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【ひと言】9月の東京都区部の消費者物価指数と投資戦略について。

9/27(金)に、9月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)が発表されましたので、それについて少し書いてみたいと思います。

ポイントは、

① 9月のCPIは「前月比」で下落した!

② エネルギー価格の上昇が止まれば、CPIの上昇も止まるのではないか? - デフレ圧力は予想以上に強いのでは?

③ 投資テーマは、「脱デフレによる日本経済と日本企業の回復」といったマクロ視点ではなく、「経営やビジネスモデルの変革によって稼ぐ力を強化した企業」というミクロ視点なのではないか?

と、いった感じです。

では、詳細を。

9月の東京都区部のCPIは、「前年比」だと総合が+2.2%、コアが+2.0%、コアコアが+1.6%でした。

上のグラフは物価指数の推移です。
一番上の太い線が2024年。左の2つ(総合指数と生鮮食品を除く総合指数(コア))は9月、下落しています。一番右の生鮮食品とエネルギーを除く総合指数(コアコア)は9月はほぼフラットになっています。

「前月比」だと、それぞれ▲0.2%、▲0.3%、+0.2%となっています(季節調整値)。

総務省統計局発表の資料(2024年9月27日)から数字を抜粋

「前月比」で総合とコアがマイナスになった原因は、政府による電気代・ガス代への補助があったためです - 補助により、光熱・水道が(前月比)▲8.4%と大きく下落しました。

一方、コアコアは+0.2%とプラス圏を維持していますが、プラスになった原因は「お米の値上り」です - 穀類が(前月比)+2.8%の上昇。

なので、お米の値上りがなければ、コアコアは(前月比)+0.06%になっていました。

と、いうことで、(一過性の値上りや)エネルギー価格の上昇がなければCPIは低い伸びになってしまうのが現状です(年率換算で1.0%以下の上昇になるのではないか?)。

そして、石油、石炭、天然ガスの価格は2022年の高騰期に比べるとかなり下がっていますので、円安の進行が止まれば、輸入されるエネルギー価格の上昇も止まってしまうのではないでしょうか。

WTIの原油先物価格の推移(過去5年)
天然ガス(先物)の価格推移(過去5年)
石炭(先物)の価格推移(過去5年)

来週の火曜日(10/8)に8月の毎月勤労統計と全世帯家計調査が発表されますので、その中にある実質賃金や消費支出の動向を確認することがとても重要になってきます。賃金の上昇が明確になり、それを背景に消費支出が伸びていると、物価上昇は継続するかもしれません。

しかし、賃金や消費の伸びがそれほどでもない場合、物価上昇は継続しにくいと思います。

そして、(別のnoteにも書いたのですが)中堅・中小企業の収益性は依然として高くなく、そうした中堅・中小企業で働く労働者は(労働者)全体の78%になっていること。

日本人全体の約30%は年金収入を主体とする高齢者世帯であることを考えると、物価が継続的に上昇し、それに個人消費が追い付いていくということは考えづらいようにも思います - 少なくとも、かなり難しい。

そうしたことを考慮すると、「日本経済がデフレを克服する」のはなかなかハードルが高いように感じます。

そして、日本株に対する投資テーマは「脱デフレによる日本経済と日本企業の回復」といったマクロ視点で考えられてきましたが、むしろ「経営やビジネスモデルの変革によって、稼ぐ力を強化している企業」といったミクロ視点の方が的確なのではないか? という考えがますます強くなってきています。

経営改革、ビジネスモデルの変革、新しいビジネスへの挑戦など、個別企業の取り組みに、より注目すべきのように感じます。

こんなことを強く感じた東京都区部のCPIでした。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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