【米国株】アルファベット(GOOGL)の3Q決算。
投資ユニバースを広げ、より多くの「投資機会」をテーブルに載せるために、「米国株式」についても書いていこうと思います。
最初は、アルファベット(GOOGL)です。
昨日、2024年度3Qの決算発表がありましたので、その内容と、「GOOGLに、投資すべきなのか?」について整理してみたいと思います。
※ いつものことなのですが、ここに書いている内容は(私なりに十分に考えた内容ではありますが)私の知見に限界があり、外れる可能性も十分にあるという点はご了承ください。
では、早速。
1.サマリー
3Qの決算は良い内容でしたが、「じゃあ、投資するのか?」と言われれば「NO」となります。
理由は、①主力事業(=検索広告)が衰退傾向、②AI分野で技術力に疑問、の2点が大きな弱点です。よって、「テクノロジーの成長企業」なら、別の企業を探す方が大きなチャンスがあるように思います。
それでも、「継続的にウォッチすべき企業」だとは思います。
特に、①一応、M7の一角であること、②最先端のAI事業で競い合っている企業であること、③AI分野への投資額がとても大きく、その収益性がどうなるかの重要な指標となる企業であること、といった理由からです。
以下に、説明を加えています。
2.3Q(7-9月)の決算は、どうだったのか?
決算自体は良い内容でしたが、「懸念材料もある」という状況です - 以下が、全体のサマリーです。
まず、売上げ、営業利益ともに市場コンセンサスを上回って着地しています。全体の売上げは$88.27bnで、対前年同期比+15.1%の伸びでした - 市場コンセンサスは$86.3bnでしたので、まずまずの売上げです。
また、営業利益は$28.52bnで、+33.6%の伸びとなっています。営業利益率も(昨年の28.0%から)32.0%へと拡大しています。
念のため、1ドル150円換算で円表示してみます。
売上げ 13兆2,402億円
営業利益 4兆2,781億円
当期利益 3兆9,451億円
「四半期決算」の数字がこの規模で、しかも営業利益率が32.0%という高さです - やはり、M7は次元が違う! という印象ですね。
(再び、話を戻しますと)各事業分野の売上げが以下のようになっています。
グーグルの事業は大きく分けて4つあり、①広告事業(検索広告、Youtube広告など)、②グーグル・サブスクリプション事業、③グーグル・クラウド事業、④その他ベッツ(自動運転や生命科学などムーンショットと呼ばれる研究開発分野)です。
売上げを牽引したのは「グーグル・クラウド事業」。その売上げは$11.35bnで、前年同期よりも+35.0%増加しています - ちなみに、市場コンセンサスは$10.86bn。
グーグル・クラウド事業は、(シンプルに言ってしまうと)データセンターを設置し、そこでのコンピューティング能力を販売する事業になります。現在、(AIの普及もあり)多くの企業がコンピューティング能力を求めており、この事業が順調に伸びています。
特に、データセンターのサーバと言えば、エヌビディアのプロセッサH100なのですが、それが現在、品薄で手に入らない状態。そこで「次善の策」としてニーズが高いのが、アルファベット社が開発したTPUプロセッサとなります。TPUプロセッサを搭載したサーバへのニーズが強く、これがグーグル・クラウド事業を牽引しているようです - この分野は引き続き、売上げと利益を牽引すると思われます。
一方、売上げの74.6%を占め、同社の主軸となっている「広告事業(検索広告、Youtube広告)」は、売上げ$65.85bnで+10.4%の伸びでした。
実は、ここがポイントで、広告においてライバルとなるメタやアマゾンの広告事業は年率20%以上の伸びをしています。よって、アルファベットの10%台前半の成長率だと「シェアを失っている」という状況になります - 実際、来年には同社の検索広告のシェアが(世界市場で)50%を下回るだろうと見られており、ここが同社の最大の懸念点になっています。
現状だと、「グーグルの検索広告は、このままジリ貧になっていくのかな・・・」と多くの投資家が考えており、これが同社に投資をできない理由のひとつです - なので、PER24倍という「それほど高くないPER」という評価につながっています。
3.AI事業はどうなのか?
やはり、現在のテクロノジー企業の本命はAI事業です - 「どの会社が技術的にリードするのか?」、「どの会社が実際に”儲け(マネタイズ)”を実現するのか?」といった点がポイントです。
「技術的なリード」という点では、アルファベットは「劣勢」です - 開発中の「Gemini」の評価があまり良くありません(※ 個人的にAIを評価する知識がないので、この点はシンプルなコメントだけです)。
一方、「儲け」については、アルファベットを含めどの企業も未実現です - 現状は、大きな先行投資をしている段階。
ちなみに、同社の3Qの投資額(Capex)は$13.0bn(1兆9,500億円)です - 「四半期」の投資額です! そして、4Qも同レベルの投資が計画されている上に、来年度はさらに投資額を増やすそうです。
「儲け」がなかなか見えてこない状況で、年間8兆円を超える先行投資をしている状況です - そして、その先行投資はライバル企業も同じです。
AI事業に取り組む企業のいずれかが、この先行投資をマネタイズすることに成功すれば、その企業の株価は(当然ですが)大きく反発するのだろうと思います。
一方、仮に「マネタイズの可能性が小さい」といった評価が出てきた場合には、(こちらも当然ですが)株価は大きく下落する可能性がありそうです。
現時点において、アルファベットは「AIの性能で劣後している」といった評価になっており、「ならば、マネタイズの可能性や規模は小さいのではないか?」となっています - これが、同社に投資をしづらいもうひとつの理由です。
(再び、話が逸れますが)四半期単位で2兆円近い投資ができるのがM7になります。日本企業が競争を挑むには、かなり高いハードルになっていますね。
4.株価の動きは?
最後に、株価の動きをおさらいしておきます - GAFAMとナスダック指数です。
GAFAMの中では、METAが圧倒的にいいパフォーマンスをしているのと、アルファベット(GOOGL)のパフォーマンスがナスダックを下回っています。
METAの広告事業が順調なのに対して、アルファベットのAI事業は収益化の懸念が大きくなっている、といったところです。
ですので、(引き続き)アルファベットの広告事業の伸び率と、AI事業の収益化の行方が大きなポイントになりそう、といったところです。
こんな感じが、アルファベットの3Q決算と、そこから垣間見える「投資判断」になります。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。