ファーストラヴ
直木賞受賞時から気になってた作品です。小説読もうかな…と思いつつ読んでいなくて、映画の監督さんと出演者の方々が私の中でドンピシャだったので、小説を読む前にまずは映画を観ようと決めたのが今から半年くらい前だったかな…(曖昧)
公開初日に映画を見たのは恐らく人生で2回目です。
祝日って素敵だな〜と思いながら(←仕事休みだから)早起きして、生まれて初めて初日舞台挨拶中継付きの回を観てきました。
以下、ネタバレあります。
想像以上に…ではなく、想像より遥かに重い内容でした。でも、ただ重いだけじゃない、愛に溢れた素敵な作品だったと思います。観たあとは、どしーんと疲れた気持ちと、少しほっこりとした気持ちが混ざりあった、なんとも言えない感情が心を支配していました。
物語の内容は、北川景子さん演じる公認心理士の主人公・由紀が、芳根京子さん演じる父親殺しの女子大生の容疑者・環菜を取材する過程で、事件を引き起こした背景となった幼い頃のトラウマと、歪んだ愛と初恋、そして父親を殺してしまった本当の理由がどんどん明らかになっていっていくのと同時に、主人公自身も似たような過去のトラウマと向き合っていくストーリーです。(ざっくりすぎる。)
中村倫也さん演じる環菜を担当する弁護士・迦葉も、母から愛を与えられなかった幼少期を過ごした過去を持っていたり、由紀の初恋の人で今は義理の弟だったりと、こちらもなかなか複雑なのですが、迦葉も事件を通じて自分の過去と向き合っていきます。
子供の頃は曖昧だった「なんか嫌」という感情の意味が大人になってはっきりわかったこと、記憶の片隅に消してたけど大人になって思い出してしまったこと…。由紀と環菜(迦葉も)、似たようなトラウマがあったからこそ、分かりあい、共感し合うことで過去を昇華することができたのかな…と。
由紀が夫にもずっと言えなかった過去を環菜に打ち明けるシーンと、物語の序盤では過去のことを聞かれるとパニックを起こし喋ることすらできなくなっていた環菜が、法廷で涙を流しながらしっかりと自分の言葉で過去のトラウマを母親と裁判官に伝えていた終盤のシーンはとにかくひきこまれました。画面に釘付けになっていたと思います。自分の言葉で話せて本当に良かった。芳根京子さんの演技が本当に本当に素晴らしかったです。
そして、ラストの子供時代の回想シーン。一緒に暮らし始めたばかりの全く笑わない弟迦葉をくすぐって笑わせる兄我聞…。この兄弟の回想シーンでなぜか感動して泣きそうになったんですよね。とても印象深かったシーンです。ラストだったからかな。
人には悲しかった思い出や辛かった過去、トラウマのようなものが何かしらあると思います。(その内容が人生を変えるほど重大なものか些細なことかは人それぞれだと思いますが。)
その、苦しい過去やトラウマを、胸の奥に無理に閉まって苦しまなくてもいいんだよ。共感して一緒に泣いてくれる人は絶対にいるよ。というメッセージが物語に込められているのかなと私は解釈しました。
もうちょっと年齢を重ねてから、もう一度観てみたい作品のうちの1つになりました。
決して明るい内容でも元気の出る内容でもないけど、おすすめの映画です。