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📚あのとき見た景色はもう二度と見られない…それでも心には残り続ける

【書籍の情報】
タイトル:きつねの窓
作:安房直子
え:いもとようこ
出版社:金の星社
発売日:2021/3/26
仕様:‎日本語/大型本/‎32ページ
ISBN-‎978-4323048093

【出版社からの内容紹介】
大人も子どもも“名作を読もう” 安房直子+いもとようこ
きつねの子に“ききょう色”に染めてもらった指先で作ったひし型の窓。その窓を目の上にかざすと、そこに見えたものは……?

真っ青な桔梗畑で子ギツネに出会ったぼくは、青く染めた指で作った窓のむこうを見せられる。そこには鉄砲で撃たれて死んだという母ギツネの姿があった。ぼくも指を染めてもらうと、昔好きだった女の子が見える。それから母や死んだ妹、焼けてしまった家も……。ずっと青い指でいようと思ったのに、帰宅したぼくは、うっかり手を洗ってしまう。

ふしぎで切ないお話。

【おすすめポイント】
安房直子さんの『きつねの窓』は、大人の読者にとって、単なる児童文学として片付けられない深い魅力を持つ作品です。

言葉の美しさ
安房さんの文章は、日本語の持つ繊細さ、美しさを最大限に引き出しています。風景描写は、まるで目の前に情景が浮かび上がるよう。特に、キキョウの花の色、光の加減、風の音まで伝わってくるような描写は、読者を物語の世界へと誘います。

普遍的なテーマ
物語のテーマは、喪失、記憶、そして心の癒し。誰もが経験するこれらの感情に、安房さんは優しく寄り添います。特に、過去の記憶とどう向き合うかというテーマは、現代社会を生きる私たちにとっても重要な問いです。

余韻
物語は、ぼくが窓を通して何を見たのか、そしてその後どう生きていくのかを明確には語りません。しかし、この余韻こそが、読者自身の人生を振り返るきっかけを与えてくれます。窓を通して見た風景は、読者自身の心に問いかけ、それぞれの答えを見つけるよう促します。

大人の読者へ
『きつねの窓』は、子どもの頃に読んだ物語として懐かしいだけでなく、大人になった今だからこそ、より深く理解できる作品です。日々の忙しさに追われる中で、ふと立ち止まり、自分の心を見つめ直すきっかけをくれるでしょう。美しい文章と心に響く物語を通して、安房直子さんの世界に浸ってみてください。きっと、新たな発見があるはずです。


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