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新卒で地域?一般企業?離島移住した友人に聞きました。

「新卒でキャリアを地域で築くか、一般企業や公務員に就職するか。」

地域での活動を経て、就職活動を迎える学生の多くが経験する悩みではないでしょうか。

昨今では、学生向けのインターンシップやワーキングホリデー、ボランティアなど、地域との関わりしろが増えています。地域に関わったことのある人は、地域資源の豊かさや暮らしぶりに惹かれ「今後も関わりたい」と思うことでしょう。

地域で活動した学生の中には、「都会での就職だけが選択肢じゃない」と気づくことが出来た人も多いのではないでしょうか。
しかしその一方で、地域で活躍する頼もしい大人の背中を見てきたからこそ、「今の自分の力で果たして地域に貢献できるのだろうか…」という不安から、新卒での地域就職を断念する学生の話もよく耳にします。

筆者もキャリアを考えた時、同じ問いにぶつかりました。
結果的に地域密着型の民間企業に就職しましたが、周りを見ても早期に「地元以外の地域でキャリアを築いた人」がまだまだ少ないと感じます。

そんな時、親友が大崎上島に移住を決めました。彼女は学生時代に4つの地域でインターンシップを経験、大学卒業後に新卒で民間企業に就職。いつかは地域でのキャリアを考えていた彼女が、社会人2年目の秋、島に移住しました。

私は親友の選択に勇気をもらったと同時に「これまでの彼女の歩みや想いを伝えたい」という使命感に駆られ、このインタビュー記事を執筆しました。

本記事が、勇気をもってキャリアを選択できる一助となれたら嬉しいです。


■プロフィール

自己紹介写真【そのかちゃん】 (3)

自己紹介写真【めい】

■初めての地域、”地域に還元する想い”にカルチャーショックを受けた

ーそのかちゃんの地域との出会いやきっかけはいつ?

2016年の大学1年生の終わりに、課題解決型のインターンシップ「地域ベンチャー留学」に参加して長野県の塩尻市に行ったのが最初の出会い!当時は「何かに挑戦してみたい」という思いで参加して、農産物加工所でのイベント企画に1か月挑戦しました。

ー「何かに挑戦したい」というところで、なぜ地域?

私は大学で国内外の地域開発や街づくりの勉強をしていたので、地域に関連したことをやりたくて。当時やりたい事が見つかっていなかったのと、授業で地域系の分野は、机上の勉強だけでなく、実際に現場を見て学ぶことが大切だと感じました。その時に、キャリアの授業でこのインターンシップを知って参加してみようと!

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△ 塩尻のインターンシップ中の写真

ー初めて地域のインターンシップに参加して、印象的だったことは?

塩尻はインターンの受け入れ企業が多くて、他企業の社長や従業員とも飲み会や集まる機会が多かったんだよね。色々な人と関わる中で、塩尻には”土地に還元していく”という考え方が根付いてるのではと感じました。自転車屋さんや漆器やさん、IT会社の社長、農産物加工所のおばちゃん達が「塩尻をもっと賑わせていくにはどうしたらいいか」という話で盛り上がっていて。それぞれの立場から「地元のために」という共通軸や使命感を持ち、エネルギーを出し合っていたことが、カルチャーショックだった!

後から”地域の仕事観”や”暮らしぶりが好き”と言語化ができたけど、当時は「なんか地域面白い!」って思いました。


■徳島県の移住コーディネーターと出会う「移住は手段、目的じゃない」

それから、私も移住して地域で働きたいなと興味が湧いてきて。地域のインターンシップを管轄しているNPO法人ETIC.の人に相談し、徳島県美波町の移住コーディネーターのもとでインターンシップをすることにしました。

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△ 美波町のインターンシップ中の写真(一番左が移住コーディネーターのKさん)

ー実際やってみてどうだった?移住コーディネーターってどんなお仕事に感じたの?

移住コーディネーター:移住を希望する1人1人のニーズに合わせて地域とのマッチングなどを行う。各地域の特性や魅力の収集・発信など、業務は多岐にわたる。  ※以下、「コーディネーター」を「CD」として表記。

徳島のインターンがターニングポイントで、大きく価値観を揺さぶられたんだよね!美波町のCDの方は、人口が約6400人の美波町に100人以上移住者を誘致していたのでその秘訣を知りたくて、美波町に行ったの。CDにこの仕事で大切なことを聞いたら、「移住者は地域のルールがわからないから、地域に馴染めるようにうまく調整してあげんねん」と。住民に移住者の前情報を伝えておいて「根掘り葉掘り聞かないんだよ」と言っておくとか。

ー地域の人と移住者がうまく交われるように調整しているんだね。

そうそう、心のケアやいざこざをなくすために細かい部分までサポートする。CD曰く、美波町はいま理想の状態で「自分達のまちに誇りや充実感を持って暮らしている状態」だそう。でもこのまま人口が減っていくと、理想のまちを保てないから「誰でもいいわけではなくて、まちに必要な人を巻き込む」という考え方を持ってた。「だから、移住は手段、目的じゃないよ」と言われた時、「考えが甘かったな」と考え直させられたんだ。

ー当時、地域に移住したい人みんな歓迎!という空気もあったような気がしたから、その気づきって大きいね!

美波町のCDを見て、1人1人に合わせて臨機応変に関わる動き方や気遣いができるCDになりたいと気づいたかな。この徳島のインターンを経て、ここからは仮説検証になります!(笑)

ー仮説検証!?!これまでの各地域での挑戦は仮説検証だったんだ、、!(笑)

数々のそのかちゃんの経験を紹介したいですが、文字数の関係で割愛します(泣)気になる方は本人に聞いてください ↓ ↓ ↓ 

そのかちゃんのインタビュー (5)


■地域でのキャリアと悩み、一般企業へ就職。得たかった”説得力”

ーそのかちゃんは、広島県の大崎上島に最近移住したけど、島との出会いはいつ?

ETIC(東京)のインターンシップを終えた大学4年の終わりに「学生最後に地域にいきたい!」と思って、紹介してもらったのが大崎上島で。地域CDをこの先やりたかったから、島でインターンを受け入れるための募集記事作成のインターンシップに1か月取り組みました。インターン受け入れ企業の課題を深堀るために、8の事業所で職業体験しながら「学生と一緒に何かできませんか?」とヒアリングして回ったね。

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そのかちゃんは、1か月の大崎上島のインターンの後、資格試験講座や教育プログラムを企画・運営する人材会社に就職。
社会人2年目の時に、島の人からカフェ兼コミュニティスペース運営のお誘いを受けて、大崎上島に移住することに。

ー島に初めて行った時は就活終わってたと思うんだけど、就活時にキャリアに悩んでる人もいると思うので、現在の話の前に就職活動の話を教えて!

当時は民間企業に行くのか、いきなり地域でキャリアを築くのか、すっごい迷った。ゴールは「地域でキャリアを築く」と決まっていたけど、一般企業就職という寄り道をするのかしないのかに悩んでた。一般企業に行こうと思ったのは、民間で働いた経験があることで自分の「説得力」を持てると思ったから。

そう思ったのは、ETIC主催のローカルベンチャープログラムへの参加者インタビューの執筆を担当して、元々は社会課題への関心が少なくて大手のIT企業に勤めていた男性に話を聞いたことが大きかった。

その男性が「民間のことも知っている上で、非営利や地域のことに取り組んでいる人の言葉が一番説得力があるように感じた。」と話していて「確かに」って思ったんだよね。これまでのインターンで、学生の立場からの意見に納得感を持ってもらえなかったことがあったから。インターン先の社員と私が同じ意見を言っていたとしても、立場や経歴で判断されてしまったり、それがあることで説得力が増すこともあると知ったからこそ、民間企業への就職を選択しました。

▽そのかちゃんがインタビューした記事はこちら

ー実際に民間企業で働いてみてどうだった?

良い環境だったけど、自分の好きなことに直接関われていなかったので、修業期間だと思って就職したものの、もどかしい感覚もあったね。

もちろん良かったこともあって、民間企業の考え方を知ることで、連携する時の巻き込み方や今後の繋がりもつくることができた。前の会社と、大崎上島のワーケーションのプラン作れたらいいよねって話にもなりました!


■4地域を経験し大崎上島に移住。「面のつながり方ができたから」


ーこれまで長野県塩尻市、徳島県美波町、宮城県釜石市と色んな地域を経験して、大崎上島はどうだった?他の地域との違いはあった?

CDをやりたいと思って、どこでやろうかなと探していた時にこの島に出会ったんだよね!移住を決めた一番の理由は、島の人たちと点じゃなくて面のつながり方ができたから。インターン中に1つの事業者だけでなく8事業者にお世話になれたことで、色んな角度から島を知ることが出来たし、島での自分の居場所も関われる幅も広がった気がする!

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△インターンシップの最終発表会の写真、島の方々が見に来てくださりました!

ー確かに!お世話になった人が多いと、地域に帰りたい気持ちが増すよね。

あとこの島の実直さがすごく好きで。「この島に関わりたい、住みたい、何か挑戦したい」人たちそれぞれが自分らしいチャレンジをしていて、街全体でそれを応援していこうと思っている人が多いんだよね。

ーとっても素敵な島だね!

高校生が「ウェディングプランナーをやってみたい!」と言った時に「島でやってみたらいいじゃん」って周りの大人たちが協力して、島内で結婚する若い夫婦の結婚式をプロデュースしたことがあったんだよね。

”「やりたい!」っていう人の声をみんなで応援する”という雰囲気がこの島にあって。他にも「小学生が駄菓子屋さんをやってみたい!」って言った時は、お祭りに出店したらいいじゃんって買い付け一緒に行ってくれる大人やサポートしてくれる人もいる。協力してくれる人がどんどん現れるんだよね!

ー島全体がそんな感じなの?

多いね!地元の人もそうだし、移住者も応援してもらった人が多いから、今度は自分が応援しよう!という空気感があるんだと思う。個人だけじゃなく、役場や学校の先生も応援してくれて。自分もチャレンジしていきたいなって思った時に、「この島だったら応援してくれる人がたくさんいるな」安心できたんだよね!

ー今、島ではどんな事をしてるの?

今は「ミカタカフェ」というコミュニティカフェを運営してる!飲食を提供するカフェだけでなく、地域の子ども達を応援するコミュニティ作りや、家庭・学校に次ぐ第3の子どもの居場所づくりを目指してるんだ。私はその中でコミュニティマネージャーとして、地域の大人と子どもが繋がる仕掛け作りを担ってるよ。

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▽2021年9月に島の高校生の挑戦を応援するクラウドファンディングを実施


ー今はコミュニティマネージャーとして頑張ってるんだね!今後の目標は?

今もまだ島でCDをやるための準備中で、島で必要なのかも含めて精査する時間だなと思ってる。今後やっていくとしたら、どんな風に事業者のメリットを作っていけるかや実現方法を考えていきたい。そのための情報や人が集まる場を持ちたいと思ったタイミングで、カフェ兼コミュニティスペースのお誘いをもらって、チャレンジ中!

ー現段階でのゴールは、地域CDをこの島でやるってことなんだ!

そうそう!自分自身がインターンという切り口で地域に関われて、成長できてやりたい事も見つけられた。だから地域での実践型インターンを通して、自分を変えられたという人が生まれて、事業者さんの役にも立てたら面白いサイクルができると思ってるから、この島でできるCDの形を今考えてます!


■チャンスを掴むには?

ー今後地域に関わりたい人に向けて、チャンスを掴むコツを教えて下さい!

自分が人にされて嬉しいと思うコミュニケーションを取ること!自分からお世話になった人に「お元気ですか?」って連絡したり。特別な用事がない時にも連絡もらえると、「頭の片隅に私がいたんだ」って、嬉しかったりしない?(笑)それで人に声かけてもらいやすくなるのもあるかと!

あとは自分の想いを言葉にして発信する!島の人からお誘いの連絡をもらえたのは、私のFacebookの投稿を見てくれたからだと思う。今何を始めて、どんな想いでやっているのかや今後やりたいことの発信とか。考えを発信すると、関連したことで思い出してもらえて声をかけてもらいやすいのではないかと思います。


■ーキャリアに悩む学生へー私たちが伝えたいこと

私は、キャリア相談をしてくれる学生に伝える時に気を付けていることがあって。人の経験談は参考にするべきだけど、そのまま鵜呑みにはしない方がいいよ!って言ってる(笑)

ー力になりたいと思ってくれるあまり、「自分の経験上でこうした方がいいよ~」の押しが強い人もたまにいたりね、、(笑)

だから私は「一般就職か地域でのキャリアの選択に迷っていて、どちらをおすすめしますか?」という質問に、「おすすめは無いよ」って答えてしまってる(笑)。
私の場合は、~~の価値観があるから最初は民間企業への就職を選択したけど、価値観は人それぞれ違うから、自分が大事にしたい方を選んだ方が絶対いい!って言ってる!

ーそれは本当に素晴らしいアドバイス!!

最初に地域でのキャリアを選択した人と、1・2年民間企業経験後に地域に行った人で、多角的な視点は両方経験した人の方があるかもしれないけど、最初から地域にいた人の方が地域の事情をよく分かってると思うんだよね。
どっちを選んでも良し悪しはあるだろうから、自分が大事にしたいことを満たせる方にしたらいいと強調したい!(笑)

―どっちがいいか聞かれても、私達も分からないよね。何を選んでも正解はないから、自分がいいと思った方を自分自身でベストに近づけていくしかいくしかないっていう!

そうそう!実際に自分が経験して思ったことを学生に伝えるけど、その上でどうするかは自分で決めてもらえたらなと。

ー相談してくれた子が民間企業に適性があったとして、仮に民間に適性がない私が民間企業のことを語り出しても、その子にとって良いか悪いかなんてわからない。それぞれだよね。。

本当だね~

ー改めて、鵜吞みにしすぎずに自分で考えて選択することの大切さに私も気づけた!自信をもってキャリアを選択できる人が増えていったらいいね。良いアドバイスとお話をありがとう!

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