が脇に描かれている埴輪もあるので、胸の表現ではなさそう。
腹踊りの顔の目? まさかね。でも目に見える。鳥よけの目玉にも似ている。
耳環と頸飾りをつけ大刀を佩く。
口元は少しゆがんでいるが、何か特別な表情を表そうという計算は感じない。
腕のポーズが深刻さを欠くせいか。やっぱり腹踊り?
いわゆる下総型(しもうさがた)の人物埴輪。
平べったい顔、細い目、つながった眉、棒のような鼻、ヘラのような手。
「~型人物埴輪」という分類が成立しているのは、おそらく下総型人物埴輪のみ。
多数出土しているから分類できる。
千葉県香取市の城山(じょうやま)1号墳出土の男子埴輪。高さ71cm。
所蔵は香取市文化財保存館。
撮影は2020年『発掘された日本列島2020』江戸東京博物館。
および2018年に香取市文化財保存館の常設展。
このとき、同古墳出土のよく似た埴輪を見ました。
同古墳からは家形埴輪も出土。
またね。
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