#5 がん告知と両親への想い
秋田県大館市でコニュニティFMの運営をしている、みそソムリエakikoです。
本業(味噌を伝える食の仕事)の傍ら、地域の情報発信・防災拠点となるラジオ局で番組制作と運営を担当しています。
乳がんを治療しながら、乳がんである私自身をここからどう活かしていくか。
癌になって「分かったこと」「気づかされたこと」「疑問に思うこと」など、当事者目線だけでなく、様々な角度から私の目に映る景色を綴っております。
乳がんと確定したのは、R5年3月23日。
右胸全摘手術を終え、抗がん剤治療もスタートし、今日で癌が分かってから2か月弱となります。
今振り返っても、
医療の素晴らしさと、主治医の迅速丁寧な治療計画のおかげで、
癌でありながらも、それなりの希望を持って暮らしていることには、
毎朝起きるたびに感謝しかありません。
今回も、癌と告知された直後のことについて書いていきたいと思います。
周囲への報告は、一番気を配ったところでした。
どの順で、誰に、どのように。
その結果、乳がんであることを、一番最後に伝えたのは「両親」でした。
最初ではなく、最後に。
◆両親への想い◆
前回の#4の投稿で、子どもたちへの想いを綴りましたが、
そこには書いていない、母親としてのシンプルな気持ちが私の中にはありました。
それは、親であれば誰もが抱くであろう
癌が、「我が子のことでなくてよかった」
という、心底、自分のことで(まずは)良かったという想いです。
仮に癌がわが子のことであったら、「私自身」が猛烈に耐えられないという単純な気持ちが、実は告知直後、脳天を直撃しておりました。
どんな親でも、お腹を痛めて生み、それなりの愛情を今でも注いでいる我が子の窮地は、ごはんが喉を通らないレベルを遥かに超え、自分のことの何十倍も悩み苦み耐え難いものでしょう。
空想でも、親という立ち位置である人への想いは言葉に出来ないほどの想像がめぐるわけですから、ここは本当に慎重にならざるを得ませんでした。
両親の元へ話をしに行ったのは、
私自身が仕事のことや治療への向き合い方、子どもたちのことなど、全て整理と覚悟ができてから、つまり一番最後となりました。
(今振り返ると、「心配するな!私は大丈夫だから!」と大声で伝えたい気持ちが裏目に出て、ちょっとキツい言い方をしてしまったなと反省しております)
◆ここからの時間を生涯で一番幸せな時間に◆
両親はゴルフの練習場を営んでいます。
持病を抱えながらも責任と気力だけで今も体力仕事を一人でこなす70代後半の父。
若い頃の苦労はさておき、
年を重ねるごとにラウンド回数とスコアがアップする、元気で(良い意味で)脳天気な70代後半の母。
実質、老夫婦2人で2件の練習場を管理しています。
この年で、忙しくも社会的な役割があるというのは、この期に及んでも有難いものです。
忙しくしていると、一瞬とは言え私のことから心が解き放たれている時間もあるだろうし。
精神衛生上、それは実に大切なことです。
親としての想いは(口で言う以上に)計り知れないものですし、別の人間である以上、私は両親の本心を正しく理解することは不可能です。
もちろんそれは、子どもたちをはじめ、私に関わる全ての方も同じです。
乳がんになった私は、
大切な子どもたちや両親や周囲の方々に、それなりの悲しみと苦しみを提供してしまいました。
でも私には、治療に専念することしか出来ません。
大切な人たちの日常に、心配の種を芽吹かせているにも関わらず。
そのことが、私にとって今一番苦しいことです。
もちろん私はこれまでも誰かのために何かをしてきた訳でもありませんが。
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ただ、苦しさの中から生み出した目標があります。
これから、しっかり意識していきたいと目指していることがあります。
それは、
(乳がんになってからの)私と関われて良かった!
全ての人にそう思ってもらえるような時間を創っていこう!
ここからの時間が、私の周りの全ての人にとって、
生涯で一番幸せな時間であるように!
ということです。
人を愛し、
人を信じ、
穏やかで、
時に笑いの絶えない、
そんな時間を、
乳がんになってからの時間を、これから大切に大切に紡いでいこうと。
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気分転換したいとき、
ちょっと心や体が疲れた時は、いつも山に向かいます。
草木の眩しさや、虫たちの活発さを眺めているのが大好きです。
朴葉みそ焼きでお馴染みの、朴葉。
秋田県大館市は、5月中旬の今、その朴の花が大きく咲き誇っています。
秋になり、いよいよ朴葉みそが美味しい季節になるころ、
私の抗がん剤治療も初期段階が終了します。
美味しい味噌料理を楽しめる日が来ることを待ち望みながら、
治療を頑張っていきたいと思った山の散策でした。
ちなみに、
朴の花言葉は、
「誠意ある友情」
乳がんになって、たくさんの友人が心を寄せてくれたことに感謝を忘れないでいたいと思います。
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