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『耳で見る』ミルグラム


MILGRAM-ミルグラム-とは、「音楽による裁判員制度」をキャッチコピーとした視聴者参加型メディアミックスプロジェクト。
最大の特徴は、一/二/三審で公開される各囚人らの楽曲MVから、彼ら彼女らの犯した罪を考察し見極める。そしてそのMVを通して、囚人らを『赦す』か『赦さない』か我々が判断する、というもの。
下された判決により、囚人たちだけでなくプロジェクトそのものが形を変えていくというのは、現代においてもなかなか類を見ないコンテンツなのではないでしょうか。

そんなミルグラムですが、前述の通り判決を下すための大きな判断材料となるのは『音楽』です。
音楽という存在がミルグラムをミルグラムたらしめていると言っても過言ではありません。

そこで、一度MVを無視して楽曲にのみフォーカスしてみようと思います。
ここでは楽曲を再生することが出来ない都合上MVの映像を引用することはありますが、映像には(ほとんど)目を向けず音楽の部分にだけ注目してみます。
要するに『音楽的観点から見る』といった感じです。
なお、楽曲に対して優劣をつけるといったことは一切ありません。音楽ジャンルやテンポ(BPM)などに触れて「囚人たちの心情を音楽ではこう表現しているのかも…」という、今まで出ている考察の簡単なおさらいと新しく見出した見解みたいなものを大まかに書いています。
でもあんまり考察ができないので、大半が「この曲はジャンルこれだよーテンポこれくらいだよーすごーい」くらいで終わっています。赦してください。

なるべく音楽知識が無い方にもわかるように多めに補足を入れていますので、良ければぜひご一読ください。
※音楽の知識に長けている訳ではない素人がサイトを必死に漁って必死に書いています。またミルグラムの知識や考察もそこまで深堀しているわけでは無いため、不備や誤りなどありましたら申し訳ございません……


弱肉強食/全知全悩

【ジャンルについて】
極論を言ってしまえばミルグラムの楽曲はほぼ全部ポップス……なのですが、それだけではどうにも腑に落ちないので、一旦「ポップスかそれ以外か」に分けてから判別を行います。
音楽ジャンルに厳密な分類は存在せず、決定的な定義はありません。そのため、今回の分類も個人の解釈に大きく依存しています。

代表的なジャンルは以下の六つです。
・ポップス
→大衆音楽であり最も著名なジャンル。時代により定義が変わるためかなり曖昧
・ロック
→とにかく音がデカい、そして派手。社会への反乱を歌われることが多い
・EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)
→クラブなどでかかるような電子音楽。ひとくちに言っても種類は様々
・メタル
→ドラムの二つ打ちやシャウトが特徴。ロックより激しく狂気的
・R&B(リズム&ブルース)
→ビートが激しいいわゆるノれる音楽。ブルースやゴスペルが起源
・ヒップホップ
→繰り返しのリズムやフレーズが特徴的で、軽快でリズミカルな印象がある

ハルカの場合は、一審二審どちらともポップ・ロックといったところでしょうか。ポップミュージックとロックを融合させた音楽ジャンルです。
カバー曲の「二息歩行」も同様であると思われます。

日本の音楽で有名なポップ・ロックと言えば、『オドループ/フレデリック』『前前前世/RADWIMPS』などが挙げられます。
J-POPでは有名かつ人気のジャンルです。

【テンポ(BPM)】
※手動計測のため微妙にズレがある場合があります。

そもそもBPMって名前は知ってるけどなんだ?と思っている方もいると思われますのでざっくりと説明しますと、"Beats Per Minutes"=一分間の拍数のことを指します。テンポの単位としても使われます。
だいたい120くらいで普通くらい、160を超えた辺りから早いな〜という感じです。
ハルカは二曲とも160を上回っています
(弱肉165、全知185)

【セリフ箇所】
ミルグラムの楽曲にはまれに歌声にセリフが挟まっているところがあります。ここではその箇所が「囚人たちが楽曲を通して最も伝えたい場所である」としています。

弱肉→ 僕に気づいて だれか気づいてよ
間ちがっていたのは僕だった そう僕だったんだ
全知→ ねえ いつかのように僕を抱きしめてほしい

「間違いだった」「間違いじゃない」と主張こそ異なれども、どちらの曲も「無視しないで自分を見て欲しい」というハルカの根本的であり、そして悲痛な思いがひしひしと伝わってきて本当にもう…………😭赦す/赦さないというアプローチそれ自体がハルカを見るという行為そのものなので、ある意味ミルグラムと最も相性のいい囚人とも言えます。
なのでムウさんはお母さんじゃないと思います 確かに相性はいいんだろうけどさあ!


アンビリカル/Tear drop

ハルカと比べると電子的かつ現代的なサウンドが多く使用されているなという印象。なんなら他9人と比較してもその印象が大きいです。サウンドからもイマドキの女子高生という感じが伝わってきます。
ジャンルですが言わずもがなアンビリカルはポップス。一番近いのはユーロポップだと思われます。
それに対してTear dropはEDM、その中でもダンス・ポップに分類されるのではないでしょうか。
ちなみにEDM用語で一番盛り上がる箇所のことを「ドロップ」と言うのですが、もしかして曲名と掛けていたり?

BPM
アンビリカル→148
Tear drop→120

聴いてて心地よい、ちょうどいいテンポです。
Tear drop、EDMにしてはかなりゆっくりめですがヴァース(いわゆるAメロ)は幻想的なサウンド、そこからのドロップは超アガるので音楽的にもすごく楽しい。
ライブ行ってペンライトブンブン振りたかったなあ……。

【セリフ箇所】
アンビリカル→噛み合って 与えあって
それはきっと 素敵なことだよ
これだって 君にとって 幸せって言える答えでしょ?
Tear drop→はぁ吐き気する気持ち悪い
早く消えてよ ふぅ、もういっか

アンビリカルのセリフ部分、歌声は変わらず軽快で可愛いのに対して、裏のセリフではユノの「冷めている」部分が露出しています。
歌声とセリフでそれぞれ別の相手に話しかけている、とかも考えられますね。


事変上等/バックドラフト

まずポップス……ではないですね。ロックに加えヒップホップの特徴も大きく出ているなと言う印象。事変上等はミクスチャー・ロック、バックドラフトはヒップホップ・ミュージックがもっとも近いと考えています。
そして先程も書いた通り、ロックは体制への反乱を歌詞にすることが多いジャンルです。現代社会だけではなく、ミルグラムという環境自体にも不満を抱いていた第一審のフータを表すには最適なジャンルでもあります。

BPM
事変上等→112
バックドラフト→128/100

フータの性格の割に意外にテンポはゆっくり。むしろフータの性格だからなのでしょうか、大勢の人間と一緒に行進している感じがします。まさに「勝者の行進」。
そして一番気になるのはやはりバックドラフトのBPM変化。128→100ですから結構落ちてます。
なおBPM100というと心臓マッサージに最適なテンポと同じ。もし近くにいる人が倒れたら「赦さない……赦さない……」と言いながら心臓マッサージしてあげましょう。

【セリフ箇所】
※セリフ箇所が無い曲はエスカバーを参考にしています。
事変上等→なぁ知ってんだろ もうずっと
逃げらんねぇぞ 罰の味はどうだ?

バックドラフト→なんで他は赦されてるんだって
監獄に耳ありあいつに目あり
誰も彼も面白がって投じるポリシー
お望み通りに死んでやろうか

"監獄に耳ありあいつに目あり/逃げらんねぇぞ"
"罰の味はどうだ?/お望み通りに死んでやろうか"
と問答になっている(……と言えなくもない)箇所が抜粋されています。事変上等のセリフ箇所はエスカバーからの抜粋であるため、エスとフータの掛け合いにも聞こえてかなり面白い。

【備考】
事変上等では一番と二番、ラスサビでドラムのフレーズが異なっている。
前者は8ビートだが、後者は16ビート。


アフターペイン/悪くないもん

「なんちゅう変化の仕方しとんじゃ!!」と叫びたくなるようなMVですが、今回は楽曲へのフォーカスですので一度しまっておきます。
アフターペインはティーン・ポップ、悪くないもんはエレクトロ・ポップっぽいかな……?といった感じ。TWICEなどのK-POPにも同ジャンルの楽曲が多いため、ムウの楽曲人気はこれが所以ではないでしょうか。
こちらも現代的でありイマドキJKといった感じですが、ユノとはまた異なるイマドキ感が出ています。聴覚からの情報だけでここまでユノとムウを描き分けることが出来るとは、恐ろしやミルグラムの音楽……。

【BPM】
アフターペイン→137
悪くないもん→175

アフターペインはティーン・ポップにしては少しゆっくりめ、反対に悪くないもんはエレクトロ・ポップにしては少し早め、といった特徴があります。
女王蜂は周りのハチたちを先導しなければいけないから、ちょっと駆け足になっているのでしょうか。
それとも、目前にいる外ハネのあの子を追いかけるため?

【セリフ箇所】
アフターペイン→痛みの中で会いましょう
私だけの居場所
心隠す死化粧 解き方は内緒
悪魔の声による死傷 返す刃は遺書

悪くないもん→どうなるかわかってるよね?/どうなるかわかってたでしょ
(私はいつも)可哀想なの

アフターペイン、「あなたが好きよ」の箇所はセリフが掛かっていない=「あなたが好きよ」は看守に対しての主張ではないんですね。つまりムウは私たちが好きなわけではない。フラれちゃいましたね残念

【備考】
アフターペインではカッターを出し入れするようなカチカチとした音が聞こえる。また、サビの直前で聞こえる上昇するようなサウンドは「ライザー」と呼ばれ、主にEDMで使用される。


スローダウン/トリアージ

こんなしんどい家族の物語をかろうじて数分の音楽として聴くことが出来るように仕上げたの……めちゃくちゃ凄いんですけどかなり人の心がないです。
スローダウンはギターポップだと推測。トリアージはピアノ・ロック、おそらくギターロックの要素も含まれています。
ピアノ・ロックと言えば『私以外私じゃないの/ゲスの極み乙女』などが有名です。

【BPM】
スローダウン→110
トリアージ→115

ほとんど同じ!つまりシドウは今も壊れていく一方一審と二審での変化も実は結構少ないってことですかね。全然オブラートに包めてないよ
スローダウンは16ビート。
トリアージは破裂するような音のドラムが特徴ですが、これは家族の死因が交通事故である説から考えるに、事故で衝突した瞬間が何度もフラッシュバックしているのをスネアで表現しているのかも?とふと思いました。
めちゃめちゃ辛いので当たってないでほしい……

【セリフ箇所】
スローダウン→さぁゆっくり目を閉じて 後悔なんか飾って
誰かのためのあなたを願おう

ねぇ誰がやってきたって また変わらない表情で
トリアージ→はい、桐崎です。ただいま電話に出ることが出来ません。しばらく経ってからおかけ直しください。/(俺は)生きたい

スローダウンの「あなた」も私たちではありません。なぜなら第一審楽曲は「自己紹介」。つまり自分の過去や周辺について歌っていることが多く、看守やそのほかの誰かに対して何かを訴えかけてくるのは二審楽曲からがほとんどであるからです。
エスカバーでエスに読み聞かせされてるみたいだ、というコメントが複数あったのはこれが理由ではないでしょうか。エスは囚人たちの物語を、絵本を読むようになぞりながら歌っていたのでしょうか。
なのでここで言う「あなた」は考察にある通り家族のことですね。フラれちゃいまし

【備考】
トリアージ前奏に挟まる咳払いの心理は「ストレスや緊張を紛らわせる」こととある。咳払いの直後に息を吐く音が聞こえるので、シドウの場合緊張を紛らわせるためと思われる。

カバー曲のライアーダンスで最初に聞こえる言葉は
「奪った?ふふ、そうですね。俺は奪っている。聞こえのいい歌で誤魔化して……」。


愛なんですよ/だいすき

本当に同じ人から出力された曲なのか疑う程に全然違う……。
愛なんですよはポップス。だいすきはEDM、なかでもドラムンベースが最も近いと思われます。ドラムンベースというジャンルはEDMを知らない人でも聞いたことがあるのではないでしょうか。ウ"ィ"エ"とかで
愛なんですよはポップスの中でも結構ギターやベースがギュインギュインしているので、ポップ・ロックなのかな……?と思ったりしています。
弱肉共食がロック色強めだとしたら、愛なんですよはポップミュージックが特に前面に出ています。

【BPM】
愛なんですよ→148
だいすき→142

こちらも二曲ともにあまり差はないですね。愛なんですよはアンビリカルと同じテンポです。
後述するTeddyLoid氏のS1楽曲Megamixでこの二曲が繋がれたときにテンポやキーの変化がなかったのもBPMが同じだったからですね。
だいすきはドラムンベースではかなりゆっくりめな方。ドラムが素早いってわけでもないのでもしかしたら別のジャンルかも……。

【セリフ箇所】
愛なんですよ→君だけに伝えたいことも 君だけに貰いたいことも
愛なんですよ

だいすき→はぁ食欲無い 眠れない 髪もボサボサ
/ねぇどうして ねぇどうして

愛なんですよの「君」も私たちのことではなく恋人のことを言っているでしょう。フラれち
そしてシドウの時に話したように第二審楽曲が誰かへの主張だとすれば、「ねぇどうして ねぇどうして」と言っている相手は……。

【備考】
だいすきの「食欲無い 眠れない 髪もボサボサ」というのは、一般的に恋煩い、あるいはうつ病の症状として挙げられる。
マヒルの恋のほかに第二審での精神不調を表し、二つの意味が掛けられている(ダブルミーニング)と思われる。


half/Cat

さすがは最年長、楽曲MVともに随一でお洒落。
halfはバラードと言われることも多いのですが、アコースティックギターが使われているという点からここではブルースの要素もあると仮定します。Catは100%ジャズ、おそらくスウィング・ジャズでしょう。ちなみにこちら、音ゲーマーが悲鳴をあげるハネリズムになっております。
またブルースは憂鬱になるという意味の「ブルー」が語源であり、大抵色恋沙汰を歌うことが多いそうです。カズイのイメージカラーはスカイブルー……

【BPM】
half→90
Cat→122

halfはミルグラムの全楽曲の中で最も遅いBPM90です。「大人の余裕」が表されているのかと思いましたが、そう着飾っているだけだったのかもしれません。なぜなら、一審と二審楽曲のBPM変化が最も大きいのもカズイだから(その差32)。
二曲のテンポ差で感情の起伏を表していると思うとSTS(スゴイ とっても スゴイ)になります。

【セリフ箇所】
half→きっとずっと変わらないまま お前バカだなって笑いあって
知らない方がいいことだらけ 臆病なだけ
ずっと前に諦めたこと 今になってなんで声を上げるの

知らない方がいいことだらけ 臆病なだけ
Cat→ふぅ、酔っちまった
なぁ、もし俺がお前のこと好きって言ったらどうする?

ここで言う「お前」も私たちではありません。彼には別に想い人がいますからね。フラ
二審で看守へ何かを訴える人が大半である中で、完全に矢印の方向が違う愛の告白をしているのは後にも先にもカズイ一人だけです。
一審の「自分のことを話すのみでこちら側へのメッセージはほとんどない」という曲の方向性は二審でも何も変わっていないように見えるので、彼には多分まだ誰にも明かしていない秘め事があるのでしょう。
三審でそれを暴けるかは私たち次第です。

【備考】
ブルースは黒人霊歌が発祥とされており、そこから派生したのがジャズ。マイノリティな立場にいる(と考察されている)カズイに、被差別的な位置にあった当時の黒人奴隷が発祥の音楽を用いて、カズイの立場を暗喩していると思われる。
また、ブルースから派生したジャンルは他にも複数あり、なかでも有名なのはR&B。そのため、カズイの第三審楽曲はR&B調のものになるのではないかと推測している。


おまじない/粛清マーチ

ミルグラム楽曲の中では最も狂気的なリリック(個人談)を持つ二曲と、その二曲を出力した最年少の小学生囚人、アマネです。
おまじないはポップス、粛清マーチはフューチャーポップの要素も大きく入っていると思われます。
ちなみにおまじないですが、こちらも音ゲーマーが絶望するハネリズムになっています。

【BPM】
おまじない→120
粛清マーチ→138/92

粛清マーチには二番でBPM低下があります。多分ここで6/8拍子にもなってるっぽい。
そういえば同じく二審で同じく二番にBPMが低下して、その後同じくBPMが急上昇して元のテンポに戻っていく楽曲の囚人がいたような……そしてその人って彼女の影響からか救いとか言い出したような

気のせいですね

【セリフ箇所】
おまじない→もういいなんて言わないです 笑いあって赦してくれますか?
誓います もういい子になるしかない!ですよ

粛清マーチ→お前を否定しよう 歪んだ目は潰さねば
二度と声上げないように ちゃんと喉も潰してあげましょう

ボイスドラマを参照するに、この「お前」には私たちも入っています!やったー!
そのため目と喉が潰されます

フラれていてほしかったね……

【備考】
粛清マーチの「どうしようもない〜」に使われているドラムのフレーズは『アーメンブレイク』と呼ばれ、これは『Amen,brother』という楽曲からのサンプリングである。
また、曲中ベースでスタンガンの音を表現している箇所があるが、ラスサビ(「謝ったってべーだ!〜」)でも同様のベースが使われている。
つまり……?


MeMe/ダブル

二重人格であるミコトを一曲で複数のジャンルを扱うことで表現した狂気の楽曲制作陣。その分楽曲の奥行きも大変ものすごいことになっています。 
なお、ダブルに関しては公式TLでジャンルが明言されていました。

第一審の「MeMe」が可愛いく思える程のブルータルメタルに、純白なホイップクリームのようなポップスを放り込むと言う、禁断の黒魔術のような楽曲となっております。(Rockwell)

公式アプリタイムラインより

マジ禁断の黒魔術。
これを踏まえて、MeMeも同様にブルータルメタル/ポップスの組み合わせであると仮定します。

【BPM】
MeMe→125/85(変拍子あり)
ダブル→140(変拍子あり)

一審ではBPM変化と変拍子、二審でも変拍子を織り交ぜてくるという狂気。もはや変態。
ミコトとジョンの脳内がどうなってるか知りたいです。二つの人格がごちゃまぜになっているとは言え、一体何がどうなったらこれが出力されるのやら……。
ダブルの変拍子箇所は「望んでいなくても今更追い出せない」です。四拍子から六拍子になっています。

【セリフ箇所】
MeMe→嘘なら君のこと赦さないよ
ダブル→あっ、もしもし母さん?久しぶり
うん……まあ〜しんどいこともあるけどなんとかやれてるよ、大丈夫
そっちは元気してる?次の休みはちゃんと帰るね
/(なんで なんで)ごめんなさい

ダブルの何が辛いってわざわざ電話のシーンが挟まれていることですよね。声色や言っていることとは真反対、今にも壊れてしまいそうな精神状態であろうミコトが映るからであるのはもちろんですが、一番辛いのはジョンの思いはミコトに全く届いていないとわかってしまうからです。
先程も言ったように二審は誰かへのメッセージがセリフとなっていることが多いです。ミコトが一番メッセージを送りたかったのはお母さん。
ジョンはミコトに「ごめんなさい」とメッセージを送っていますが、ミコトは「なんで」と歌うだけで終わってしまっています。
残念ながらジョンのメッセージは見られさえしなかったようです。

【備考】
MeMeには二番終わりとラスサビに鐘の音が入っている。(ちなみにおまじないにも入っている)
そして「鐘の音が聞こえる/警鐘を鳴らす」という表現があるが、これは重大なこと、危険なことが起こることの予感や警告を表す言葉。
おまじないではアマネがマスコット達からおしおきを受ける直前に鳴っていたため「危険なことへの警告」と言える。
ではMeMeでは、ミコトの場合ではどうだろうか?

ミコトのフィンガースナップと同時に赤く染る水面。そしてミルグラムでの赤は「赦さない」。
危機とはミコトが赦されないことを指していたのかもしれない。
その結果が二審の様相であることを考えると……。


HARROW/ディープカバー

我らがコトネキコトコの罪は歌詞においても分かりやすい分、彼女の監獄内での行動を考えると赦すべきか赦さざるべきか、特に慎重な判断が必要とされます。
HARROW、ディープカバーともにハードロックだと推定します。また、カバー曲であるアンチビートやストリーミングハートはエレクトロニックロックでアレンジがされています。

【BPM】
HARROW→195
ディープカバー→190

は、早い!!ミルグラム楽曲の中でBPM最速はHARROW。二審楽曲でもディープカバーが最速なので、コトコの楽曲は10人の中で最もBPMが早いと言えます。
類似点が多いことからフータとまとめて「正義組」と呼ばれることがあるコトコですが、あちらは集団でゆっくりと歩いているような速度だったのに対して、こちらは誰も寄せつけないように一人で颯爽と走り抜けているような速度です。
孤高の一匹狼であり、誰の理解も求めず一人で己の正義を追求するコトコが音楽でもバッチリと表現されています。

【セリフ箇所】
HARROW、ディープカバーともになし!!!

コトコは唯一両曲とも歌詞中にセリフ箇所がありません。ないよね……?強いて言うならHARROWの笑う声くらい……?
そのため、ある意味で最も謎めいた囚人であるとも言えます。ここでもコトコの孤高具合が出ていますね。
でもカバー曲では「ワガママ聞いてよ」ってちゃんと言ってます!
いくらでも聞いてやら〜!!と思ったんですけどワガママの内容がだいぶ重たいですね
どうしよう……


【その他備考】
ラスサビで転調するのはhalf、おまじない、悪くないもんの三曲。いずれも「仮面を外す」「変身する」「羽化する」などMVにおいても大きな変化が見られる。

・曲中でピアノが使われているのは愛なんですよ、half、MeMe、全知全悩、Tear drop、悪くないもん、トリアージ、Cat、粛清マーチ、ダブルの計十曲。

・曲名が歌詞にもなっている曲は以下の九曲。
事変上等(だ 正義はこの指止まれ〜)
スローダウン(誰かの誰かに〜)
愛なんですよ(貰いたいことも 愛なんですよ)
おまじない(ごめんなさいのおまじないを)
HARROW(黙って強さに泣くなんて〜)
悪くないもん(間違い探しをしたって〜)
だいすき(大 大 大 だってだいすき)
Cat(愛して欲しかった 猫みたいに)
ダブル(しょうがないダブルなんだ)


S1 JailBreak Megamixについて

ここからは「メガミックス」と呼ばれるこちらの動画について。
存在を知らない方もいると思われますのでまずはご一聴ください。

アンダーカバー+第一審楽曲がTeddyLoid氏によりメドレーへとアレンジされ、約15分で11曲が聴けるあまりにもお得かつ楽しい動画となっています。
セットリストは以下の通り。

  1. アンダーカバー

  2. HARROW

  3. 弱肉共食

  4. 愛なんですよ

  5. アンビリカル

  6. half

  7. スローダウン

  8. 事変上等

  9. おまじない

  10. MeMe

  11. アフターペイン

原曲とBPMが異なるのはHARROW、弱肉共食、half、アフターペイン。

HARROW
195→185
弱肉共食
165→185
half
90→100
アフターペイン
137→127

太字にしている五曲は次の曲に一部歌詞が食いこんでいます。(この状態を表す用語があれば教えて下さい……🙇🏻‍♀️)

【HARROW→弱肉共食】
正しさに溺れていたい
【弱肉共食→愛なんですよ】
ひとつふたつかさねたって またすぐくずされて
いないもの いらないもの どこかで生きてるの?
【愛なんですよ→アンビリカル】
プルルル 夜中に君にCalling
【事変上等→おまじない】
いい感じだ 泣き出すまで裁きを下してやろうぜ
途中下車は裏切りとしていこう
さあ道理を
【おまじない→MeMe】
でも全然怖くないですよ 愛だから
ほんといい感じって思えます ほら 素敵でしょう?

この内キー変化が見られるのはHARROW、弱肉共食、事変上等。
ではこの三曲を頭に入れたまま、タイムラインの会話をちょっと振り返ってみましょう。

あなた、とんでもないことを考えるわね。はっきり言って異常だわ。
でも、私は嫌いじゃない。全ての罪人があなたのようであればいいのに。(コトコ)

公式アプリタイムラインより

これはコトコのバースデー(12/15)に更新された会話の一部です。コトコの話し相手はハルカ
ハルカはこの会話にて、本来コトコがやりたかったことを譲ってもらったそうです。そして、その内容を黙っておいてほしいとも言っています。(以下「約束」と表記)
約束の理由は「守るため」。何を守るためなのかは明記されていませんし、現在でも分かっていません。そもそも約束の内容すらハッキリとは分かっていません。
ただひとつ言えるのは、この「約束」が第三審において大きく影響を及ぼすであろうこと。
コトコの行動原理は悪を減らすという強い正義感。一審終了後に行った襲撃も、看守が赦さない=罪ある悪人だ、と判断した囚人達に制裁を下すための行動でした。
そしてボイスドラマにて、ムウが赦されなかったら「死にます」と言っていたハルカ。結果的にムウは赦されませんでした。
そして、ハルカも赦されませんでした。
ちなみに、ハルカはコトコとの会話以前にこのような発言をしています。

僕、少し、やりかたを考えていて。
どうすれば、どうすれば、約束が……守れるかって。
ムウさんのために……。(ハルカ)

公式アプリタイムラインより


多くを語る必要は無いと思います。そして私も多くを語りたくありません。
看守いじめるのやめてください やめて

ガキ、お前も赦されてねぇ側だろ。……なのになんで立っていられんだ。
聴こえてたんだろ。オレ達を責め続けるあの声が。
……オレは何をする気にもならねぇよ。(フータ)

公式アプリタイムラインより

一方こちらはフータのバースデー(4/19)タイムラインです。「ガキ」「赦されてねぇ側」という言葉から、話し相手はアマネであることがすぐに分かります。
アマネには赦されなくとも立っていられる理由があります。自身の信じる信仰が。
しかしフータはどうでしょうか。彼には赦されずとも譲れないもの、立ち続ける理由はありませんでした。その結果が二審の立ち振る舞いです。
アマネは本来、誰かを助けたいと思う優しい子です。怪我を負っていた猫を助けたアマネの優しさは本物です。
しかしその優しさは、ミルグラムにて私たちが予想だにしない方向へ動きました。

人は立ち上がることが出来る。導きさえあれば。
(中略)
今お前の周囲にある堕落への誘いを振り解き、悔い改めるなら――(アマネ)

公式アプリタイムラインより

あっ

凹んでる時に頼れる相手がいたり、受け入れてくれる相手がいたら嬉しいよな。
オレらから見たらよくわかんねぇけどよ。お前が「救い」だってんなら、まぁ、偉いんじゃねぇの。(フータ)

公式アプリタイムライン(7/5ムウBD)より

気のせいじゃないじゃないすか!

やだーーー!


……といった具合に、それぞれ繋がった先の曲の囚人へ何かしらの影響を及ぼしたり、あるいは及ぼされたりしています。そのためメガミックスが「第三審の予言!?」と言われることもしばしばあるそうです。
ただ、弱肉共食→愛なんですよの繋がりであるマヒルとハルカの第三審で生まれるであろう関連性は現在でも明らかになっていません。TeddyLoid氏が先のシナリオを知っているかにもよりますが、本当にただの偶然である可能性もあります。
メガミックスから何かを考察するとしても、映像面のみから考えた方が安牌かもしれません。

また、個人的に不思議な変化をしているなと思ったのがhalf→スローダウン。
スローダウンに移り変わった瞬間はhalfと同じBPM100ですが、前奏が終わる頃には元のBPM110まで戻っています。
「どういうことだ?」と思った方は実際に聴いてみてください。まじで不思議な変化をしています。
ていうか本当に何もかも不思議な男ですねシドウ。一審二審ともにアレ?ってなる歌詞もちらほらあるし、カバー曲めちゃくちゃ不穏だし。
彼いま結構ピンチだと思うんですが、第三審どうなってしまうのでしょうか。


…………とりあえずここまで!
第三審の展開には戦々恐々としていますが、単純に音楽を楽しむ機会が増えることにはとても感謝しています。
コード進行やらベースラインやらは全くの無知なので、知ったかぶって多くを語ると誤った情報を正しいものとして書いてしまう可能性があるのでやめておきました。そうだよね囚人番号3番
もうちょっと音楽の知識があればさらに深堀りできたかもしれませんが、トーシロの私にはこれが精一杯でした。面目ない……!
コード進行などを解析してくれているサイトなどもあるので、各自で利用して考えていただけたらありがたいです。
また、ここで記したジャンルなどは楽曲制作者が意図していたものとは異なる可能性があることに留意してください。
ありがとうございました!

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