はじめてのどすこい【埴輪紹介所その16】
この顔に思わず笑う。彼は強い。笑わせる力を持つ。
初めて出会ったのは古代オリエント博物館の『ほほえみの考古学展』でのこと。微笑みをたたえた世界各地の出土品が並ぶ中、最後の日本コーナーに彼は現れた。思わず笑ってしまった。
そしてはっとした。もの自身が笑っているのではなく、ものが見る人を笑わせる。これはとんでもないことだ。しかも、1500年前の物体にその力がある。今、自分はすごいものを前にしているのではないか?
その時の展示では、ほかに見る側を笑わせるようなものはなかった。唯一のものだ。
相撲を取る埴輪と言われている。力士埴輪は少ないが各地で出ている。
彼は手も足もだいぶ失われているが、まわしだけは残った。ヘアバンドのようなハチマキも。
顎なし頸なし、大きなおなか。驚きは尽きないが、やはり顔。埴輪は顔。
忘れられない衝撃をありがとう。
出土地不明。所蔵は國學院大學。展示は國學院大學博物館。
撮影は2011年、國學院大學博物館にて。
人気者なので、しばしば出張。國學院に行っても会えないことが多い。
でもまたどこかで会おうね!
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