夏と君の日差しにあてられて
「アタシ、普通じゃないからさ」
そういった君は笑ったように見せた。でも本当は泣いていた。
この言葉を聞くのは何回目だろうか。
君は上手く生きれない理由に必ずこの言葉を使う。
「ズレてんのは世界の方で、君は正しいよ」
そんなありふれた言葉でしか君を慰めるしかない自分が情けなくてこっちまで泣けてきた。
斯く言う私も前ならえでそっぽ向いてしまうような人間で、明日まで生きるのさえ精一杯なのだ。
それでも君とこれからを一緒に歩みたいと思ってしまうほど君は魅力的な人なのだ。
普通ってそもそもなんなんだ。普通じゃないから魅力的なのでは?と考えながら、流行りのクリームメロンソーダを飲み干す。そんな私を見つめる君。
どうしたの、と尋ねると君は
「あんたとならアタシ普通じゃなくてもいいかなって」
その言葉に私の胸は煌めき始める。ドクドクと血潮が全身を駆け巡る。
今日は暑いね、冷房効いてないのかなぁと目を逸らす私をニヤリと笑う君は本当にずるい人だ。
カランと氷が溶ける。
日差しはどんどん強くなる。夏はこれからだった。