【反省会】7/29~8/23を振り返る(2/3)
少し時間が空いてしまいましたが、8月前半の急落と、その後の回復局面について、【反省会 第2段】という視点で書いてみたいと思います - 第1弾は以下の記事です。
ここでは、主に代表的な銘柄のパフォーマンス(7/29 → 8/5、7/29 → 8/23)について整理してみたいと思います - なので、オチはありません。
では、早速。
1.時価総額トップ10銘柄の騰落率は?
以下のグラフは、7/29 → 8/5の急落時と、7/29 → 8/23のパフォーマンスについて騰落率を表しています。
まず、日経平均は(7/29 → 8/5の期間に)▲18.2%急落しましたが、7/29 → 8/23で見るとほぼフラットの▲0.3%の下落です。
一方、ドル円はそれぞれ▲6.4%、▲5.3%と円高に振れた状態です。
そうした中、時価総額トップのトヨタ自動車とNo.2の三菱UFJは7/29の株価を回復できておらず、マイナス・テリトリーにいます。
同じく、NTTと東京エレクトロン、信越化学工業もマイナス・テリトリーです。
一方、ファースト・リテイリング、キーエンス、日立製作所などはプラス・テリトリーとなっており、(上記の銘柄とは)結構大きな差となっています。
2.セクター別のパフォーマンスは?
自動車と銀行セクター(の主な銘柄)のパフォーマンスが以下になります。りそな銀行以外、マイナス・テリトリーにいます。
自動車は「円高」の影響が大きいのだろうと思います。自動車メーカーはもともと「今期は減益予想」でしたが、円安の進行で「ひょっとして、上方修正があるかも?」という期待が膨らんでいたところだったので、(その期待が外れ)株価も「もとの減益予想」に収れんしている、という印象です。
銀行は、日銀の利上げ後の(金融市場の)混乱によって「国内の長期金利は上昇する」という前提が崩れ、国内金利は低下。米国の金利も(利下げが現実味を帯びてきており、それにより)低下傾向ということで、株価も軟調です。
半導体関連はいろいろな反応です。
東京エレクトロンや信越化学工業はマイナスなのに対して、アドバンテストやレーザーテックはプラス・テリトリーです - このセクターはあまり詳しくないので、数字だけ記しておきます。
円安の流れの中で株価が堅調だった「造船」関連ですが、こちらもマイナス・テリトリーがほとんどです。
そうした中で、IHIのパフォーマンスが群を抜いています。8/6に1Qの決算を発表したのですが、その決算が好調で、それを反映した株価の動きかなと思っています。
以下は、有名企業で、かつ個人的に気になっている企業です。
楽天グループだけがプラスになっています。楽天も8/9に発表した中間決算が好調であり、それを反映した株価の動きかなと思っています。
最後は、「外国人投資家の持ち株比率が高い企業」です。プラスとマイナスが混在しています。
急落からまだ3週間ですが、銘柄ごとに大きな差が出ており、改めて「銘柄選定の重要性」を痛感します。
あと、急落時に買いに入るガッツ(=落ちて来るナイフを摑かむ勇気と、それをするための日頃からの情報収集)の大切さを痛感しています。
3.東証の売買動向は?
以下のグラフは、7/22の週から8/13の週までの(東証プライム市場の)各週の投資家別の売買代金です。
まず、象徴的なのが「赤のグラフ」の外国人投資家です。7/22と7/29の週は売り越し。そして、急落のあった8/5の週とその翌週は買い越しです。
(多分ですが)急落後の日本株の水準は「安い」と考える外国人投資家が多いのだろうと思っています - 急落したところで買いに入ったファンドの中には、大きなリターンを得ているところもあるのだろうと推測します。
一方、国内法人はずっと買い越しです。
そして、個人投資家は前半2週が買い越し、急落後は売り越しとなっています。
個人投資家さんは「逆張り」が多いのですが、この4週間は「順張り」風になっています。株価の急落で追証などが発生し、そうした影響で「相場が下がっている時に、売らざるを得なかった」といったことも多かったのかなと想像します。
4.気になった点は?
4-6月期はドル円が150~160円で推移していましたので、輸出企業を中心に好業績の決算発表が多くありました。
ただ、(ソニーが代表例なのですが)為替差益を除くと、増益がほとんどなくなるという企業も多くありました - 現地通貨ベースで、それほど稼げていない。よって、(為替がかなり円高に振れている)2Q以降の業績にはちょっと不安が残ります - なので、為替を除いてもしっかり増益になっている企業を選別しておくのが重要そうです。例えば、ファースト・リテイリングなど。
あと、(これはオリエンタルランドの事例ですが)賃上げによる人件費の増加が思いの他、収益を圧迫しているケースもありました。オリエンタルランドのような価格設定力の強い企業でも人件費アップは利益を直撃していますので、そこまで価格設定力の強くない「普通の企業」だと、今後の収益性への影響が気になるところです - しっかりとした利益率を確保できているか? は(当然ですが)重要ですね。
それに(ありきたりですが)今後の為替動向が大きなカギになるように(改めて)思います。
再び、円安が進めば「輸入インフレ」が継続し、実質金利のマイナス幅が維持され、株式や不動産の価格が上がりやすい環境が継続するだろうと思います(=もちろん、株式投資にはプラスです)。
一方、ここからもう一段の円高に振れるようであれば、「輸入インフレ」は一服するかもしれません。しかし同時に、企業収益の伸び率が鈍化し、加えて弱い国内消費がデフレ圧力となってしまい、国内経済は再び「デフレ的な状態」に逆戻りするリスクがあります。
現状(および、これから数か月後)の国内の金融環境は、コロナ前の金融緩和状態よりもタイトであるため、デフレ的な環境は日本経済にとても大きなインパクトを持つかもしれません。当然、株式や不動産には大きなマイナスになります - これが、日本株にとっての最大のリスクのように思います。
と、こんな感じです。
オチがなく、主な銘柄の「騰落率の整理」といった内容でしたが、最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
※ 第3弾で、今後について少し考えてみたいと思います。
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