【日本株】霞が関キャピタル(3498)| ここから投資すべきかどうか?
先週(10/2)、霞ヶ関キャピタル(3498)が2024年8月期の決算を発表しました。
素晴らしい決算内容だったので、そのことについて書いてみたいと思います。
特に、「ここから、霞ヶ関キャピタルに投資をすべきかどうか?」について考えてみたいと思います。
ポイントは、
① 決算は素晴らしい内容だった。特に、とても野心的な利益目標を達成した点がすごい!
② 今期(2025年8月期)の会社計画(当期利益)は、前年比+100%増の100億円! - 順調に行けば、株価は2倍になるかもしれない(?)
③ しかし、「投資すべきかどうか?」となると、「投資しない!」が個人的な結論になる。
と、いったところです。
では、早速。
1.2024年8月期の決算内容は?
素晴らしい決算でした。
売上げは656億円で、前年比+76.2%。
営業利益は85億円で、同+92.2%。
当期利益は50億円で、同+144.9%でした。
同社の1年前(2023年8月期)の当期利益は20億円。その業績発表の際に開示された2024年8月期の当期利益の計画は50億円 - 1年で2.5倍の野心的な計画でした。
その野心的な計画を、きっちり達成したのが今回の決算で、それは素直に「すごい!」と思います。
同社の「稼ぐ力」と「計画をきっちり達成する力(≒粘り強さ)」がとても強いことを証明していると思います。
あわせて、2025年8月期の会社計画も発表されており、以下の数字になっています。
売上げは950億円で、前年比+44.6%。
営業利益は165億円で、同+93.3%。
当期利益は100億円で、同+99.2%。
終わった期に続き「当期利益が2倍!」という野心的な計画ですが、今回の決算内容を見ていると「今期の計画達成も実現可能なのでは!」という気になってきます。
加えて、2025年8月期~2029年8月期の「次の5年間」に対する中期経営計画も発表されており、利益予想は以下となっています。
2029年8月期の当期利益の目標が500億円となっており、なんと終わった期の10倍です!
2.なぜ、同社は業績を伸ばせるのか?
同社のことを知った時、個人的に感じたのは「この会社のビジネスモデルはいいなぁ~」という感想と、「物流倉庫、家族やグループでの旅行をターゲットにしたホテルといった同社の狙いは鋭いなぁ~」といった戦略性でした。
今は、その感覚がさらに強くなり「どうして、同社はこんなに凄いのだろう!」という驚きに変わっています - 私が消化できる範囲を遥かに超えている感じです。
一応、自分なりに「同社の凄さ」をまとめると、以下のポイントになります。
① 同社が注力する分野(物流倉庫、3人以上で泊まれるホテル、ホスピス、ドバイ)はいずれも(それぞれの個別理由に基づく)成長分野であり、その分野にチャンスがあることを発見し、先行している同社には大きな地の利がある。
② 開発不動産をずっとバランスシートに抱えるのではなく、早い段階で開発投資家や長期の投資家に転売する同社のビジネスモデルはリスクが小さく、売上げをあげやすい(ように思える) - 加えて、物件開発が完了した後は、アセット・マネジメント業務を担うので、ストック・ビジネスとして積み上がる構造になっている。
③ 「次の成長」に向けた準備もしっかりされており、ホテルやホスピスの運営会社の買収、REIT事業への参入準備なども着実に進んでいる様子。
④ 同社には、若くて優秀な人材が集まっているようで、そうした人材が(古い発想ではなく)新しくて効率的なマネジメントによってがんばって働いている(ように傍からは見える)。その結果、とても機能的で柔軟な組織を形成しているように見える。
このあたりが、(私が考える)同社の強み(=凄さ)です。
こちらは、以前に書いた同社に関する note です。
ただ、同社の成長があまりにも凄いので、「むしろ、不安になる」という部分もあります。
「不安」とは、具体的に以下です。
① 一度に、たくさんやり過ぎなのでは? - 物流倉庫、ホテル、ホスピス、ドバイと4つの完全に異なる分野を同時並行で進め、加えてホテルとホスピスについては運営まで手掛ける意向 - あれもこれもとやり過ぎて、弱い部分や不完全な部分がたくさん出てきたりしないか?
② 事業の急成長に組織づくりが追い付けるか? - 組織づくりは案外、時間がかかるもの(特に、企業文化を維持・成長させるという点において)。今のペースで事業が拡大すると、組織作りが追い付かず、同社のビジネスのクオリティーが段々と下がっていく、といったことにならないか?
これは、私の取り越し苦労かもしれませんし、今の若い人達は(私よりも)もっと柔軟で優秀なので、上記のような心配はないのかもしれません。
ただ、そのあたりがとても大きな心配(というか、懸念)であることは事実です。
3.バリュエーションはどうなの?
10/4の終値(18,650円)をベースにしたPERは、18.3倍です。
同社のPERとしては「割安」です。
今後1年間で「PER 30倍」近辺まで値上りする可能性は十分にあるように思います。
以下は、同社の上場以来の ①株価、②EPS(四半期毎に同社が発表した今期予想EPS)、③PER(①÷②で計算)のグラフです。
見ていただきたいのは3番目の「PERの推移」のグラフです。
過去1年間、同社のPERは13.0~33.8倍で推移してきました。
1年前の決算発表では「会社予想(当期利益)」として大きな数字(50億円)が発表されましたが、投資家の多くはまだその数字を十分に信用することはできないので、低いPERのままになっています。
しかし、四半期決算が発表される度に「業績への信頼」が高まり、PERが少しずつ拡大していったという流れでした。
今年度も同じような流れになるのではないかと考えます。
同社の今期の当期利益計画は「100億円」です。しかし、まだまだそれを十分に織り込みむには時間がかかると思います。(昨年と同じように)四半期決算の発表などをきっかけに、少しずつPERが拡大していくのではないかと思っています。
そして、「30倍」あたりがひとつのめどになるのではないか、と。
ですので、現在のPER18.3倍は(同社にとっては)「割安」の可能性が高く、株価はもう少し「上」まで行く可能性は十分にあると思います。
ご参考までに、以下は「異なるPERで試算した同社の株価」と、「その株価になった時の騰落率」になります - 今期の予想EPSは1,016.40円。それに、それぞれのPERを掛けています。左から2番目は「現在の株価(18,650円)」です。
PERが決算前の数値(30倍+α)になると、かなり高いリターンになりそうです!
4.同社は「投資すべき銘柄」なのか?
結局、ここが最大のポイントです。
個人的な考えですが、新規で投資をする場合には「投資しない!」です。
一方、すでに保有している場合は、「含み益がある場合には一部売却して、利益を確定する」。残りの株式を継続保有して、「PER25~30倍くらいを売却のターゲットにする」といった感じが個人的な意見です。
ターゲットするPER(あるいは、株価)に幅があるのは、そう遠くない将来に不動産市況(および、株式市況)が大きく変化する可能性はあると思っているので、売却のタイミングは不動産市況や株式市況によってやや変化するという感じです - 市況が悪くなると低いPERでも売却。良いと高いPERまで待つ、と。
同社については(前述したように)とてもポジティブなのですが、それでも「投資しない!」と書いた理由は、以下の3つになります。
① 業績があまりにも良すぎて、逆に怖い。
② 現状の不動産市況は「ややオーバー・バリュー(ややバブル)」なのではないかと感じている。
③ ベストケースとワーストケースの比較 - ワーストケース時の下落率がとても大きくなりそう!
①は、前述した点です。
複数の専門領域を、あまりにも素晴らしく運営されていて、逆に怖くなります。(繰り返しになりますが)私の理解や経験が追い付いていないだけの可能性も十分にあり、単なる取り越し苦労かもしれませんが・・・。
ただ、「わからなくなったものに投資するのは危険!」という個人的な経験則からです。
②は、多くの人が懸念している部分です。
日本のインフレ率が2.0%以上を維持し、短期金利が0.5%以下、長期金利が1.5%以下といった環境が続けば、不動産の好調は継続するかもしれません。
ただ、インフレ率が2.0%を割り込む可能性は十分にあるのではないか・・・という懸念を持っています。
また、日本の個人消費が弱いことを考えると、デフレ圧力が増す可能性も十分にあるように思います - その場合、不動産には逆風になります。
加えて、物流倉庫とホテルは多くのプレーヤーが参入しているので、市場が飽和する可能性も考慮する必要があると思っています。
少なくとも、これから5年くらいの期間に1度や2度の「不動産市況への逆風」はあるだろうと思っています。それが、1~2年以内に来ることもあるかもしれない、と。
その時に、どれくらいの損失になるのか? が、③になります。
あくまでも「試算をするための参考値」ですが、今期(2025年8月期)の当期利益が(100億円ではなく)75億円だった場合、株価はどうなりそうか? という試算が以下のグラフです - 100%成長ではなく、50%成長だった場合というケースです。
ポイントは、業績が下振れする場合(=成長率の低下)、PERも縮小するという点です - なので、ダブルでやられます。
仮に、今期の当期利益が75億円だった場合、現在の株価(18,650円)はPER23.9倍になります - かなり割高です。
PERが15倍まで縮小すると、株価は▲37.3%下落してしまうことになります。PER13倍なら▲45.7%なので、ほぼ半分になってしまいます。
これらは、あくまでも試算値ですが、現状のPER(18.3倍)と利益成長の予想(=期待)が高いので、「計画通りの利益成長にならなかった場合」の反動がとても大きくなる組み合わせになります - 外れた場合の損失が大きくなる、と。
と、こうした理由から「投資しない!」が個人的な結論です。
補足として追記すると、「霞ヶ関キャピタルから期待できる値上り率は、今後1年ほどの期間で60%ほどになりそうです。そのリターンであれば、もっと下落リスクを抑えた銘柄で実現できる可能性が高そう」といった考えもあります - 損失をなるべく抑えることは、リスク管理としても重要ですし、資産運用の結果を向上させる上でもとても大切になりますので。
と、個人的な考え方を書いてみました。
多分、異論はたくさんあると思いますし、上記の私の考えは間違っている可能性も十分にあります。
株式投資には常に「不確実性」がついて来るので、いろいろな角度から考えることが大切です。そんな「違う角度からの意見」として読んでいただければ幸いです。
こんな感じです。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。