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【日本経済】7月の消費者物価指数 - コアコア指数は2.0%を下回ったけど、大丈夫なの?

昨日(8/23)、7月の消費者物価指数が発表されましたので、簡単な記事を書いてみたいと思います。

ポイントは、コアコア指数が前年比+1.9%と(日銀の目標である)+2.0%を下回りました。物価上昇の基調は「低下傾向」です。拙速な利上げや、それに伴う円高は、「デフレへの逆戻り」というシナリオにつながるリスクがあるのではないか? という点です。

では、早速。

1.コアコア指数が、2.0%を下回ってきました!

7月の消費者物価指数は、総合指数が(対前年比)+2.8%、生鮮食品を除くコア指数は+2.7%、生鮮食品とエネルギーを除くコアコア指数は+1.9%のそれぞれ上昇となりました。

対前「月」比にすると、それぞれ+0.2%、+0.3%、+0.1%の上昇です。

ポイントは、コアコアが2.0%を下回ってきたことだろうと思います - 物価上昇の根底にある基調は「鈍化傾向」ということだろうと。

それでも、総合とコアは上昇しているのですが、その原因は「光熱・水道」の上昇です - 対前「年」比で12.9%、対前「月」比でも+2.8%の大きな値上がりになっています。

背景は「政府の補助の終了」です。

2023年1月からスタートしていた電気代・ガス代の負担軽減策が一旦終了した影響で、7月の電気代と都市ガス代が大きく上昇しました。それぞれ、対前年比で+22.3%、+10.8%の上昇です。

2.物価上昇のトレンドをチェックする。

過去1年間の消費者物価の推移から「トレンド」を見ると、以下のグラフのようになっています - 対前「年」比の伸び率のグラフです。

総務省統計局の発表データより、当社が作成
総務省統計局の発表データより、当社が作成
総務省統計局の発表データより、当社が作成

グラフの通り、総合指数とコア指数(上の2つ)は、伸び率自体は昨年よりも低いのですが、今年に入ってから「下落傾向」が止まっている感じです。

一方、コアコア指数(3番目)は、「下落」が継続しており、基調として「下落傾向」と言えると思います。

コアコア指数だけが下落している原因は(上記のように)「エネルギー」です。以下は、「光熱・水道」の対前「年」比伸び率です。

総務省統計局の発表データより、当社が作成

電気代・ガス代は、政府の補助によって対前年比でマイナスになっていたのですが、補助の終了とともにプラスに転じており、これが総合指数やコア指数を押し上げる原因になっています。

3.これを、どのように評価すればいいのか?

「政府からの補助が終わったので、再び消費者物価が上昇している」という現実を、どのように評価すればいいのか迷うところです。

そのまま「物価上昇が続いている」と評価すればいいのか? それとも「政府による補助は”ノイズ”と考え、基調を示すコアコア指数を重視する」べきなのか?

個人的には後者の方が自分にはしっくりきます。実際に、エネルギー価格の上昇の原因となっていた原油、石炭、天然ガスなどの価格は一時期よりもかなり低下しています。

また、円安も原因のひとつですが、それも一服状態です。

すると、現実の物価上昇はかなり鎮静化しているのが現実。

むしろ、「政府の補助」や「政府の補助が終了」というノイズを加味した(歪んだ)消費者物価指数をベースに、金融政策が行われる方が実態にあわないように感じます - あくまでも、個人的な考えです。別の考えもあると思います。

と、言うことで、消費者物価の上昇率は「段々と鈍化している」。

で、次の注目点は「どこまで鈍化するのか?」という点かなと思っています。1.0~2.0%のレンジを維持できるのか? それとも、1.0%を下回ってくるのか?

仮に、1.0%を下回る地力しかない中で、利上げや円高が加わると、「デフレへ逆戻り」というシナリオが現実味を帯びてくるかもしれません。これが最大のリスクのように感じています。要ウォッチですね。

7月の消費者物価指数を見て、感じたことです。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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