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【資産運用】投資の”勝ち筋”を整理してみた。

今日は「投資する企業の選び方」について、少し書いてみようと思います。

以前にも似たような記事を書いたことがあるのですが、今日はそれよりも少し詳しく書いてみたいと思います。

先に「大切なこと」を書いておくと、投資(手法)は投資スパン(時間軸)や目標とする値上り率によってまったく異なるという点。そして(意識する・しないにかかわらず)リターンの源泉をどこに求めるのかによっても、ぜんぜん違ったものになるという点です。

以下で書いていくのは、「2~3年くらいの投資スパンで、2倍になりそうな銘柄を探し、そこに投資する」という投資スタンスを前提にしています。

その前提で読んでいただければ幸いです。

では、ポイントから。

① 2~3年の投資スパンで(株式に)投資をする場合、「業績」が株価を左右する重要な要素になる。

② 将来の「業績」を予想する上で重要なポイントは、その企業がどのように競争優位をつくり出しているのか、という点 - 特に、「既に市場がある分野において、圧倒的な競争優位性を生み出すビジネスモデルを構築している企業は、競合他社からシェアを奪って成長していく(可能性が高い)」。

③ 企業の成長性や競争優位性を判断する上で、重要視している「6つのポイント」がある。

と、いった点です。

では、詳しく。


1.資産運用の勝ち筋は?

当然ですが、「投資戦略」がとても重要です。

(前述のように)私の基本スタンスは、「2~3年くらいの投資スパンで、株価が2倍になりそうな企業を探す」です。

そのための土台は「業績」になります。

1年以上の投資スパンになると、「業績」が株価を決める大きな要素になると思っています。

一方、(これは個人的な意見ですが)短い時間軸の場合、株価を決める要素は多くなり、またその都度、各要素の寄与度も異なってくるので、投資判断の難易度が格段に上がるように思います。ですので、私は「なるべく簡単な2~3年の時間軸」で考えるようにしています。

そして、「業績」を土台にした上で、「小型株 × 成長企業 × 割安株」を狙っています。

小型株とは、概ね「時価総額が500億円以下」。

成長企業とは、「今後3年くらいの時間軸で、当期利益が年率で20%以上伸びる企業」。

割安株とは、「PERが10倍以下(特別なケースでも、最大13倍まで)」といった基準です。

「2~3年で2倍」は、かなり高いリターンになります。それを実現する可能性が高いのは、「横綱」的な企業ではなく、「十両」や「前頭」的な企業だろうと考えています。

加えて、重要な指針になるのが「既に市場がある分野において、圧倒的な競争優位性を生み出すビジネスモデルを構築している企業は、競合他社からシェアを奪って成長していく(可能性が高い)」というポイントです。

「既に市場がある」方が、新しく市場を創造する場合よりも確実性が高まります。

また、既存ビジネスの中には「業界のあたり前」や「業界の慣習」、「多くの企業がやっている通常のやり方」といったものがたくさんあります。

しかし、そうした「あたり前」の中には、古くなってしまい、企業の売上げや利益率にネガティブな影響を与えたり、現場オペレーションを劣化させたりするものがたくさん存在します。

また、業界の「あたり前」通りにやっていると、コスト構造や商品・サービスの品質が「平均的」になり(その傾向が高い)、特別に高い利益率や差別化をすることができないケースが多くなると考えます。

そうした「ネガティブに作用する”あたり前”」を吹き飛ばすようなビジネスモデルを開発した企業は、ライバル他社からシェアを奪う可能性が非常に高くなると考えています。

なので、そうした企業を見つけることができれば、「好業績への転換」や「好業績の継続」が期待できる上、結果として「株価の上昇」も期待できる(のではないか)と考えています - そして、そうした企業に「割安」の株価で投資することができれば、高いリターンにつながるのではないか、と。

2.成長企業を見極めるポイント

「成長する企業」を見極める上で、いくつか基準になるポイントを持っておくと考えやすくなるように思います。私の場合は、以下のポイントです。

① 十分なサイズの市場がある中でビジネスを展開している。
② その企業にとって有利な市場構造になっている。あるいは、市場構造を味方につけている。
③ お客さんが、わざわざその企業から購入する強い理由があり、その理由は継続的に存在し、機能しうる。
④ (上記と重なりますが)強い競争優位が存在する。
⑤ 現場オペレーションが強い。
⑥ 優秀な経営者が経営している。

わかりにくい点だけ、少し補足しておきます。

②は、どの業界にも「業界の構造」や「競争の構造」といったものがあり、そうした「構造」は個別企業の戦略や努力よりも通常強くなります。

なので、「その企業は、どのような構造の中でビジネスを展開しているのか?」は、そのままその企業の業績を大きく左右します。

その企業が(その企業にとって)有利になる構造の中にいるか、その構造を味方につける立ち位置をとっているかが、その企業の業績の肝になるわけです。

例えば、ユニクロは「製造小売り」というオペレーションに移行することで「品質を維持したまま、価格を大きく引き下げる」ことを実現しました。その結果、本来なら競合するはずのメーカー、ブランドよりも遥かに低価格で商品を生産し、販売しています - 市場の「価格構造」の中で、ユニクロだけが「低価格なのに、品質は良い」という特別な位置取りを可能にしました。

②~④は概ね同じようなことを言っているのですが、(構造もあわせて)何らかの方法で競合他社と差別化し、お客さんがわざわざその会社を選ぶような状況をつくり出すことが必須だ、ということです - あるいは、その会社が「唯一無二の存在」になるか。

④をあえて加えたのは、②と③以外の方法で競争優位をつくり出している場合もあるかも・・・といった意図からです。

3.(事例)ライフドリンク カンパニー(2585)

上記したことを、実際の企業で確認してみたいと思います。

とてもわかりやすいので、ライフドリンクカンパニー(2585)を事例にしてみます。

ポイントは、「商品を絞り、少品種大量生産と内製化を進めることで、圧倒的なコスト競争力を築いた → 価格構造の中で、他社が追随できない圧倒的な低価格を実現した」といった点です。

そして、そのコスト競争力を武器に、「価格に敏感な消費者で構成される低価格帯市場で勝負する」という戦略をとっている、と。

コスト競争力を武器にしたその戦略は業績に現れ、株価はその業績に反応して上昇してきました。

ライフドリンク カンパニー(2585)の上場来の株価チャート

「投資」という視点からだと、「同社の戦略の優位性に、いかに早く気付くことができるか?」が勝負になります。

以下は、同社の売上げ・営業利益・当期利益の推移です(単位:百万円) - 同社は、2021年12月21日に上場しています。

同社の決算短信から数字を抜粋
同社の決算短信から数字を抜粋
同社の決算短信から数字を抜粋

そして、同社の株価とPERの推移が以下のグラフです - 同社は毎年、通期の決算発表を5月中旬に行いますので、株価は5月末の値。PERは「5月末の株価 ÷ 新しい期の会社予想EPS」で計算しています。

同社の株価と、同社の決算短信の「今期の会社予想(EPS)」からグラフを作成

ポイントは、2022年5月末くらいまでに同社が「有望」であることに気付くことができれば、大きな投資チャンスを手にすることが出来ていた、という点です。

その翌年(2023年5月末)になると、PERは19.2倍まで拡大していますので、「投資」という視点からだと「やや高い」と感じます - 言い換えると、11.2倍の時点で投資が出来ていれば、(業績の向上とあわせて)PERの拡大もリターンとして享受することが出来た、と。

以下は、同社の株価を「2021年12月末=100」として指数化したグラフです。

同社の過去の株価から計算し、グラフを作成

2022年5月末くらいまでに投資できていれば、その後の株価上昇にしっかりと乗れたことがよくわかっていただけると思います。

で、問題は「どうすれば、早く気付くことができるのか?」という点です。

そのひとつの方法が「このような企業は、業績を向上させる可能性が高い」という「典型的な戦略パターン(=勝ち筋)」を持っておいて、日頃から上場企業のリサーチをしておく。その中で、その戦略パターンに当てはまる企業を見つけることができれば、その企業は「有望な投資先になる」というやり方です - あまりにも「あたり前」すぎて申し訳ないです。すみません。

上記した「戦略パターン」が、この投稿の最初の方に書いた「既に市場がある分野において、圧倒的な競争優位性を生み出すビジネスモデルを構築している企業は、競合他社からシェアを奪って成長していく(可能性が高い)」という点です。

「あれ、この企業はその戦略パターンに当てはまるかも?」と感じた企業を詳しくリサーチし、当てはまるようなら「有望な投資先候補」になります。

ライフドリンクカンパニーのケースで、この部分を少しご説明します。

同社は1950年に「お茶葉の卸問屋」として創業した会社です。

その後、「お茶」から「ソース」や「加工食品」へと事業を多角化していったのですが、その多角化がうまく行かず、2015年にPEファンドが買収することになりました。

PEファンド経営の下、多角化路線から「水・お茶・炭酸水」に商品を絞り込み、低価格(=コスト競争力)で勝負する路線に転換します - 以下は、同社の決算説明会資料の中にある「事業の絞り込み」のプロセスです。

2023年3月期 決算で開示された同社の決算説明会資料より

そして、以下がコスト競争力を引き上げるための取り組みです - 「少品種大量生産」、「ペットボトルの内製化」、「生産工場の全国展開」。

2022年3月期 決算で開示された同社の決算説明会資料より
2022年3月期 決算で開示された同社の決算説明会資料より

コスト競争力の向上にとっては、ペットボトルの内製化がとても大きな効果を発揮したようです。

加えて、低価格帯市場では(当然ですが)消費者も小売店も「価格」にとても敏感になります。ですので、「安い価格」は販売チャネルの開拓営業においてもとてもパワフルな武器になります - 販売チャネル開拓が速く・順調に進むと、売上げ・利益の拡大ペースも速くなる。

また、同社は「直販」にも注力しており、同社HPや楽天市場などを通じて積極的に販売を行っています。ちなみに、同社は楽天市場において「2021年 年間総合ランキング 1位」を獲得しており、上場のタイミングでは既にしっかりとした直販(EC)オペレーションを保有していたことになります。

2022年3月期 決算で開示された同社の決算説明会資料より

そして、こうした一連の戦略やオペレーションを指揮しているのが、ファンドから送り込まれた若い経営陣になります。

こうした戦略や直販の実績、ファンドによる経営などは同社が上場する際に広く広報されています。また、「2022年3月期の決算説明会資料(2022年5月16日開示)」の中にも多くが記載されていますので、情報としては入手可能でした。

ですので、①アンテナを高くしておくこと、②リサーチをする手間をかけること、③そのリサーチの際にはポイントを絞ったリサーチをすること、といったことをすれば、誰でも早い段階で同社を発掘することは可能だと思います - 個人的には、ビジネスモデルやビジネスのやり方が「(いい意味で)ちょっと違うなぁ~」と感じたら、少し深くリサーチしてみるのがいいように思います。

それでも「不確実性」は残るのですが、それは投資をする上ではどうしても避けて通れない部分です - 要は、間違えること・外れることがあるということ。

ただ、「間違えた時の損失をなるべく小さくする」ための対策は必要で、そのひとつが「割安な価格で投資をする(PER 10倍以下)」になります - リターンを大きくするための方法でもありますし。

4.まとめ

たくさん書きましたので、再度、ポイントをまとめておきたいと思います。

まず(ここで書いているのは)、投資スタンスとして「2~3年くらいの投資スパンで、2倍になりそうな銘柄を探し、そこに投資する」というやり方を前提にしています。

2~3年という時間軸の場合、「業績」が株価を決める大きな要素になります。

その「業績」を判断する場合、「業績が向上する”勝ちパターン”」的なものを知っておくと判断しやすい。

そのひとつが、「既に市場がある分野において、圧倒的な競争優位性を生み出すビジネスモデルを構築している企業は、競合他社からシェアを奪って成長していく(可能性が高い)」というポイントです。

そして、その企業の成長性や競争優位性を判断する上でポイントになるのが、以下の6つです。

① 十分なサイズの市場がある中でビジネスを展開している。
② その企業にとって有利な市場構造になっている。あるいは、市場構造を味方につけている。
③ お客さんが、わざわざその企業から購入する強い理由があり、その理由は継続的に存在し、機能しうる。
④ (上記と重なりますが)強い競争優位が存在する。
⑤ 現場オペレーションが強い。
⑥ 優秀な経営者が経営している。

最後に、高いリターンを狙う場合、「小型株 × 成長企業 × 割安株」という指針が有効になると考えています。

こんな感じです。

お役に立つ内容だといいのですが・・・。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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