娯楽を知らない (地球体験記7)
小学生の時に熱中したものって、ずっとだよね。
小学一年生の夏、テレビが消えた。
テレビを買い替えねば映らなくなるという噂が、幼稚園のころからまことしやかに囁かれた。祖母や母によって囁かれた。
うちは買い替える氣配がなかったし、友達だってそんな話はしていなかったから、よく把握しないまま聞き流していた。
ある夏の日、家族とバライティー番組を見ていた。
季節外れの大晦日みたいだった。春菜愛さんが画面の真ん中にいて、元氣よくカウントダウンを始めた。周りの大勢のタレントの人たちも声を張り上げた。「アナログ放送ありがとう!」「5、4、3、2、1、ゼロ!」
突然青い画面に切り替わり本当に映らなくなった。他人事ではなかったらしい。
振り返ると、おばあちゃんがパンと手を打って
「さ、終わりました!」
と言って、次の日からテレビは当然のように置物と化した。
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