誰かのための椅子【埴輪紹介所その19】
人は椅子を選ぶ。一方で、椅子も人を選ぶ。
岡本太郎の作品に《坐ることを拒否する椅子》がある。
ブルーノ・ムナーリの《短い訪問者のための椅子》もある。
埴輪の椅子は?
はにこが座りたい椅子。でも埴輪しか座れない椅子。
椅子と人との相性はすぐにわかることもあれば、時を経て判明することもある。時によって変化する場合もある。両想いになれるか?
椅子は居場所、居心地の象徴。
椅子は権力の座の象徴でもある。玉座という言葉もある。
埴輪の家々を見下ろす埴輪の椅子。
高めに展示されているのは、装飾が凝っていて、王が座るにふさわしいからかも。
にぎにぎしい背もたれ部分は、実はついたてという説あり。他の椅子形埴輪にはないのです。
脚部前面も凝っている。謎の空間があけられている。そのまわりに階段状の刻み。
謎が多いのは椅子形埴輪は出土例が少ないせいもある。確か10体もない。統計が取れない。
ちなみに、「人物が座っていた痕跡がある椅子の埴輪」というものもあります。一見椅子形埴輪ですが、もともとは人物埴輪だったことになります。
座っている人物埴輪のほうが、椅子形埴輪より多く出土しています。
群馬県伊勢崎市の赤堀茶臼山古墳出土の椅子形埴輪。残存高さ45.4cm。
所蔵は東京国立博物館。
撮影は2018年、東京国立博物館の平成館にて。
またね。
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