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【日本株】オカダアイヨン(6294)- 安定成長なのに割安!

今回は、超地味ではあるのですが、「安定成長の会社」について書いてみようと思います。

オカダアイヨン(6294)です。

「小型 × 安定成長 × 割安」という企業で、2~3年の投資スパンで期待が持てると考えます。

では、早速。


1.結論です。

同社は、ビルの解体工事の際に使用される「圧砕機」のメーカーです(後で詳しく説明しています)。

寡占化された超ニッチ市場で大きなシェアを握るメーカーなので、価格設定力があり、利益を確保しやすい市場構造の中でビジネスを展開しています。

既存市場の成長余力もそこそこある(年率5%+α)上に、M&Aを使って周辺領域と海外市場に進出しているので、利益の成長力は年率10%+αを期待できると考えます - 安定成長が期待できる。

にもかかわらず、株価は現在(6/28終値)PER10倍となっており、とても割安です。

よって、今後2~3年のスパンで、楽観シナリオで87%、保守的なシナリオで25%の株価上昇が期待できる企業だと考えます(もちろん、下落する可能性もあります)。

以下にて、ポイントを整理しています。

2.同社のビジネス

同社は「圧砕機」のメーカーです。

圧砕機とはショベルカー(所謂、ユンボ)のアーム(腕)の先端に取り付ける「アタッチメント(”手”のようなイメージ)」のことで、ビルの解体工事の際にコンクリートを破壊したり、砕いたりするための機材です。ですので、都市の再開発やビルの建て替え工事が増えると、需要が増えます(消耗品なので、仕事が増えると需要が増える)。

同社の決算説明会資料より抜粋
同社の決算説明会資料より抜粋

ポイントは、主力商品となる圧砕機において高いシェアを握っている点です - よって、価格設定力が強い(一番上の抜粋資料のシェアをご覧ください)。

圧砕機に加えて、ビルの解体工事に使用する様々なアタッチメントや、「林業」で使われる重機、発電所やダムの建設に使われる「クレーンケーブル」なども製造しています - 周辺領域に参入しています。

同社の決算説明会資料より抜粋
同社の決算説明会資料より抜粋

同社の終わった期(2024年3月期)の売上げは270億円、営業利益27.1億円、当期利益18.9億円です。

また、2024年6月28日の株価(終値)は2,472円、時価総額は207億円、PERは10倍、ROEは12.6%となっています。

3.同社は安定成長型!

圧砕機の市場規模は、国内250億円、輸出100億円で、トータル350億円です。過去5年間と10年間の成長率はいずれも4.9%となっています - 年率5%程度の成長をする市場。

その市場で高いシェアを握っている同社は、市場の成長率程度の売上げ成長は比較的簡単に実現できると考えます。

また、現在、日本では築40年以上の古いビルが「東京ドーム15,000杯分」あると言われているのですが、(低金利を追い風にして)それらの建て替えや再開発の計画が数多く予定されています。同社がビジネスを展開する市場には引き続き十分な成長余力があるのが現状です。

同社の決算説明会資料より抜粋

加えて、周辺領域や林業、発電所、ダムの建設など特殊な重機が使われる領域へ進出し、着実に売上げと利益を拡大してきています。終わった期(24/3期)の売上げ構成比は、以下の資料のようになっています - 圧砕機など重機アタッチメント47%、林業・ケーブルクレーン等16%、修理などアフターサービス12%、海外事業25%。

同社の決算説明会資料より抜粋

以下は、同社の2007年以降の売上げと当期利益のグラフです - 売上げの伸び率は(年率)6.7%、当期利益は(同)9.2%となっています。過去10年に限ると、売上げが(同)10.1%、当期利益が(同)14.4%となります。

同社の決算短信から数字を抜粋
同社の決算短信から数字を抜粋

市場の成長が安定していること、大きな需要が存在すること、同社の実績が安定していることなどから考えると、(今後3年ほどのスパンで)同社の売上げは(年率)5~8%、当期利益は(同)10~13%ほどで成長できるのではないかと考えます。

4.着実に利益をあげる堅実な経営

実は、ここが一番のポイントではないかと思っているのですが、同社は「利益を着実にあげる」という点において、とても堅実です。

以下は、同社の当期利益と当期利益率のグラフになるのですが、リーマン・ショックで大きく利益と利益率が落ち込んだものの、コロナ・ショックの際にはそれほど大きな落ち込みをしていません。しっかりとしたリスク管理とコスト・コントロールが出来ており、確実に利益をあげる経営がきちんとなされているように見えます。

同社の決算短信より数字を抜粋

以下は、粗利と販売管理費のグラフです。粗利率はこの10年間、着実に改善しています。一方、販売管理費率も(リーマン・ショック時を除き)約20%の水準にきちっとコントロールされています。それらの「堅実な管理」が、安定した利益をあげる要因になっているようです。

同社の決算短信より数字を抜粋
同社の決算短信より数字を抜粋

よって、市場が成長すれば(その成長にあわせて)同社は売上げを拡大できる。そして、同社はコスト・コントロールがしっかりなされているので、利益も着実についてくるという経営になっているようです。

5.海外事業がさらなる可能性に!

同社の成長をもう一段高いレベルに押し上げる可能性があるのが「海外事業」です。

終わった期の海外事業の売上げは68億円。売上げ全体に占める割合は25.3%です - 地域別の内訳は、北米70%、欧州17%、アジア9%、その他4%となっています。

以下に、海外事業の売上げ推移をグラフ化しています。

同社の決算短信より数字を抜粋

過去9年間(2014年3月期~2023年3月期)の売上げ成長率は年率14.1%であり、国内事業よりも高い成長率です - 2024年3月期はアメリカでM&Aがあり、売上げが大きく伸びたため、この計算には加えていません。

加えて、営業利益率は国内が9.0%なのに対して、海外事業は13.2%となっており、「より儲かる事業」となっています(ここは、2024年3月期実績)。

よって、海外事業は同社の売上げと利益をさらに成長させる原動力になり得ると考えます。

6.楽観シナリオで87%、保守的シナリオで25%のポテンシャル

以下は、同社の今期を含めた4年間の当期利益と株価の試算を表にまとめたものです - シナリオは3つで、①会社予想ベース、②当期利益が「年率10%」成長するケース、③当期利益が「年率13%」成長するケースです。そして、PERを現状の10倍と、拡大した場合の13倍で株価を試算しています。

まず、①会社予想のケースです。
PERは現状の10倍のままと仮定しています。すると、3年後の株価は3,100円。上昇率は25.4%です。会社予想(中期経営計画)は、当期利益の伸び率が年率8.6%になっていますので、3年後の株価はその伸び率の3倍といったところです - あまりパッとしない試算になりますね。

同社の中期経営計画をベースに、当社にて試算

次に、②当期利益が年率10%で成長するケースです。
PERは現状の10倍のままとしています。こちらも「やや保守的」な試算です。すると、3年後の株価は3,280円。上昇率は32.7%となります。

仮に、PERが13倍に拡大すれば、株価は4,264円。株価の上昇率は72.5%となります。

当期利益が年率10.0%で成長すると仮定したケース

最後は、③当期利益が年率13%で成長するケースです。
PERは13倍に拡大すると仮定しています。その場合、3年後の株価は4,623円。上昇率は87.0%です。PERの拡大が大きなインパクトを持っていますね。

当期利益が年率13.0%で成長すると仮定したケース

利益成長は(大きな経済の落ち込みなど、特別なことがない限り)そこそこ確実性が高いと思うのですが、PERの拡大は予想しづらいところがあります。

以下は、2019年以降の同社のPERの推移です。平均は10.5倍ですので、ほぼ現状と同じ水準です。一時的に14~16倍に拡大していますが、すぐに10倍近辺に縮小していますね。

同社のPERの推移

これまでの業績が堅調に成長しているにもかかわらずPERが10倍と低い原因は、同社の「成長力に期待が持てないから」ではないかと思っています。

(前述のように)圧砕機の市場規模は350億円ほどと大きくありません。その上、同社はそこで40%超の市場シェアを占めているわけで、ここからの成長余力は限られるように思われます。それが、PERが低い原因ではないかと考えます。

逆説的ですが、周辺領域への進出や海外事業が着実に成長していく場合、「同社の成長性」に対する評価が変わり、PERが拡大する可能性もあるのではないか(と、やや楽観的に)考えます。

7.リスクは成長しないこと

最後にリスクについて整理しておきます。

リーマン・ショックやコロナのような予期せぬ出来事は、もちろん大きなリスクです。株価は大きく下落する可能性があると思います。

ただ、より現実的なリスクは、同社の成長がほぼゼロになってしまうことではないかと思っています。

例えば、日銀が金利を引き上げたが、国内経済へのダメージが予想以上だった。そのため、再開発やビルの建て替えの計画が延期され、売上げがゼロ成長になってしまった、といったシナリオです。

その場合、PERも大きく縮小すると思われますので、株価はかなり大きく下落すると思います。

例えば、以下は「売上げゼロ成長」で「PERが5倍」になったケースです。株価は50%ほど下落することになります。このあたりが最悪ケース・シナリオになると考えます。

当期利益がゼロ成長と仮定したケース

8.まとめ

とても地味な会社「オカダアイヨン(6294)」について書いてみました。

現在、時価総額207億円の「小型株」です。

過去10年間の売上げ成長率は10.1%、当期利益の成長率は14.4%と「安定した成長」をしている会社です。

にもかかわらず、現状のPERが10倍と「割安」になっています。

今後3~4年、これまで通りの成長を維持できれば、かなり高いパフォーマンスが期待できるように思えるところが同社の魅力です。

こんなところです。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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