見出し画像

【ひと言】米国経済がリセッションに入る可能性はあるのか?

先週の金曜日(9/6)に米国の雇用統計が発表され、予想よりも弱い数字が発表されました - 14.2万人(結果) vs. 16.5万人(予想)。

予想よりも弱かったもののサプライズとなるような数字ではありませんでしたが、それでも米国の株式市場はかなり下げました。

米国の株式市場は、米国の経済状況(および、それに伴うFEDの利下げステップ)にとても敏感になっているようですが、(個人的には)過剰反応にも感じます。

そこで、(念のため)いくつかの経済指標を確認しておきたいと思います。

ポイントは、
① GDPの68%を占める個人消費は「かなり強い」状況。
② よって、米国経済がリセッション入りするリスクは小さいように思う。
③ リスクがあるとすれば、テクノロジー企業の期待成長率が下方修正されることではないか - それでも、米国経済「全体」がリセッションに入るということはないのではないか。

と、こんな感じですが、いずれも私の個人的な考えですので、注意して読んでください(外れる可能性は大いにありますので)。

では、早速。

1.米国の雇用統計は少しずつ減少しているが、心配は無用なのでは。

以下は、非農業部門の雇用者数の数字です。
(注記)
2020年12月以前に大きな数字の増加・減少があるため、その期間を加えるとグラフ全体のトレンドが見づらくなります。そのため、2021年1月以降のデータをグラフ化しています - 以下のグラフも同じ処置をしています。

米国労働省労働統計局が毎月発表する非農業部門の雇用者数

グラフにするとわかりやすいのですが、トレンドは「減少」です - しかし、心配する必要は小さいように思います。

現状は、コロナ禍からの回復局面においてたくさんの人が雇用されたフェーズはすっかり終わり、米国経済は平常運転になっています。その中で、現状の高い金利(5.25~5.50%)が1年以上続いているので、それがブレーキになって企業活動を抑えているという状況に見えます。

今後も(FEDの金融緩和のペースによりけりだとは思いますが)雇用者数は「減少」の基調が続くのだろうと思います。ただ、景気が悪くて雇用者数が減少しているのではないので、基調としてはそれほど心配することではないのではないか・・・という印象です。

2.個人消費関連の指標はどれも堅調! 米国経済は底堅いのでは。

米国のGDPの中で個人消費の割合は約68%あります。その個人消費に関連する経済指標はずっと堅調を維持しています - 年率5%前後の伸び。

例えば、個人所得。

米国商務省経済分析局が毎月発表している個人所得

上記のグラフは個人所得の「対前月比の伸び率」です。

ポイントは毎月、ずっとプラスで推移していること。そして、昨年の7月から今年の7月にかけて、トータルで+4.9%伸びていることです - 個人所得は高い伸び率で推移しています。

次は、個人支出。

米国商務省経済分析局が毎月発表している個人支出

こちらも足下、ずっとプラスで推移しており、過去1年間では+5.4%の伸びとなっています - 個人所得も個人消費もとても堅調です。

そして、小売売上高。

米国商務省センサス局が毎月発表している小売売上高

こちらは、時々、マイナスの月がありますが、「過去1年間」で見ると+3.5%の伸びとなっています。

これらを見ると、米国の個人消費は堅調で、引き続き米国経済を引っ張る牽引役になっている感じです。なので、景気が急に腰折れすることはないのではないか? と思います。

リスクがあるとすると、テクノロジー業界の期待成長率が高すぎて、それが下方修正されるケースではないかと思っています。

その下方修正によって、テクノロジー業界の雇用や所得が縮小すること - そのインパクトが、結構大きいケースです。

その場合、米国の株式市場は大きく下げると思います(当然ですが) - 特に、ナスダックなどテクノロジー企業を中心に。

しかし、テクノロジー以外のセクターの業績はそれほど大きな影響にはならないのではないかと思っています - 上記の個人消費関連の指標を見ていると、米国経済は引き続き個人消費が牽引していくのではないか、と。

そして、米国経済への懸念から日本株も連日、下げる局面が続いています。しかし、(下がったことで)「買いのチャンス」になっている銘柄もたくさんあるように思います - 今は、そうした銘柄をチェックするタイミングでもあるのかなと思っています。

と、そんなことを感じた雇用統計の数字でした。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?